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ニッカウヰスキー余市蒸溜所 Part.1

ウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏によるニッカウヰスキー余市蒸溜所のレポートを、実際の取材映像でお届けします。一般の蒸留所見学では見えない余市蒸溜所でのウイスキー造りの魅力を、岩武工場長の生の声を通して伝えていきます。
(編集部)

住吉祐一郎の蒸留所訪問 ニッカウヰスキー余市蒸溜所 Part.1

国際的なウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏による
ニッカウヰスキー余市蒸溜所のレポートPart.1です。

ニッカウヰスキー余市蒸溜所 工場長の岩武公明さんにインタビュー

  • ウイスキー造りのための余市の立地的利点
  • 余市独自の製造方法・酵母について
  • 発酵の時間・糖化・大麦について
  • 蒸留へのこだわり・プロセス
  • 樽熟成について
  • 余市で目指しているウイスキーの味
  • 90年間に築いたニッカの伝統とこれからのニッカの未来
  • 2001年ウイスキーマガジン ベストオブザベスト受賞について

を紹介していきます。
住吉氏の取材記もご覧ください。

動画は音量0でもご覧いただけます。

住吉祐一郎のニッカウヰスキー余市蒸溜所レポート(1)

ニッカウヰスキー余市蒸溜所は、1934年に竹鶴政孝によって創業された日本で2番目に古いウイスキー蒸留所です。竹鶴はウイスキー造りを学ぶために1918年にスコットランドに渡りました。

この動画(Part.1)では、余市蒸溜所工場長の岩武氏から、余市でのウイスキー造りについて語って頂きました。普段は知られざる職人のウイスキー造りに対する考えをお楽しみ下さい。

さて、余市蒸溜所の最大の特徴のひとつは、何と言っても「石炭直火蒸留」です。蒸留器の下の窯から石炭をくべ、職人がスコップを使って直火によって温度調整を行うという、アナログな方法です。これは竹鶴が修行したロングモーン蒸留所に倣(なら)ったものですが、石炭の炎は1000℃を超えるため、蒸留中の醪(もろみ)の焦げ付きを調整する熟練の技を必要とします。技の習得には10年近くも要するそうです。

石炭直火蒸留

手間もコストも職人技も必要なため、現在スコットランドの蒸留所で石炭直火蒸留を行っているところはありません。ハイランド地区のグレンドロナック蒸留所が2005年に廃止してからは、余市が世界で唯一の蒸留所(2024年創業予定の、スコットランドのとある蒸留所が石炭直火蒸留を採用予定)となっています(2023年6月現在)。

私も蒸留器に石炭をくべる作業を行ったことがありますが、とにかく大変でした。窯の扉を開けると炎の凄まじい熱気が伝わり、作業服はあっという間に汗でびっしょりです。スコップで石炭を掬(すく)い窯に数回放り込むだけでも大変です。とはいえ職人は慣れたもので、何とも軽やかに、そして鮮やかに、炎が均一になるように石炭をくべて行きます。

これほどの手間と労力をかけながら、余市蒸溜所が石炭直火蒸留にこだわるのは、竹鶴が目指した「一人でも多くの人に本物のウイスキーを飲んでもらいたい」という竹鶴イズムの継承があるからです。効率だけを取れば、蒸気加熱などの方が簡単ですが、敢えて手間をかけるその結果が、余市蒸溜所独自の酒質に仕上がっているのです。

それでは、竹鶴が目指した石炭直火蒸留のウイスキーとは、どのような味わいなのでしょうか?
動画Part.2 の後半ではニッカミュージアムで旧「余市10年」を試飲していますが、グラスから立ち上ってくるアロマは、重厚感があり、少し焦げた香りがしました。口に含むと熟したトロピカルフルーツのような甘味と程よい苦味が広がります。どっしりとした芯がある酒質で、飲み終わりにはピート(泥炭)のスモーキーさと土っぽさが余韻として残り、落ち着いた印象でした。ひとことで言うと、とても味わい深いウイスキーです。

ニッカミュージアム バーカウンター

残念なことにこの余市10年は既に終売(現在は2022年11月に新発売された「余市10年」)となっていて、現在は販売されていません。とはいえ、在庫がなくなるまではニッカミュージアムで飲むことができるので、余市を訪れた際にはぜひ試飲されてみてはいかがでしょうか?

コロナ騒動も一息ついて、余市蒸溜所 https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/ では一般見学が再開されています。
JR函館本線の余市駅から徒歩数分の便利な場所に位置しており、建物の一部は重要文化財としても登録されているので、広い敷地内の趣のある建物を散策しながら、ぜひ余市のウイスキーを楽しまれて下さい。


住吉祐一郎氏の書籍紹介

ウイスキーに、誘われて
〜英語で旅するバーテンダー(ニュージーランド・カードローナ蒸留所編)〜

住吉 祐一郎/著  近藤淳司/編集 

プラグインアーツパブリッシング
¥980 (2022/10/11 11:05:57時点 Amazon調べ-詳細)

ニッカウヰスキー余市蒸溜所⑴

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