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ウイスキーとのお付き合い (後編) / 今夜の一杯 ジョニーウォーカー グリーンラベル

興味はあるけど、BARに行ったことがない方に、BAR「HONESTY」のマスター田頭大輔氏が、BARの様々な話やお酒のお話をお届けします。

ウイスキーとのお付き合い

当店がオープンしたのとちょうど同じ2014年、ウイスキーを題材にした朝のドラマの放映が始まりました。
これが日本国内でウイスキーブームが起こった、大きなきっかけの一つだったように思います。
おそらく日本中のバーで、「ウイスキーを飲んでみたい」と来店される方が増えたのではないでしょうか。

当初から飲み比べができるバーであることを掲げていた当店にも、自分の好みを見つけたいという方が増えていきました。
ただ当時の店主は、お客さまからの要求が高まる中、ウイスキーの特徴を言語化することについては力不足でした。
そこでもっと勉強が必要だと、適切なテイスティングを学ぶためにセミナーに行ってみることにしました。

お世話になったのは、自らも神楽坂にてBar FINGALを経営される「酒育の会」の代表、谷嶋氏。
セミナーを開催する先生なんてと、初回は緊張しながら出向いたのを覚えていますが、谷嶋さんは大変柔らかく丁寧な言葉で教えてくださいます。
何をお聞きしても的確に答えてくださり、長らく疑問として抱えていたことや、書籍や記事などではあまり明らかにされていないようなことまで知ることができました。
そうして通いながら覚えた言葉や知識を、その都度お客さまへも用いることで自分の身に着けていきました。
おかげさまで、ウイスキーの成り立ちを少しだけ理解し言語化できるようになったことで、ただ飲み比べてもらうだけではなく、より細かな好みまで掘り下げて提供できるようになった手応えがあります。

ただ、通うにつれ香味への解像度が上がると、自分自身の好みへの理解も深まり、苦手なものを避けて好みのものばかりを選ぶ傾向が強くなってしまいました。
より自分が美味しいと思うものをと、一層ボトラーズへ耽溺もしていきます。
お客さまにもっと楽しんでもらうために、が学ぶ目的だったのにと、今となっては未熟さを恥じるような気持ちもあります。

今夜の一杯 ジョニーウォーカー グリーンラベル

2016年、再びのリリースとなったジョニーウォーカーのスタンダード品です。

その数年前に一旦終売となる前にも流通自体はあったようですが、あまり目立つような商品ではなかったのでは、というのが店主の印象です。

現行品は、過去にご紹介しましたカリラ、クラガンモア、タリスカー、リンクウッドの4種のモルトウイスキーを主体とした、グレーンなしのブレンデッドモルトウイスキー。
再販以降も何度かデザインや味わいのバランスが変わってはいますが、当店では店主を含めハイボールでの人気が非常に高い1本です。


ジョニーウォーカー グリーンラベル


某大手飲料メーカーにお勤めのBさんもそのお一人。
召し上がるお酒はカクテルが多い方ですが、ウイスキーの時にはほぼ必ずと言っていいほどオフィシャルのスタンダードボトルでした。
ボトラーズの揃えの方が多い当店にも拘らず。
浅はかだった店主が、最近買ったコレ美味しかったんです、などとお勧めすればお付き合いしてくださることもありましたが、なかなか満足してはいただけない様子。
美味しいことは間違いないはずなのにとずっと不思議でしたが、ある時その理由を思い知らされるようなお話をしてくださいました。

「それが数百円のものでも、会社は安心して口にできる安定した品質の商品を提供し続けるために、何年も、何十年も、途方もない努力をしてきている。
特別良いものを限定的に作ることは可能だけれど、それを多くの人に届けることは残念ながらできない。
たくさんの生活を支えている会社の社会への責任として、継続性がないといけない。」

そういうお立場で戦っている方だからこそのお言葉だと思います。
なんの意図があったわけでもないかも知れませんが、この言葉の意味はとても大きく、自分の中にも認識として刻まれました。
認識をすると、それまでとはものの見え方、聞こえ方が変わってきます。
また別のお客さまも、商品と産物は違う、と仰います。
ある先輩は、枝葉ばかり見て幹を見ようとしない方も多い、と例えます。
思えば、セミナーで注がれるものもオフィシャルボトルばかり。
少々浮かされていた己を顧みることが増えました。
たくさんの方へ注ぐ機会のある一人のバーテンダーとして。

コロナ禍の最中、家飲みのための情報コンテンツが増えたことで、ウイスキーブームは過熱し、価格高騰、現在はピークを過ぎたと言えます。
そんな状況もあり最近では特に、価格に見合った味わいのスタンダード品をお勧めしています。
ジョニーウォーカーのグリーンも、もちろんその中の一つ。
移り変わりの早い現代での新商品として現れ、継続しているものとしても応援したいですね。
Bさんも、そんな気持ちで飲まれているのでしょうか。

2回に分けてお話させていただきましたが、長々お付き合いくださりありがとうございました。
次回からはもう少し気軽に寄っていただけるようにしようかと考えています。
懲りずにまたお願いしますね。(前回の記事はこちら)


注) 2014年度後期放送のNHK連続テレビ小説「マッサン」。ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝とその妻の物語。ニッカウヰスキー余市蒸留所はこちらのコーナーで動画でレポートしています。

【文中のオススメのウイスキー】ジョニーウォーカー グリーンラベル(Amazon)


BAR HONESTY 店舗情報

■住所:〒120-0033
東京都足立区千住寿町2-17 松岡ビル4F
http://www.bar-honesty.com/

■電話番号:03-6806-1737
※お電話は営業時間内にお願いします。

■営業時間:17:00~翌2:00
定休日 水曜日

■12席 ※1グループ4名様まで 貸切応相談

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