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#07. 飲食店の人材教育「Z世代の実態と向き合い方」

飲食店を取り巻く問題を取り上げると星の数ほどあがってきますが、商社営業職、飲食店経営者、コンサルタントアシスタントという経歴から見えてきた課題感をこの記事でお伝えしていきます。
※このコーナーで定義している飲食店は、スナック、キャバクラ、バー等も含んでいます。


今回取り上げるテーマは、

飲食店の人材教育「Z世代の実態と向き合い方」

です。

前回の記事で、Z世代の特徴と傾向について解説しました。
今回は、当店に応募してくるZ世代の実態と、どう向き合っていくべきなのかという点について解説していきます。

1. Z世代のリアルな実態と考察

1-1.自分から「こうなりたい」「これくらい稼ぎたい」という欲がない

「特にこうなりたいというのは…」「幾らくらい稼ぎたいというのは…別に…」

面接にきたZ世代の第一声は、ほとんどこれです。
目標が明確になっているZ世代もいると思いますが、こうなりたい、いくら稼ぎたいという野心がない人が本当に多いです。
野心というか、最低いくら稼がないと生活できないという感覚がないというか、“そこそこの生活が出来ればいい”という感じかもしれません。
「こうなりたい」はまだしも、「いくら稼ぎたい」という要望がない実態にジェネレーションギャップを感じました。

こうなってしまう理由として、

  • 労働価値を見いださなくても、ベースである時給・給与が高く、ある程度稼げてしまう⇒人材の売り手市場の長期化。
  • 物価も上昇しているが、人件費ほどの上昇率ではない。(※現在は何とも言えない状況ですが)
  • 両親の共働きが常態化し、男性が稼いで、女性は専業主婦という概念が薄れてきており、出世や年収に対する意識が低い傾向にある。
  • 若者たちが、車や時計、高い洋服などの物欲が無いこと。物の所有によるステータス感を求めていない。

という時代背景もあると感じています。

1-2.自分の行動に根拠がない

小学校・中学校での運動会をはじめ、勝ち負けを明確にしない教育方針になっていることが、大きな理由になっていると推測していますが、とにかく「ことなかれ主義」の発言が目立ちます。
自分の意見より、周囲からどう見られているのかを気にする傾向にあります。
悪く言えば、同調圧力が蔓延しているとも言えるでしょう。
「なぜ右を選んだの?」と問いかけても、「みんなが右と言ったから右」という回答がくることも少なくありません。

1-3.打たれ弱く、怒られ慣れていない

怒ることが正しい教育方法とは限りませんが、とにかく怒られ慣れていません。
世間的にも、「怒る=パワハラの方程式」が成り立ちかけているので、教育・指導していく立場にとっては、かなり深刻な問題です。

受け止める側であるZ世代のマインドのアップデートが必要ですが、「嫌なことはしなくていい」というスタイルで20年近く生きてきているので、メンタルが弱く、扱いが難しい。
もっとヒドいパターンの場合、怒られていても、なぜ怒られているのか理解ができていないことも…。。。

さらに、学生から社会へ出た時のギャップは、年々大きくなってきていますが、我慢して長く働くことよりは、「嫌になったら辞めればいい」「自分のキャリアに合わなかったら転職すればいい」という考えで、大手有名企業の新卒でさえも、3年〜5年で転職を考えていると言われます。

一方で、Z世代には今までの若者に無い優位性も多々あると思います。

2. Z世代の優位性

2-1.デジタルネイティブ世代が故に、ITやデジタルへの理解は早い

幼少期からスマホ等が普及しており、日常的にSNSやデジタルツールに慣れ親しんでいる為、仕事に必要なデジタルツールの扱い方を教える機会は、圧倒的に少ないです。

またZ世代は、スマホやタブレットに慣れている半面、PCでの仕事(WordやExcel)には不慣れであるという状況もありましたが、内定者研修や企業内新人教育などで短期で覚え、飲み込みが早いと言われています。
ゲームを進めることやアプリの操作に慣れているからかもしれません。

メモ紙でもPCでもなく、スマホ1台だけを持って打合せに参加することも少なくないです。
業務を遂行する為に何のツールを扱うのか?という話なので、業務上は問題ないですが、PCで作業するという意識が毛頭にないということも、Z世代の特徴なのかもしれません。

企業内でデジタルツールの管理や推進をしていく場合、Z世代を起用した人材戦略を検討していくことで、プロジェクトや企画の推進力を向上させることも可能だと思います。

2-2.良くも悪くも個性を重んじるように育っているので、自分らしさに対してお互い寛容的

一昔前までは、「大学にいったら就職」といったような「何に対しても暗黙のルール」があり、集団から外れる行動をしたら、冷ややかな目で見られるような習慣がありました。
飲食店の経営者の中には、かつて「進学・会社勤めをしない親不孝者」と言われた方もいたようです。

しかし、今はYouTuber、インフルエンサー等、デジタル化・IT化により職種が広がり、人生における選択肢が増えましたこともあり、良い意味で、他人を認め合う文化が醸成されつつあるように感じます。

人から干渉されることが少なくなった分、より自分で自分を律していく必要があり、仕事が出来る、人から信頼を勝ち得る人はずっと信頼され続け、出来ない人は、ずっと出来ないという人間力の差がより開きやすい世代だと思います。

Z世代と向き合っていくには?

Z世代だけの話ではないかもしれませんが、元々本人達が持っている能力は決して低くはありません。
ですが、個性を重要視されすぎて生きてきているので、、社会で必要とされているコミュニケーション力や学ぶ姿勢など、ベースとなる人間力が育っていない若者が多いです。

前回の記事にも書きましたが、ジェネレーションギャップは、年々大きくなってきています。
指示・指導しても、「私はこう」という個性や多様性という言葉が先に出てしまい、本人達に声が届かない。
悪い意味で、個性が優遇され、協調性は軽視されており、協調性と個性のバランスを取ることが非常に難しく、個別に指導をしていくことにも限界があります。

その中でどうやって、組織力をあげていくのか?

キーとなるのは

働く上でのパーパス(※)の重要性

だと思います。

当店では悩んだあげく、店舗のビジョンを示し、まずこの「働く上でのパーパス」を見直していくことにしました。

次回から、Z世代との向き合い方に欠かせない「パーパス策定」と、その策定プロセスの中で浮き彫りになった課題について、解説していきます。

※パーパス
パーパス(Purpose)とは一言でいうと企業の存在意義のこと。ビジネスシーンでは、企業の社会的な存在価値や社会的意義を意味する言葉として経営ビジョンの策定に欠かせない重要な要素です。


■筆者 : 福岡裕記の記事紹介

本サイト「飲食業の明日」コーナーにて、福岡裕記氏による記事の中から、飲食店の経営課題に関連する記事をピックアップしました。

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