今回紹介する書籍は
【30分で楽しめるシリーズ!】ボクはパリ症候群、だった。
〜パリ症候群を発症しないためのケース別処方〜
投稿者 編集長 松本
はじめに
当サイト、プラグインアーツ・コネクトの編集長の松本です。
「サイト編集長が自ら掲載している電子書籍のレビューを書くなんて!」とお思いでしょうが、実は別部門であるプラグインパブリッシングから書籍を推薦され、前もって全て読破し、「これは、学び・遊びを楽しみたいサイトユーザーの為に良い本だ!」と判断したもののみ掲載しているのです。パブリッシングも、サイト編集部も、私も、三者納得の上で。ちなみに関係者の間ではこれを「マツ裁き」と呼ばれております。
ということで、編集長の私自らが、読んでみて感じた個人的感想をお届けします。他の方のレビューも併せて参考にしていただければと思います。
パリ憧憬群にはショックな一冊?
海外、特に海外旅行に対する考え方は時代や年代によって変わるのかもしれません。
各言う私も若い頃はレジャーが目的が多く、定番のハワイやアメリカ西海岸、オーストラリアなどに目が行き、30代になるとグルメやショッピングがメインになり、韓国、中国、東南アジアなどに興味を抱くようになりました。もしかしたら典型的な日本人かもしれません。
そして、どっぷりと中年になった現在、なぜか小学生の頃に憧れた超定番世界有名都市、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ローマなどに改めて興味が湧くのです。
なぜだかわかりませんが、時間とお金に余裕があって海外旅行に行けるとなれば、そのような都市に行ってみたいと思うのです。子供の頃に抱いた憧れはいつまで経っても心の中から消えないということでしょうか。
中でもフランス・パリには特別感があります。芸術の都、ファッション流行発信、料理にパン、何と言っても歌にも出でくる町並みのイメージ。そして私達の年代が子供の頃に流行っていたフランス映画。アラン・ドロンのCM、ダニエル・ビダルやミッシェル・ポルナレフのヒット曲の印象もあり、フランス・パリに対する潜在的な憧れは未だに大きいのかもしれません。(ソフィー・マルソーは未だに好きな映画女優の一人です)
本書『ボクはパリ症候群だった。』は、そんなパリ憧憬(しょうけい)群の私に、パリの表と裏を甘口辛口両刀で伝えてくれる一冊です。
どんな国、都市でも外から見たイメージと、そこで暮らして解る現実のギャップが有ることを自らの体験を通して、面白おかしく、時には辛辣に語ってくれています。
実際に筆者が感じる素敵な風景や街、芸術、お店、雰囲気などパリそのものの空気と、同時に経験した知られざる裏、闇の部分(いわゆる現実)は、日本人の私達にとってはとても信じられない事柄も多く、パリ憧憬群の私にとっては少しショックでもありました。
それでも怖いもの見たさに近い感覚からか、次はなんだ?、どんなことが?と、なぜか興味を抱きながら読みすすめてしまう魅力的な一冊なのです。
症候群の正体
短期の観光旅行ではなく、そこで暮らすことはどの国においてもそれなりに大変なのだろうと思います。特に住みやすさや清潔さ、治安の良さで世界でも名高い我が国に住み慣れた日本人であれば尚更感じるのではないでしょうか。
『郷に入らば郷に従え』と言われますが、本書の著者が体験したパリでの出来事は流石に、郷に従うには度が過ぎるものもあるようです。
チケット予約のトラブルに始まり、トイレ便座、住まいの問題、言葉の難しさ、支払い時のおつり、散歩時の注意点(これは笑いました。詳しくは本書で)、そして各役所や郵便局の対応と、根底にあるコミニュケーションの問題などなど。
特に私のような典型的な日本人では理解しがたいものもあり、思わず「えーっ、パリってそんなところなんだ!」と驚かされます。
一方で芸術・文学に造詣が深く、その分野の留学目的の筆者が、芸術鑑賞はもとより、建造物や街並みの風景、料理、そしてフランス各地方の素晴らしさに魅せられている様子が随所に伺え、本書は随所に『筆者のパリ愛』が垣間見えます。
『住めば都』という言葉のように、どこの国や地方に住んでも、独自の魅力とそれなりの暮らしやすさ、住みやすさなど幸せを感じる部分はあると思います。
筆者が経験したパリの魅力とその裏にある知られざる現実の狭間で、毎日のように喜怒哀楽がありフラストレーションの溜まる生活。現在も世界各国で暮らす日本人は少なからず経験していることでしょう。
それでもそこで暮らしている。
もしかしたら、本書のタイトルに有る『症候群』とは、本当は「愛するがゆえに気になる、許せない」「それでもやっぱり〇〇が好き」と言った感情に近く、筆者は、パリで暮らした日々を、好きだったけど上手く行かなかった昔の恋愛を思い出すような気持ちで本書を書いたのではと感じました。
書籍情報
【30分で楽しめるシリーズ!】ボクはパリ症候群、だった。〜パリ症候群を発症しないためのケース別処方〜
著者:近藤 淳司
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