英語習得、上達の源とは?  | 英語への情熱 第7回

印田知美さん

英語取得、英会話を学ぶ上で何が大切かは、複数回にわたって紹介してきましたが、ここで国際通訳として第一線で活躍する印田知美さんは、どのような経験を経て現在に至ったのか?  何故そこまで頑張れたのか?
実際の彼女の体験から、彼女を動かしたもの、出会いについて語ってもらいました。

(編集部)


多くの先生に教わった大事なこと

さて、これまで6回にわたって英語にまつわるこちらの回顧談を交えたエッセイを、一方的ではありますが皆さんと楽しく語ってきました。ここでもう一度だけ、大学時代を含む20代前半の頃にタイムスリップさせてください。

地方出身の私大生である私は、父の会社に経営危機が起こり(高校3年生の時は、家族と私に様々な試練が続き、一生分近い厄を落としたと思っています)毎月の仕送りを可能な限り補おう、どうせなら「英語」に関わることをと思い、大学では3回講義を休むと成績「A」はなしという出席の厳しいクラスの多さに加えて、英検1級受験準備、そして様々な英語関連のバイトに明け暮れていました。

今もオフの日(日曜日の半日だけですが)でも「ボーっとする」「時間をつぶす」ことはなく、何もしなかった日は経験も成長もなかった日だと猛反省して、旅行の時も朝から晩まで分刻みで動く性分は、この頃に培われています。

バイトでは、英語教材の電話営業も何度か経験しました。中学生のお子さんがいるご家庭の電話番号リストをもらい、ひたすらコールドコール(「結構です!」と冷たく切られる電話のこと)をかけるのは、なかなかガッツが要るものです。
「翻訳下訳」のバイトは、時間ばかりかかる大変に疲れる作業で、私を雇ってくれたプロ翻訳者が、げっそりとした青白い顔で「翻訳者になるのだけはよしたほうが……」のようなことを言われました。Googleなどない時代、朝から晩まで紙の辞書と首っ引きで、翻訳資料の語数は全て手でカウントしていた時代です(当時の翻訳会社には、翻訳を要する単語を数える度にカチカチ鳴るハンドカウンターが有りました)。

今振り返りますと、塾講師、家庭教師での経験は大学客員講師として、翻訳下訳は実務翻訳者として、電話営業はマーケティングキャリアやフリーランスとしての自分を「売る」スキルにつながり、英語関連の仕事ならとにかく何でも、という幅を作ることができました。
つまり、全てのトライ、全ての経験といったことが、今のキャリアや人生そのものにちゃんと生かされているというのも面白いと思っています。まだ悟りを開く年齢ではないかもしれませんが「人生に何事もムダなことはない」「経験が大事。‘Fail early & fail often’! (早いうちから、できるだけ「多く」失敗しよう!)」という或る意味、冒険的、アメリカ的(?)とも言える、肝っ玉の据わった発想や行動がもたらしてくれる可能性について、いつの頃からか本気で信じ、自分から積極的に経験を求めるようになりました。

同時通訳というキャリアがあることを知ったのも大学時代、そこで通訳のリアルなロールモデルを見つけられたのも大学時代でした(実際の駆け出しフリー通訳になったのは、2社の外資系企業勤めを経験してからですが)。忙しい日々の中、息抜きとモチベーションを同時に得られる場として、Amazon がなかった頃の本屋さんはいつも身近な存在で、いつも「英語学習コーナー」に直行しては、そこで「同時通訳者」による著作物が数多く並んでいるのを目にしました。
文法や語いの「知識」が先行していた学校英語からコミュニケーションで実際に「使える」実用英語への「移行」を模索し、リスニングやスピーキングでフントウしていた英語過渡期に有った私にとって、カセットテープ(!)に録音されている学習者用に調整された英語でなく、実際にナマの英語を聴いて + 瞬時に理解し + 今度は分かりやすい日本語として間髪を入れずに話すなんて、同時通訳者という人のアタマの中は一体どうなっているのかと本当に思っていました(この素朴な疑問については今もよく聞かれることですが、何事もトレーニング、慣れと経験だと分かりました。そう実感したのは、あれからゆうに20年以上経ってからのことですが)。

ラッキーなことに、当時の私にとって神業と思えた同時通訳の草分け「國広正雄」先生の講義を大学で毎週受けられ、土曜日になると原宿の公民館で開催されていた、やはり業界第一人者のひとり「松本道弘」先生のお弟子さん達による「TIMEを読む会」に参加する機会を得ることもできました。当時から、英語に関する著作を数多く世に出されていた先生が提唱された「英語道」(=宮本武蔵のように英語を「極める」という考え)という言葉にいたく共鳴し、自分の英語キャリアにおける座右の銘のようにしてきました。

「知の巨人」としてお茶の間でも有名人となった論客のビン底眼鏡「渡辺昇一先生」(上智大学名誉教授)から「知的生活」について刺激を受け(ご自宅の二階は本で溢れかえり、その重さでいつか天井が落ちると先生の博識ぶりを物語る膨大な数の蔵書を知る人たちはハラハラ心配していたものです)、リラクセーションとしてのカラオケの効用についてお伺いし、松本先生が目の前に座られた懇親会の席で占い(意外なご趣味?)のお話をお聞きしました。

私を動かしたもの

そして、通訳エージェントでのバイト先で出会った海外経験豊富なフリーランス通訳者から10年間、プロとして様々な指導を受け、実社会でお金を頂いて働くということの厳しさ、自己トレーニングの大切さを徹底的に教わり、万年受験生のような世間知らずな英語大好き娘のど根性を根本から鍛えてくれました。

この連載で既にお話しましたが、元全国大会出場レベルのバスケ部(補欠)出身ですから、「気力」に火がつくと、「体力」が超人ハルクになり、いくらでも仕事できてしまうのです。友人たちにもビックリされましたが、昨年は2日間の屋久島トレッキングで50km歩き、地元のガイドさんに「ガイド」が向いていると言われ、スカウトされそうになりました。

こうして、「気力」「体力」をフル活用することで、仕事やプライベートでこれまでに数多くの素晴らしい方々に出会う機会に恵まれてきました。見上げるとキラ星のような私の先生たち、ロールモデルの方々には心から感謝しています。


(編集部)
バスケ部で培った気力・体力が印田さんの英語習得の源だったとは、予想通りでしょうか(笑) 英語、英会話だけではなく、何事もマスターしていくためには、単に勉強するだけではなく、何よりも関連したこと、出会いへの積極的な行動です。気力と体力はその為の「元気の素」ですね。


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印田知美さん

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