ワインを楽しんでみたいけど、ちょっと敷居が高い……そう感じている方、とても多いのではないでしょうか。私もワインを学ぶ前の20代前半の頃はそうでした。
でも大丈夫。知識があろうとなかろうと、私の周りのワイン女子のみなさんは、様々な方法でワインを日々エンジョイしているようです。
彼女たちがどんなキッカケでワインを好きになり、今はどんな楽しみ方をしていて、どんな悩みや疑問を持っているのか。インタビューを通じて皆さんのリアルなワインライフを探ってみました。
前回に引き続き、「表情筋トレーナー」として活躍されている山田万希子さんにお話を伺いました。前編はこちら
聞き手 瀬川あずさ 近藤淳司(編集部)
「ワインは人生に彩りを持たせてくれるものだと、心から思っています」
熟成を楽しむコツは?
編集部 近藤淳司(以下、近藤):ところで、先ほど熟成ワインに興味があるとおっしゃっていましたけれど……瀬川さん、当たり年を調べられるようなサイトってあるのでしょうか?
瀬川あずさ(以下、瀬川):ありますよ。「ヴィンテージチャート」というものがあって、ワインのインポーターさんなんかが公開しているサイトなどに掲載されています。「ワイン」「ヴィンテージチャート」で検索すれば、産地別、タイプ別にその年のブドウの出来を調べられますよ。
昔は、ワインショップで買った持ち歩ける紙のチャートを手帳にしのばせていましたけど……今はスマートフォンですぐに調べられるから、本当に便利な世の中になりました。私にはファインズさんのチャートが見やすいので結構こちらを活用しています。
山田万希子さん(以下、山田):えー、それ見てみますね。
瀬川:眺めていると面白いですよ。年によっては、ボルドーは素晴らしくてもブルゴーニュはそれほどでもないとか、赤は良くても白は普通とか、産地やタイプによっても差がでていて。
とはいえ、必ずしも、グレイトヴィンテージ(気候や収量に恵まれた素晴らしい年)を買えば必ず美味しく飲めて、オフヴィンテージ(気候や収量に恵まれなかった年)が美味しくない……というワケではないのです。
良い年のワインは熟成まで時間がかかるため、本領発揮できていないことも多く、若いうちに飲む場合はオフヴィンテージのほうが美味しく飲める場合もあるんです。あと、オフヴィンテージは造り手の技術力が試されると言われていて、いい造り手はあまり良くない年でも様々な醸造技術でカバーして、素晴らしい味わいを造り出してくれるんです。
しかも、お値段もやや抑えられているので、素晴らしい造り手さんのワインを比較的リーズナブルに楽しむことができるのも魅力です。
近藤:ヴィンテージチャートを読んでワインを味わうのはなかなかツウな楽しみ方ですね!
瀬川:飲み頃の絶妙なタイミングを計るのはとても難しいですし、私もまだまだ極められていないですけれど、そこを楽しめるのがワインの醍醐味であり奥深さだと思っています。
あとはいい意味で裏切られることも多いのですが、そこもまた楽しい。「結構熟成していい感じになっているだろうな」と思ったワインがまだちょっとかたかったり、「まだ早いかな?」と思って開けたワインがピークを超えていたり。同じワインでも保存状況やさまざまな要因で個体差が出てくるので、ホント読めないんですよね。人間と一緒です。
万希子さんも年齢よりずっとお若く見えるから、出会った時にびっくりしましたけど……そういう驚きのワインとの出会いもありますし。そういた個性を楽しめるのもワインならではです。
山田:面白い! 人もワインも個性の時代なんですね。ヴィンテージを意識すると、ワインの楽しみがより一層広がる気がします。
前向きなライフスタイルのために……
瀬川:万希子さんはいつも、笑顔の造り方やポジティブなライフスタイルを発信されていますけれど、そういった生活の楽しみのなかで「お酒」って必要だと思いますか?
山田:それは絶対に必要だと思いますね。ワインを知ってから生活も心も豊かになりましたし……。
瀬川:それは嬉しいですね。大げさではなくて、私もワインとの出会いで人生変わりましたし、そういった方が周りにとても多いです。
山田:先程も言った通り、お料理がより美味しく味わい深く感じられるようになったのは大きいですね。ワインを楽しむようになってから作るお料理も変わったし、ここ10年くらいでお料理まで上手になったんですよ(笑)。
瀬川:さすがです! 万希子さんは、もともとお料理上手そうですけど。
山田:いえいえ。でも、「ワインと合わせることによってお料理ってこんなにおいしくなるんだ!」ということを知って、意識して食事をするようになってから、舌が敏感になったというか。舌で色々と味わいの記憶ができるようになった気がします。
瀬川:確かに、ワインを最大限に楽しもうと思うと、意識を集中させるし、そこで感性が刺激させられるんですよね。その研ぎ澄まされた感覚が、お料理だったり、仕事だったり、他のことにも生きてくるのかもしれません。
山田:本当に! ワインは人生に彩りを持たせてくれるものだと、心から思っています。あとは、今まで知らなかったワインとの出会いがあるのもワクワクしますし。最近のワインのトレンドがあったら教えて欲しいです。
瀬川:そうですね。万希子さんがお好きだと言っていたオレンジワインは、やはり人気ですし個人的にもブームですね。
万希子さんはイタリアンレストランによく行かれてるので、イタリアワインを良く飲まれてると思いますが、イタリアだとFriuli-Venezia Giulia(フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア)州というとことがオレンジワインのホットな産地です。もちろんそれ以外でもたくさん造られていますが。
山田:その州、名前が長くて覚えられないです(笑)
瀬川:イタリア北東部の州です。私のインスタグラムで紹介したイタリアワイン「デッシミス ピノ グリージョ」の産地もここなので、良かったらチェックしてみてください。
山田:是非、チェックしてみます!
