飲食店を取り巻く問題を取り上げると星の数ほどあがってきますが、商社営業職、飲食店経営者、コンサルタントアシスタントという経歴から見えてきた課題感をこの記事でお伝えしていきます。
※このコーナーで定義している飲食店は、スナック、キャバクラ、バー等も含んでいます。
テーマについて
今回取り上げるテーマは、飲食店のWebマーケティングにおいて
店舗公式のWebサイトやSNSの構築を疎かにしている店舗が多すぎる
ということです。
1. 現状(飲食店とWebマーケティング)
一度お店に来て貰えれば、絶対にリピートして貰えるだろう!
と考えている飲食店経営者や店舗責任者は少なくありません。
まともな飲食店であれば、どこのお店も食材やお酒の仕入れは、常に厳選しており、サービスについても日々研究を重ねています。もちろん、ご来店いただいたお客様に美味しい料理や良いサービスを提供することは、飲食店のコアサービスです。
1-1. 顧客接点の大きな機会損失
確かに、本当に感動するようなサービスを受けた場合、お客様は「あの店よかったよ」と知人にご紹介してくれたり、口コミを書いてくれることもあるでしょう。
しかし当然と言えば当然ですが、
店にいけば感動するような料理・お酒・サービスを提供していたとしても、お店に行かなければ、お客様はその良さを感じることはできない。
のです。言い換えれば、
どんなに良いサービスをしていたとしても、WebやSNSに店舗情報や店舗の特徴が掲載されていなければ、店舗がないことと同意である
ということです。
残念ながらこの実態に気づいていないお店が、本当に多いのです。
せっかく最高のサービスを提供していたとしても、WebやSNS上には店舗が存在していない為、本来、見込み客であったお客様は、お店を検討することすらできない。非常にもったいない。
まさに「新たな顧客との接点の大きな機会損失」だと言えます。
1-2. WebやSNSを通じての興味・関心の醸成の必要性
またお客様がお店を比較検討する際には、料理以外にも沢山気になることがあります。
私の場合、お店を検索する時は、シーンに合わせて下記に注意しています。
- 単価感
- 個室の有無
- 掘りごたつ式・座敷・テーブル席等、席のイメージ
- 料理の内容
- 現金払いのみなのか?
- 貸切ができるのか? 等
パッと思いつくだけでも、これくらいの内容をインターネットで情報収集します。
これらの情報がWebやSNS上で掲載されていない場合、「楽しく食事ができるのか?更に言えば、一緒に同席する取引先や同僚、友人等に不快な思いをさせてしまわないか?」と不安になります。
雰囲気や静かさを気にするカップル、友達同士で和気あいあい盛り上がりたいグループ、料理を楽しみたい夫婦、などそれぞれに求めるものは当然異なります。
現状そのようなニーズに対し、どの飲食店も、
来店いただいた後のサービス(配慮)には最大限力を注ぐが、ご来店前のサービス(情報提供)には抜けがある
という状態です。
1人に1台以上の携帯電話を持つ時代となりました。
自分が私生活の中で取っている行動と同じ行動をお客様もとります。
失敗をしたくない人が増えている時代だからこそ、
ご来店前にWebやSNSを通じて、丁寧にお客様に接する必要がある
ということではないでしょうか?
2.問題点の整理 (なぜ店舗サイトやSNSなどに力を入れていないのか)
そんな時代背景もある中、それでもこの問題が起きてしまう理由は、大きく2つあると考えています。
飲食店側のWebやSNS等のデジタルリテラシーが低い問題
そして、
飲食店側のデジタルリテラシーの低さから、Web制作会社やデジタルマーケティング関連企業が飲食店との取引を敬遠しているという問題。
↓
公式Webサイトがあるお店も、本格的なWeb制作会社に依頼せず、知り合いや友人に安価で頼み、サイトができたことや持っていることに満足している。(アクセスがいくらあるか、どこを見られているかなど調べたこともない)
ことです。
2-1.飲食店側のデジタルリテラシーの低さ
1つ目は、前回の講座「閉店があとを絶たない飲食店 その理由(飲食店の負のループ)」でも説明したように、職人気質で現場を回すこと=経営と考えている飲食店経営者や店舗責任者が多い為、WebやSNS等、デジタル関連の勉強をほとんどしてきていません。
そして、料理やお酒を作る上で、デジタル機器を扱うことがほとんどなく、触れる機会そのものが少ないので、真面目に取り組んできた人であればあるほど、PCやWebやSNSと遠い位置にいることも少なくありません。
また、クレジットやQRコード決済未対応の店も少なくなく、未だ現金主義にとらわれ、結果的に若者層のお客を取りこぼしていることに気づいていないのです。
もちろん、Webの世界はアップデートが早く、すぐに操作画面等のUIが変わってしまうことも日常茶飯事で起きているので、それが余計にデジタルへの苦手意識が助長してしまい、デジタルから疎遠になっているという悪循環にも陥っています。
或いは、WebやSNSと触れる機会が少なかったので、デジタルを起点としたビジネスモデルに対して、期待感が持てないということも言えるかもしれません。
そして何よりも問題なのは
自らがWebのユーザー側から、情報提供側になっていることに気づいていない
ということ。このこともデジタルリテラシーの低さへの危機意識の要因だと思います。
経営者の多くは、ニュースや興味あることはWebで検索しているのに、自分のお店に関しては「来店したお客さんへの対応」のことしか考えていない。
さらに、スマホを見ながら通勤してくる従業員たちも、バイト先のサイトや口コミのことは気にならない。バイト料を貰えればいいと思っていることが多いのです。
店舗経営者のデジタルリテラシーの低さと、情報提供側であることの当事者意識の欠如
が、根本的な問題の一つだと思います。
2つ目の問題点、そして問題解決については、次回の講座
Webマーケティング視点の重要性「問題解決に向けて」で解説していきます。
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