興味はあるけど、BARに行ったことがない方に、BAR「HONESTY」のマスター田頭大輔氏が、BARの様々な話やお酒のお話をお届けします。
はじめましてのお客さま
「こんばんは。
まだどなたもいらっしゃいませんので、どうぞお好きな席に。
こんな暑い日にありがとうございます。
一杯目はどういたしましょう、なにか決めてらっしゃいますか?」
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当店はビルの4階にあります。
入口の扉にはガラス窓があり、お店の前のエレベーターが開くと扉越しに光の加減で気付きます。
知っているお客さまであれば、大抵はシルエットなどでどなたがいらしたか判別できます。どなたがいらしても、当店はまず「こんばんは」です。
「いらっしゃいませ」よりも柔らかいような気がしますので。
当店には幅広く色んな方にご来店くださりますが、今日は初めていらっしゃる方のようです。
「ジントニックですね、かしこまりました。」
今夜の一杯 『ジントニック』
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ジントニック。
バーでの一杯目としては、どちらのお店でも一番オーダーの多いものではないかなと思います。
こだわりのある方は銘柄の指定があったり、最近では「なにかクラフトジンで」なんて方も少なくありませんが、今回はただ「ジントニック」とのこと。
お店のハウススタイルを見ようとしているのだとしたら、飲み慣れている方かも知れません。とは言え、過度に緊張しても良いことはないですし、一杯目からお好みをあれこれ掘り下げるのも無粋。いつも通りのものを手早く丁寧に作ることにします。
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当店ではただ「ジントニック」と言われた場合、ベースのジンには比較的フルーティでさわやかな『タンカレー』を使用します。
10オンスのタンブラーに、8分目に収まるように氷を2つ。
グラスを冷やすためにステアして、出た水をよく切り、氷を1つ取り出します。
そこへジンを30mlと、1/8にカットしたライムを絞り入れる。その上にフタをするように、さっき取り出した氷を戻します。
こうしておけば、ライムがぷかぷか浮いてくるようなことがないので邪魔になりません。氷を戻した後で、ジンが柔らかくなりますようにと再度ステア。
馴染んだところでトニックウォーターでグラスを満たし、軽く混ぜて完成です。
「お待たせしました。
写真ですか、うちは大丈夫です、どうぞどうぞ。」
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最近はやはり写真を撮ってから飲む方が多いです。
撮る前に一言くださる方は安心しますね。もちろん氷が溶ける前には口を付けていただきたいですが、ショートカクテルでなければそんなにすぐ崩れるような作り方はしておりません。
緊張は、提供後の方がありますね。
お口に合うと良いのですが。楽しむお邪魔にならないよう、感想を確認したい気持ちを抑えて、お客さまが手を止めてお顔を上げるのを待ってお声がけします。
「うちはどうやって見付けてくださったんですか?
やっぱり検索ですか、わざわざありがとうございます。
街のこんな端っこにあるもんで、うちには探してくださった方だけがいらっしゃいますね。なので、いつも平和なんです。」
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なぜ来てくださったのか、特にお一人の方は気になるものでいつも聞いてしまいます。
そんなお話をしているうちに、グラスがカラになった音がしました。
どうやらお口にも合ったようです。
「次はどうしましょう。気になるボトルなんてありますか?」
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ご来店が初めてのお客さまはこんな感じでお迎えしています。
初めてのお店はお客さまこそちょっと緊張するかも知れませんが、一杯目を飲み終える頃には居心地が良くなっているかも知れません。
居心地が良いということは、きっと相性が良いのだと思います。是非そんなバーを見つけてください。
本日はご来店ありがとうございました。
どうかお気を付けて、行ってらっしゃいませ。
またご縁のある時にでもいらしてくださいね。
Information 記事で紹介したお酒 ■『タンカレー ジン』をAmazonで見る
BAR HONESTY 店舗情報
■住所:〒120-0033
東京都足立区千住寿町2-17 松岡ビル4F
http://www.bar-honesty.com/
■電話番号:03-6806-1737
※お電話は営業時間内にお願いします。
■営業時間:17:00~翌2:00
定休日 水曜日
■12席 ※1グループ4名様まで 貸切応相談
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