ウイスキー初級者の為の用語集。
ウイスキーの製造に関連する用語と解説です。
(監修 : 住吉祐一郎)
〈ウイスキー製造関連用語(2)〉
[ウォッシュバック] [蒸留・ディスティレーション] [ポットスチル] [ニューポット] [熟成・マチュレーション] [カスク・樽] [エンジェルズシェア・天使の分け前] [ウイスキーの原酒] [ヴァッティング] [ブレンダー] [瓶詰め・ボトル詰め]
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ウォッシュバック
発酵槽のこと。蒸留所によってステンレス製のものと、伝統的な木製のものを使用するところに分かれています。この発酵槽の材質によって出来上がるウイスキーの風味にも個性が出ます。
蒸留・ディスティレーション
発酵が終わったモロミをポットスチルと呼ばれる銅製の単式蒸留器に入れて二回蒸留し(一回目を初留、二回目を再留といいます)アルコール濃度を65~70%に高めます。
蒸留は水とアルコールの沸点の違いを利用したもので、先に気化した沸点の低いアルコールを抽出し、冷却して液体に戻すことで、アルコールや香気成分などの揮発成分だけを取り出します。
1回目の蒸留(初留)を行う蒸留器のことを「ウォッシュスチル」と呼び、
2回目の蒸留に使用する蒸留器のことを「スピリットスチル」または「ローワインスチル」と呼んでいます
ポットスチル
ポットスチルとは、蒸留を行うための銅製の単式蒸留器のこと。蒸留所によって形や大きさが異なり、一つとして同じものは無く、「ポットスチルの形状の違いで、ウイスキーにそれぞれの個性が出る」、と言われています。
一般的に、モルトウイスキーでは蒸留に単式蒸留器(ポットスチル)を、グレーンウイスキーでは連続式蒸留器(パテントスチル)が用いられています。
ニューポット
二回目の蒸留で出来上がった蒸留液のこと。蒸留したての無色透明のお酒(スピリッツ)です。熟成させていないため、ウイスキーとは区別しています。
熟成・マチュレーション
蒸留したばかりの蒸留液(ニューポット)を木樽(カスク)に詰め、貯蔵庫で熟成します。異なる種類の樽で長期間じっくりと寝かせることで、深い香りと豊かな味わいとなり、琥珀色のウイスキーが生まれます。
樽の材質や大きさなどの違い、また、貯蔵環境(気温、湿度)などによってもウイスキーの味わいが変化します。
カスク・樽
カスクとは木樽のことで、形状や大きさの違いで世界中に100種類以上あると言われています。ウイスキーの他、ブランデーやラム、日本酒など様々な蒸留酒を保存・熟成させるために利用されてきました。
ウイスキーの場合、どの樽で熟成させるかによって味わいが決定付けられるため、樽は材料の一部とも呼べる重要な存在となっています。
ウイスキーの製造では、オーク樽、ミズナラ樽、シェリー樽、バーボン樽などが使われています。
エンジェルズシェア・天使の分け前
熟成期間中に、ウイスキーは樽材を通して蒸発し中身の量が減っていきます。これをエンジェルズシェアと呼びます。
貯蔵庫の環境(気温や湿度)によって蒸発するウイスキーの量は変わり、スコッチウイスキーの場合、最初の1年で3~4%。それ以降は毎年1~2%ずつ蒸発すると言われています。
ウイスキーの原酒
原酒とは、熟成後の樽出しのままのウイスキーのことです。原酒のアルコール度数は60度前後あります。ブレンダーと呼ばれる職人が、いくつもの原酒を混ぜ合わせることで、シングルモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーなど、蒸留所の個性やこだわりが詰まった多様なウイスキーが生まれるのです。
ヴァッティング
複数の樽で熟成させた同種類のウイスキー原酒をブレンドして、同じ味わいや品質のウイスキーに調整する作業のことです。
「ヴァッティング」という用語は、同種類のウイスキー同士を混ぜる場合に使用され、モルト原酒同士、あるいはグレーン原酒同士を混ぜ合わせることを指しています。
モルト原酒とグレーン原酒を混ぜ合わせる場合は、「ブレンディング」と呼ばれています。
ブレンダー
ウイスキーの原酒をブレンドして、製品をつくる職人のこと。一樽ごとに全て異なる個性を持つウイスキー原酒をブレンドして、目標とする味わいを持ったウイスキーに近づけ、そのブランドを守る仕事。百種類ものウイスキー原酒の個性を、ノージングだけで見極めることができるという神業の持ち主です。
瓶詰め・ボトル詰め
ヴァッティングやブレンディングを終えたウイスキーは、冷却し、しばらく静置した後で、フィルタリングと呼ばれる濾過を行い、不純物を取り除く工程を行いますそして最後に加水してアルコール度数を調整し、ボトル詰め、ラベルを貼って、ウイスキーの完成です。
*上記工程はスタンダード品の場合。冷却濾過や加水なしでボトリングされる場合もあります。
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