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韓国ウイスキー蒸留所 スリーソサエティーズ編(8)

ウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏による韓国初モルトウイスキー蒸留所「スリーソサエティーズ」のレポートを、実際の取材映像と住吉氏の取材記でお届けします。(編集部)

住吉祐一郎の蒸留所訪問 韓国スリーソサエティーズ編(8)

国際的なウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏による
韓国初となるウイスキー蒸留所『スリーソサエティーズ』のレポートシリーズ(8)です。

この動画では、スピリチュアルアドバイザーであるアンドリュー・シャンドさんにインタビューしながら

  • ウイスキーの試飲
  • バーボン樽、酵母などについて

紹介していきます。

住吉さんの取材記も併せてご覧ください

動画は音量0でもご覧いただけます。

住吉祐一郎の取材記(8)

 シャンド氏から頂いたウイスキーは、英国のクリスプ社の麦芽とイタリアのピナクル酵母を使用したバーボン樽熟成の2年もので、スコットランドの基準(最低3年間の熟成でウイスキーと呼ぶことができる)からすると熟成期間は足りないものでしたが、驚くべき熟成感でした。

 スリーソサエティーズの環境では、熟成がスコットランドよりも5倍ほど早く進むと言っていたシャンド氏の言葉に、非常に説得力を感じました。先に飲ませて頂いた新樽熟成のものとは異なり、こちらはタンニン感もなく、香りはハチミツのように甘く、味わいは熟した南国のフルーツを連想させるものでした。トロピカルでスウィート、これが2年熟成だとはとても信じることができませんでした。シャンド氏も、これまでに味わったことのない複雑な味わいに驚いたと言います。

 その理由のひとつには、2022年の夏から発酵槽の清掃を止めたことにあるのかもしれません。スリーソサエティーズの発酵槽はステンレス製の最新式なので、槽内の洗浄機能(CIP:定置洗浄)や、温度を調整することができるウォータージャケットを装備しています。ですが、敢えて槽内洗浄を行わずに様子を見ていると、天然酵母が発生して「ファンキー」な香りが出てきたそうです。この天然酵母が活性化することによって複雑な香味が発生し、それが独特のウイスキーの味わいに繋がっています。

 韓国の地で造られるウイスキーは、韓国らしさを感じられるものにしたいとシャンド氏は言っていました。韓国料理のようなスパイシーさを感じながらも、ウイスキーらしくフルーティなものだそうです。ユービン氏も、コース料理ではなく、ひとつの皿の料理の回りを副菜が取り囲んでいるようなイメージだと説明してくれました。

 素晴らしい熟成感と味わいを持つスリーソサエティーズのウイスキーですが、シャンド氏は過熟成を心配していました。現在の2年間での円熟味が、この先5年、6年と経過した際に、どのような味わいに変化するのでしょう。シャンド氏が言うように、もし1年間の熟成がスコットランドの5年熟成と同等であるとしたら…6年経てば30年熟成に匹敵するのでしょうか。それだけの熟成感があるとしたら、今後、スリーソサエティーズのウイスキーは、20年、30年後にはどのような感じに仕上がって行くのでしょうか。

 想像は尽きませんが、この過熟成に対しても、きっとシャンド氏はその時々のハプニングを楽しみ、試行錯誤をしながら、彼らしい、韓国らしいウイスキーを造って行くのでしょう。


韓国ウイスキー蒸留所 スリーソサエティーズ編(9)では、カスクオーナープログラム 今後の販売について紹介していきます。

住吉祐一郎さんのインタビューはこちら


住吉祐一郎氏の書籍紹介

ウイスキーに、誘われて
〜英語で旅するバーテンダー(ニュージーランド・カードローナ蒸留所編)〜

住吉 祐一郎/著  近藤淳司/編集 

プラグインアーツパブリッシング
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バーボン樽

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