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専門性の高いボキャブラリーを高めるには?| 英語への情熱 第4回

英語のボキャブラリー。英単語はなんとなく知っていても、とっさに出てこないのがフレーズ、センテンスと言ったもの。特に会話となれば、ある程度必要なボキャブラリーは持っていたいものです。
今回は日英同時通訳として活躍する印田知実さんに英語のボキャブラリーの高め方について語っていただきます。

(編集部)


一昔前とは違うボキャブラリーの学び方

私の高校時代(英語学習の自分史を振り返りますといつもここに戻ってきますので、私の中の原点と思っています)、まだ紙の辞書が主流だった頃、分厚い通学カバンはダサい(格好悪い)と思われていましたので、当時まだ自己が確立できていなかった自意識過剰な私のカバンはクールを演出するかのように、出来るだけ薄くしていました。

それでも辞書だけは必ず入れて、単語を調べる時は発音アクセント、派生語、イディオムまで時間の許す限り赤ペンを付けて、辞書がふくらんだように変形して手垢でボロボロになっていったものです。
「クラウン」、「ジーニアス」、「デイリーコンサイス」辞典から大学では、「英英辞典」、「シソーラス(類義語)辞典」、「時事英語辞典」やフリーランスで翻訳も始めた時に必須だった英和辞書の「新英和大辞典」(26万語収録でゆうに5kg以上の重さが有り、気軽に持ち運べるようなものでは有りませんでした)、「ビジネス技術実用英語大辞典」、など数々の紙の辞書から、カシオ電子辞書(15年前以上に、歌詞の英訳コンクール審査員を務めた際の贈呈品です)が取って代わり、そして現在は長い間、スマホ、タブレット、PCと3つのデジタルデバイスを駆使するなど、いつでもどこでも世界中の無数の図書館をポケットに入れて持ち歩くことができるようになりました。

有難いことに、今はウェブ検索しますとネイティブの音声付で即座に単語の意味が分かりますし、様々な英語学習サイトでも詳しく分かりやすい単語、用例、文法の解説などが多くの場合「無料で」提供されています。
ネット世代の読者の方には信じられないかもしれませんが、「検索」機能がない時代(恐竜時代のような大昔に生きていたように思えますが)翻訳などをしていて、辞書で調べがつかない単語が有ると、在日大使館に直接電話して聞いたり、国会図書館に出かけて行って資料を調べないと分からないことが有ったりしたのです!
限りなく進化するテクノロジーのおかげで、英語だけではなく、様々な外国語習得や業務のためのツールがますます便利に、限りなく身近になっています。しかも、私たち日本人が話す日本語の中にもカタカナ英語が無数に入っているわけですから、平均的日本人の英語ボキャブラリーは無意識のうちに確実に大きくなっています。

私はこれまでの英語学習において、特にボキャブラリー獲得に対しては膨大なエネルギーを注いできたと思っています。
英語のプロとしてクライアントから信頼され、相応のお金を頂いているわけですから、ボキャブラリーはいくら有ってもこれで良いということはありません。
今の通訳者としての完璧な理想は、ネイティブ、ノンネイティブとコミュニケーションする時に、日英両言語の一般知識、業界の専門知識は当然のことながら、様々な背景、文化的理解を反映した細かなニュアンス、クライアント(オーディエンス)のタイプ(一般聴衆、エキスパート、ミーティング参加者)の知識レベルまで加味した一番適切な単語が素早く自然に口をついて出てくることです。ボキャブラリーを広げて、それを使いこなせることは、自分が読む聞くインプットとしての英語の理解度だけではなく、話す書くのアウトプットの洗練度を上げるのにも欠かせないと思っています。

どうやってボキャブラリーを増やすか

さて、本稿第4回まで読んで頂いている読者の中には、「Graceの言いたいこと(「とにかく、何でも良い? ので気力体力に任せてガンバること」)は分かった気がするけど、毎日何かと忙しい今のワタシ(ボク)は、一体どうやってボキャブラリーを増やせばよいの?」というお悩みにお答えします。