スパークリングで生活を彩る
瀬川:そして、万希子さんと言ったらいつも泡(スパークリングワイン)を楽しまれているイメージなのですが、やっぱり普通のスティルワイン(泡だっていないワイン)とスパークリングワインを比べると飲むときの気分って変わりますか? 私はスパークリングワインってとても気分があがるんですけど……。
山田:めちゃめちゃ上がりますね! ワインを飲む日で泡を飲まない日はないです。お食事した後、泡飲まなかったな……と思ったら、最後にバーに寄って、一杯飲んだりもしますし。
瀬川:やっぱり泡の役割は大きいですよね。乾杯のスパークリングは気分も上がるし、胃が刺激されて「これから食べるぞ」っていう態勢が整うし。万希子さんは、どんなタイプの泡が好きですか?
山田:そうですね。フレッシュで辛口でキリッとしたものでしょうか。
瀬川:特に万希子さんみたいなファッショニスタは泡好きが多いですよね。マリリン・モンローやココ・シャネルといった歴代のセレブリティもシャンパーニュをこよなく愛したと言われていますから……音楽家や芸術家などのアーティストにもファンが多いですけれど。
山田:そうした豊かな感性の方たちが愛するお酒というのは、納得です。華やかですし……。
瀬川:そう、スパークリングワインのグラスを携えている姿だけで、女性がキレイに見えたり、男性が紳士的に見えたり、その人が楽しく幸せな生活を送っているような印象を与えられるんですよね。映画のワンシーンで、良くシャンパーニュは登場しますけれど、リッチな暮らしぶりやスペシャルなひとときを表現する小道具的な役割も果たしていることも多いです。
もちろん映画だけでなく、シーンとしてその場を盛り上げるためにはシャンパーニュは大活躍するので、ホームパーティーや会食のスタートにはやっぱり欠かせないし、乾杯の儀式って大切だと思います。
山田:私はカラーも「シャンパンゴールド」が大好きなんです。キラキラしてそれだけでウキウキした気持ちになれます。
近藤:なるほど。でもここでひとつ問題提起すると、シャンパーニュって「リッチ」なイメージがあるからこそ、価格面でハードルが高い印象を与えてしまうと思うんです。それって少しもったいない気がするのですが、そういう苦手意識は、これまで特に持たれたことはないですか?
山田:そうですね……。シャンパーニュも超高級なものからリーズナブルなものまで幅広いですし、今はスパークリングワインも種類豊富ですし、シーンによって使い分けたらいいと思います。
高級なのは誕生日とか、仕事がうまくいったご褒美とか、そういう特別な時に開けると、やっぱり感動しますけれど。デイリーに飲む普段用スパークリングワインでも素敵に演出したら、美味しく楽しめます。
瀬川:本当にその通りだと思います。例えばチリやオーストラリアのスパークリングワインだと1,000円くらいで楽しめるものも沢山あるんですよね。
先日、とあるテイスティング企画でチリのコノスル(※)のスパークリングをいただきましたけれど、本当によくできていると思いました。大手だから資金力もありますし、クオリティーも安定していますし、デイリーな泡としては本当にオススメです。ちょっといいグラスを使えばより一層美味しく楽しめます。
山田:確かにグラスによって全然味って変わるじゃないですか。形もそうですし、やっぱりキレイなグラスだと気分も上がります。自分にしっくりくるグラスを選ぶことって大切だなぁと思います。
食事とワインだけじゃない、進化系「マリアージュ」
山田:今日は色々なお話をして、ワインへの興味が更に湧いてきました。最近はコロナの影響でなかなかイベントができないですけれど、今度『笑顔とワイン』でコラボレーションのイベントとかできるといいですね。
瀬川:それいいですね! 是非ぜひ一緒にやりましょう。ワイン+αで楽しめる会ができないかなぁといつも模索していて、万希子さんとコラボできたらとても嬉しいです。
近藤:ワインとお料理は当たり前ですけれど、そこに音楽が加わったり、芸術が加わったり、+αの要素が加わることで、更なる楽しみが広がりますし、まさに「笑顔」が伝播しますからね。
瀬川:本当に! まさにこれこそ素敵な「マリアージュ」ですよね!
近藤:では、最後にうかがいたいのですが……ワインをこれから楽しみたいと思っている20代、30代の方に向けて、何かアドバイスはありますか? 過去の自分を振り返って、こうしておけば良かった……という失敗談でもかまいません。
山田:そうですね。当時は教えてくれる方も周りにいなかったし、情報も少なかったので結構手探りでしたからね……。今はSNSで気軽に情報を検索できるし、本当に恵まれていると思いますので、そういったツールをぜひ活用して欲しいですね。私も、ワインへのハードルを下げてもっと気軽に楽しめるような自分ならではの発信をもっと出来たらなって、今日すごく感じました。
瀬川:ぜひぜひ、よろしくお願いします! 今日は本当にありがとうございました。『笑顔とワイン』のコラボも楽しみにしていますね。
(完)
後日談
山田:近頃は家飲みを楽しんでるので、ワインショップやネットでワインを買う機会が以前より増えました。
また、あずささんが言われた「造り手のセンスがエチケットに集約されているのでデザインに共感する=自分の好みと近いのでは」といったお話から、積極的にワインをジャケ買いするようになりました!
「表情筋トレーナー」としてご活躍! 山田万希子さんのInstagramのアカウントはこちら、公式サイト「Sourire de M」はこちら
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