当サイトの連載や、電子書籍コーナーでもお馴染み『英語への情熱/レッツ・スピークアップ!』の著者でもある日英同時通訳で活躍していらっしゃる印田知実さんと、その本の編集を担当し、当サイトの編集部のメンバーである近藤淳司との対談をお届けします。
TOEIC990点満点34回にて自己記録更新中の印田さんと、自らの著書で『ボクはパリ症候群、だった』と自称する近藤氏が、日本人の英語について熱く語ります。最終回は、これから変わる英語の学習についてです。
印田さん、近藤氏のプロフィールはこちら
身をもって知る学び
近藤:僕は受験勉強では、英語をところどころ、つまみ食いみたいに勉強してて。でもそれではダメなので、レベルの低いところから高いところへ向かって地道に勉強しようということを決心して、なんとか難関大学と呼ばれるところに入学できるレベルになりました。繰り返しますけど、僕は浪人をしてそこに辿り着いたんです。
印田(敬称略):それは、でも大きな気づきですね。やっぱり個人個人で結構向き不向きってのもありますし、人間ってある程度自分で身をもって知ると言うか、自分で体得していくという体験もやっぱり大きいですね。
近藤:そうですね。結局楽をして点数が上がるということは、もちろんそれも一つは効率性という意味においては大事だとは思うんですけど、こと語学においてはやっぱりフィジカルが重要です。英語とかもそのリズムで覚えたりとか、やはり息遣いだったりすると思うので、フィジカルの要素も強いんじゃないかと思います。
効率性とかテストの点数だけとかでは計りきれないところ、まさにその国語力が問われたりとか、喋るときとかも息遣いとか、そういうものも深く関わってくるがゆえに、遠回りをするかもしれないですけど、そこの部分をしっかりやっておかないと駄目と言うことだと思うんです。
印田:そこですね。土台ができれば本当にいくらでも大きくできますので、土台をしっかりしないと崩れちゃう。崩れていく、イコール自分の自信も崩れてしまいますし、大きなものになっていかないと思うので。
中学校の英語ってのは私は全然おかしくない、間違ってないと思いますし、あと私、コロナ禍のときに中学2年生3年生を個人教師で教えてたんですけども、最近すごく良いテキストなんですよ。すごくナチュラルな英語に近づいているんだなっていうのが解りました。
近藤:その通り、いいテキストになってきてますね。
変わっていく学習、テキスト
印田:私のところの中学のときはもう本当に、「This is Lucy.」とかそういう世界だったので。今、ディスカッションのページがあったり、英語をどうやったら実用的に使えるだろうかっていう苦心をされてらっしゃって、英語のテキストを作成された先生方の苦労がしのばれますね。工夫が垣間見えるテキストになっていますので、私は素晴らしいと思ってます。
近藤:本当にもう、一時期と比べて、英語教育もどんどんどんどん進化をしていて、常に変化してます。ですが、結局学ぶのは我々人間ですし、印田さんの本の中で後半の実践編というところでいろいろと書かれていらっしゃいますけども、地道にコツコツやるところも決して無視してはいけない。そういうインプットとアウトプットを大事にしないといけないというのはやはり、筆者である印田さんと編集である僕の間での共通理解だったと思います。
印田:そうですね。やはりそれは何でしょうね、言葉に対する思い入れっていうのが強くあります。本当に良い作品(本)ができたのかなっていうふうに考えています。
近藤:我々が目指したのは「これをやれば3日で英語がぐんぐん伸びる!」とか「10日間でTOEICの点数が100点上がる!」とか、それはそれで一つの重要な気づきをもたらす可能性もあるし、実利がある部分もあると思うので、それを否定をするものではないですが、実際のところ、長い目で見ると皆さんがやってることというのは地道なことでしかないということですね。
印田:基本、そうですね。そこがそうなんだなってわかったところで今日から何をしようかっていう、やはりきっかけ作りっていうんですか、そこの部分が何かチャージができるような本になっていれば、とても嬉しいなと思います。
楽しくやることが大事
近藤:最後に、英語の情熱を保つコツ。これを聞かせてください。
印田:繰り返しになってしまって、結びの言葉にはならないかもしれないんですけども、やっぱりハッピーでいることですよね。
ハッピーでいれば良い眠りができてきて、それが英語、普段使ってるものは英語だったりしますし。
意識が英語に向いていると、ハッピーなことが英語に混ざる。そういうことがやっぱりどうしても多くなって、切っても切れない、もう生活と表裏一体みたいになってるところがすごくあります。
自分の中の「英語におけるハッピーを見つけよう」というようなことができれば、例えば映画が好きだったりですとか音楽だったりですとか海外に興味があったりですとか、何かそこをきっかけにして自分の中の日常のハッピーが広がっていけば、もちろん苦難というか意識的な努力が必要ではあるんですけども、おのずと苦難、苦労だけじゃなくって、広がっていくっていうのが、おそらく実感でわかっていくと思います。
近藤:印田さんの「英語におけるハッピー」とは?
印田:私が18のときかな、大学受験のために上京しましてですね。私にはものすごい成功した叔母がいるんですけども。今90歳ぐらいです。いわゆる自分で会社を起こして、今、会長さんとかされてるその女性なんですけども、「自己実現するのよ」って言われたんですね。その言葉で、私が18歳のときから、自己実現しようというふうにずっと思ってきたんだなとすごく思ってます。
近藤:それがまさに、知識を実らせるということですね。まさに印田知実という名前と共に生活を送っていらっしゃる。そしてその自己実現の毎日を少しずつ繰り返していらっしゃるのかな、というふうに思いました。「自己実現」、実に深い言葉、たった一言ではあるんですけども、それが幸せの素であるというのは、お話を伺っていて、ストンと納得がいった言葉です。
今日はお忙しい中、ありがとうございました。
印田:本当にありがとうございました。
編集後記
趣味のバンド(オリジナルインスト)でライブをやる時、必ず一曲は洋楽のヒット曲をやっています。(それがウケるとちょっと複雑な気もしますが)。以前ライブに来ていた海外在住の友人が、「あの曲(洋楽)良かったよ。でも何で変な歌い方まで真似するの?」と。よくよく考えると『コピーバンドあるある』ですが、耳から聞いた歌をそのままコピーするのが癖になっていました。友人は「一旦、日本語に訳してから歌詞の意味を考えて、英語で歌ったらいいよ」と。印田さんと近藤君の対談を見てその時のことを思い出しました。日本語(国語)でよくその意味や内容を考え、その上で英語の歌詞を歌ってみる。それが外国の方にも十分通じる歌になっていくのだと思いました。(編集長 松本)
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