よく、「新しい単語や表現に出会ったら、使ってみること」というアドバイスを聞かれたことが有ると思います。
でも一体どこで?
ここで、皆さんに質問します。「IT時代を生きる私たちにとって、一番身近なツールは何でしょうか? 」

そう「スマホ」ですね。
私自身の長年の経験から申し上げますとベストなのは、「大学ノート」(このノート活用法につきましては、また別の機会に!)ですが、場所も取らず手軽に、しかも月額料金以外は基本的には無料でドンドン無限に使えるスマホを活用して、「メモ」アプリに日付を入れて、その日に見知ったボキャブラリーを書き溜める、そして都度メモを見直す、追加、更新する、同じメモアプリで良いので、その下のスペースに日記を書くつもりでその単語を使って、英作文してみるというのも有りだと思います。
おそらく朝起きてから夜眠るまで、スマホ(SNS中毒になっていませんか? タイムマネジメントにおいては、一番の要注意ですよ)チェックをする習慣が有るので有れば、そのチェック先を「メモアプリ」そして「英語学習アプリ」に代えてしまいましょう!
今は優秀な人気学習アプリが有料・無料で山ほど有りますから、紙ベースの参考書、問題集同様、自分に一番フィットすると思うアプリを選んでみて、これが良いと思ったら、ボキャブラリー用アプリとして一つに絞り込み、とにかく細切れ時間で「続けること」です。

こちらの経験をお話しますと、今は仕事としてそれぞれ業種、業務に見合う十分且つ適切な専門性の高いボキャブラリーが必要不可欠ですが、「スキマ時間で英文雑誌、新聞をオンラインでとにかく読むこと」「洋画はあえて字幕付きで見て、新しいフレーズなどの和訳も意識すること」「日記または自分の考えなどを好きなだけ英語で書くこと」等々、強いて勉めるお勉強でなく、日常生活の中で積極的に且つ可能な限り自然な形で英語に触れる、親しむ時間をできるだけ増やすことに尽きると思います。

ながら族(この言葉、まだ有りますよね? 今でいう「マルチタスキング」)で「聞き流す効果」についてよく聞かれますが、私は仕事をしている時以外、YouTubeや海外ニュースを常時流しています。机に向かうだけが、学習(「学ぶ」、この言葉が本当に大好きです!)とは限りません。
電車で1人座っていれば何か読めますし、満員電車ならリスニング、もしそのスペースさえなければ(ニューノーマル時代では過去のものになりますね)アタマの中で (!) 独り言を言う等、時間がない、スペースがない、というのは単に言い訳に過ぎません。つまるところ、全てはやる気の問題だと思います。絶対に達成したい、達成したら思い切りウレシイ、達成しなくてはいけない etc. うんと高い目標を掲げて、英語の基本となるボキャブラリー獲得に日々是努めましょう!

興味を持って、新しい単語を覚えるというのは、脳科学的にも脳細胞が喜び、目や表情がイキイキしてきますので、アンチエイジングにもピッタリです。ボキャブラリーが豊富になると会話も弾みますから、外国人の友人や知人が増える、海外旅行も楽しい、キャリアにももちろん、プラスです。ほら、たくさん良いことが起こりますよ!

Let’s build our vocabulary NOW!


(編集部)
英字新聞や雑誌を買わなくても、少なくとも私達の周りにはスマホアプリ、You Tubeなど英語に触れる機会は山ほどあります。「英語、会話を学ぶ」と言えば、学習する、スクールに通うと言った機会を作ることをイメージしがちですが、印田さんが言うように、日常の中に様々な英語のセンテンス、フレーズがあり、その都度一つ一つ覚えていくことが早道なのかもしれませんね。ちなみに、ボキャブラリーを増やしていくのは「build」なんですね。勉強になりました!!


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【編集部よりお知らせ】


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