100％ジュースの真実 PART.2

03/06/2024

福岡　裕記

前回「100％ジュースの真実 PART.1」からの続きです。

「100％ジュース」と表記があっても、実は大きく3タイプに分かれるオレンジジュース。

１. 濃縮還元タイプ
２. ストレートタイプ
３. 生ジュースタイプ

今回は、ストレートタイプと生ジュースタイプについてご紹介します。
皆さんが飲んで美味しいと思っている100%ジュースは、どのタイプなのでしょうか？

２. ストレートタイプ

実は、皆さんが「あの美味しいジュースは何なの？」と思っているもののほとんどが、このストレートタイプです。

100%オレンジジュースのストレートタイプとは文字通り、

オレンジをギュッと絞り、その果汁を低温で保存。それを容器に詰めて出荷され、スーパーやコンビニの商品棚へ。というもので、素材そのものの味も香りも生きたまま。

なので、美味しいんですね。

「栄養素もあって、美味しいのであれば、ストレートタイプを選べば良いね！」ということになりますが、デメリットもあります。
それは、コストです。
飲食店経営者としての所感としては、1000mのオレンジジュースの場合、

●濃縮還元タイプ…200円前後
●ストレートタイプ…400円前後（高ければ、600円くらいのもののある）

というように、価格に倍くらいの差があります。
製法によってこれくらいコストが変わってくるのです。

豆知識ですが、ストレートタイプ(加糖)と書いてある商品があります。
これは、オレンジを絞った後、砂糖を入れて糖分を調整しているものになります。
なぜ砂糖を入れるのかというと、フルーツにはそれぞれ旬があり、時期によって甘みが違います。
その味のバラツキを無くす為に、砂糖を入れて調整しています。
これも、安定的な品質を保つための企業努力というわけです。

３. 生ジュースタイプ

生ジュースタイプは、オレンジを絞ったジュースそのものです。

濃縮還元、ストレートと説明していきましたが、「実際何が一番美味しいの？」と問われると、バーテンダーの立場から言えば一番美味しいのは、生ジュースタイプが一番美味しいです。

「やっぱり生(フレッシュ)が一番なんじゃん！」と思われた人もいるかもしれませんが、これには条件があります。

それは、「旬であれば」ということです。
※オレンジの旬は、オレンジの種類や生産国で違ってきます。

旬のオレンジであれば、糖分もしっかりあり、また生搾りならではの瑞々しさがあります。
実際にカクテルで作った時も、口の中でフレッシュ感は確実にあります。
旬の時期ではないオレンジの場合、果実が持つ瑞々しさやフレッシュ感はありますが、甘さがなく、上手く言えませんが、濃縮還元ジュースを更に濾したようなスカスカな味になります

また生ジュースタイプの場合、コストも違ってきます。特にオレンジの場合、搾汁量がめちゃめちゃ少ないです。
上手く絞っても、1個で100ccも絞れないんですね。
※余談ですが、グレープフルーツは1個で100cc〜150ccくらいの量が取れます。

バーの実態に合わせて説明していきますと

バーでジュースを注文した際は、300ccくらい入るグラスで提供されます。
氷が入ったとしても200cc分くらいは、オレンジジュースを注がないと1杯となりません。
仮にオレンジ1個が150円、1個あたりの搾汁量が50ccだった場合、オレンジを4個以上絞らないと200ccにすることはできないということになります。
オレンジジュース1杯あたりの原価が、600円ということですね。
一般的な飲食店の売価は、原価の3倍と言われています。
つまりオレンジジュース1杯1,800円という値段になります。

めちゃくちゃ高いですよね(笑)。
でも、1,800円近くの価格設定にならないと生ジュースの場合、本来は採算が合わないんです。

昔とある同業のお店が「お酒よりジュースの方が高いお店」と共通のお客様から言われていましたが、至極真っ当なことなのです。

なので、「氷なしでオレンジジュースをください！」と言われると、それはもうとんでもない価格になります。

とは言え、「オレンジジュース、氷なしは、2,000円になります」とお店側も言いにくいので、利益を削って安く出しているお店がほとんどだと思います。

氷なしで注文したいというお客様側の気持ちは重々承知しておりますが、生搾りのジュースの場合、こういう背景があることを頭の片隅にでも置いていただけれると非常に嬉しいです(笑)。