ウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏によるニッカウヰスキー余市蒸溜所のレポートを、実際の取材映像でお届けします。ウイスキーの味わいや香りを決めるともいわれるブレンド技術。実際のブレンダーの生の声を通してブレンダーの仕事とそこから生まれるニッカウヰスキーの魅力を伝えていきます。
(編集部)
住吉祐一郎の蒸留所訪問 ニッカウヰスキー余市蒸溜所 Part.2
国際的なウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏による
ニッカウヰスキー余市蒸溜所のレポートPart.2です。(※Part.1はこちら)
ニッカウヰスキー 元チーフブレンダー佐久間正さん、現チーフブレンダーの尾崎裕美さんにインタビュー
- ブレンダーの役割と仕事
- 最終商品にする際の決め手
- ニッカのブランドと品質を守るために心がけていること
- ブレンダーとして心がけていること
- これからのニッカウヰスキー
- 竹鶴WWA受賞について
- ニッカセッションのWWA受賞、日本のウイスキー100年に向けて
さらに住吉祐一郎氏による
- ニッカミュージアムの紹介
- 「余市10年」の試飲
をお届けします。
住吉氏による取材記もあわせご覧ください。
2住吉祐一郎のニッカウヰスキー余市蒸溜所レポート(2)
この動画(Part.2)では、ニッカウヰスキーの元チーフブレンダーの佐久間 正氏と、現チーフブレンダーの尾崎 裕美氏にお話しを伺いました。
普段はあまり語られることがないブレンドのやり方についてですが、「既存ブランドの品質を保つ」という重要なテーマがあります。そのために2000種類ものサンプルを取り、一か月かけてテイスティングをするそうです。一日約100種類の匂いを嗅ぎ分けノートに記入するというのは、大変な作業です。それを日々行っているというのですから、まさに職人技ですね。
ニッカウヰスキーには、千葉県の柏市に柏工場があり、そこでブレンドが行われています。現チーフブレンダーの尾崎氏は、品質を守ることに関して心がけていることは?の問いに「妥協をしないこと」と非常にシンプルに力強く即答されました。このくらいならわからないのではと妥協をすると、お客様は敏感ですぐにバレてしまうそうです。
ブレンドでは「品質を保つこと」の他に、「新しい商品を造ること」も大切な要素だそうです。
ニッカの「竹鶴」はモルト同士(余市・宮城峡)をブレンドしたブレンデッドモルトウイスキーですが、2023年のWorld Whiskies Awardsにおいて見事「ベストブレンデッドモルト」を受賞し世界一のブレンデッドモルトに輝きましたが、今回の受賞の凄いところは、何と言っても年数表記のないボトルだということです。
年数表記をしていないボトル=年数の若い原酒を使用しているボトルですから、昨今のウイスキーブームによって使用できる原酒が限られている中、素晴らしいことだと思います。ここにも職人技が生きていますね。また、2024年は余市蒸溜所創設90周年ですから、節目の年を前に、ニッカにとって嬉しいニュースになったことでしょう。
そして「竹鶴」の影に隠れてあまり目立っていないのですが、このブレンデッドモルトのカテゴリーにおいて「セッション」が「ベストインターナショナル」を受賞しています。
この「セッション」は、余市・宮城峡の原酒だけでなく、スコットランドの蒸留所のモルトウイスキーもブレンドされて造られています。尾崎チーフブレンダーが語っているように、日本のウイスキーのこれまでの100年というのは、海外産原酒に支えられてきた歴史があるため、その節目の年にこのような賞を受賞できたというのはとても意義深いことだと思います。将来的には、海外産原酒や国内産原酒のブレンドの比率がボトルに表記されるようになり、消費者により分かりやすい内容となる日が来ることを願っています。
ところで、「セッション」の味わいですが、非常にバランスが良いウイスキーで、私はよくソーダ割りで飲んでいます。とても良く伸びて、爽やかで食事にも合います。個人的には少し濃い目が好みなのでソーダの量を調整しています。読者の皆さんも水割りやソーダ割り、ロックなど、さまざまな飲み方を試してみてはいかがでしょうか?
インフォメーション
取材レポートで紹介している「竹鶴」「セッション」はAmazonで購入いただけます。
住吉祐一郎氏の書籍紹介
ウイスキーに、誘われて
〜英語で旅するバーテンダー(ニュージーランド・カードローナ蒸留所編)〜
住吉 祐一郎/著 近藤淳司/編集
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