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水割りの伸びしろ / 今夜の一杯 クラガンモア 12年

クラガンモア 12年

興味はあるけど、BARに行ったことがない方に、BAR「HONESTY」のマスター田頭大輔氏が、BARの様々な話やお酒のお話をお届けします。

水割りの伸びしろ

「氷なしの、ウイスキー水割りですか…ちょっとだけ考えさせてください。」

某大手飲料メーカーにお勤めのKさんは、そのお立場にも拘らず、1人の酒飲みとしてBARに来てくださいます。
特に新しいBARが出来たと耳にすると、まず何度か足を運んでくださるようで、オープン当初は当店もずいぶんお世話になりました。
飲み歩いているからこそ本当によくお酒、酒場をご存知で、大変勉強させていただきました。

そのKさんが改めて、氷なしで、トワイスアップではなく、水割り

穏やかなお方なので、そうではないと知りつつも試されているようで少しばかり緊張します。

その日は少しつまみながら召し上がっていたので、そこから考えました。
つまみの邪魔にならないよう無難に、バランスと水との相性の良いタイプのブレンデッドで。
ワインくらいの度数がいいかなと、半ば無意識に小振りのワイングラスを手に取っていました。
そこへウイスキーと、その倍程度の量の冷水を注ぎ、馴染むように丁寧にスワリング。

個人的には、ウイスキーなどのブラウンスピリッツを食べ物と合わせるのは難しいと思っていますが。
これは食中酒でもイケますね、と言ってくださり一安心。

自分でも作って飲んでみて、何を合わせたらいいか、なんてお話しをしました。
この時の、ワインくらいの度数、は自分の中で食中酒の一つの基準になっています。

水割り、と一口に言っても色々ありますよね。
当店だと、ふつうの水割りなら今はウイスキー30mlに冷水60mlでお作りします。
濃い目が良ければ30:45、もっと濃く30:30でハーフロックなんて飲み方もありますね。
薄目なら30:75あたりまで、それよりも薄いと消えてしまう風味があるかも知れません。
以上は氷が入る場合なので、実際にはもう少し氷が溶けて加水されます。
それでちょうどワインくらいのアルコール度数になりますね。

ご自宅で召し上がるなら、最近は「前割り」をおすすめしています。
元はと言えば昔からある焼酎の飲み方ですが、最近ではウイスキーにも波及しているようです。
好みの割合さえ決まれば、難しい作り方も要らず、自然に馴染んでくれます。

ちなみに当店ではいたしません。
ただでさえ静かな店なのに、仕事が減ってしまいますので。

今夜の一杯 クラガンモア 12年

自分が素直に好きなんだろうと思うのですが、悩んだ末にやっぱりと手に取るボトルがあります。

クラガンモア、12年。

麦でできてるんだなぁ、というのが体感できる優しい甘さ。
りんごやバナナ、いちごを思わせるさわやかなフルーツ香。
クリーミーで、バニラやアニスなどの心地良いスパイス感も。
統合すると、控えめながら上質な洋菓子のようですね。

今回テイスティングしたのが瓶の底だったこともあって、香味が全開でより味わえました。

水割りとの相性も良いですし、ソーダ割りでもロックでも楽しめる一本です。
クラシックなウイスキーですが、改めて飲むとお客さまも、こんなに美味しかったっけ、なんて言ってくださることもあります。

今回おすすめのウイスキーとしてご紹介しておきますね。
ちなみに、これだけ優秀でありながら今のところまだ手頃です。
もうちょっと評価されても良いのではと思いつつ、あんまり人気になるのも困りものです。


水割りに向いたウイスキー、水との相性のことを少し記しておきます。
あくまで初心者の方向けのお話としてですが、当店ではこんな風にお伝えしています。

酒屋さんなどで並んでいるボトルを見ると、色が濃い方が美味しそうに見えたりしませんか。
ですがこれは避けておいた方が無難でしょう。

理由を一口に言うと、熟成のために使った樽由来の、タンニンが強い可能性があるから。
タンニン、赤ワイン好きにはお馴染みの、植物から出る渋味の成分ですね。
ウイスキーの色は樽から出る色なので、色が濃いということは樽の成分が強く出ています。
そういったウイスキーに水が加わると、その渋味・苦味はより強調されることが多いんです。
ただし、稀にそのタンニン感がお口に合う方もいらっしゃいますが。

じゃぁ水割りに向いているのはと言うと、比較的明るい色合いのものということになります。
香味は、華やか、軽やかで、りんごや桃などの白いフルーツのニュアンス。
ハーブのさわやかさだったり、きれいなシロップ様の甘さ、などなど。
これらの香味が出やすいのが、バーボンの熟成に使われていた空き樽、いわゆるバーボン樽です。
どうでしょう、水との相性は良さそうな気がしませんか。

ちなみにですが、渋くて苦いウイスキーも、お湯割りにすると美味しく飲めることがあります。
30:70~80くらいの割合にして、少しだけ砂糖を加えると良いと思います。
期待と違ったものも、工夫次第で上手くなるかも知れません。

今日もお付き合いくださってありがとうございました。
懲りずにまたいらしてくださいね。


Information 記事で紹介したお酒 ■クラガンモア 12年(Amazon)

BAR HONESTY 店舗情報

■住所:〒120-0033
東京都足立区千住寿町2-17 松岡ビル4F
http://www.bar-honesty.com/

■電話番号:03-6806-1737
※お電話は営業時間内にお願いします。

■営業時間:17:00~翌2:00
定休日 水曜日

■12席 ※1グループ4名様まで 貸切応相談

クラガンモア 12年

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