BARの経営 戦略と戦術(前編)

飲食店の戦略と戦術

一般企業では、通期や半期、あるいは四半期ごとに予算(売上)達成のための戦略と、それを現場レベルで実践していくための戦術が組まれ、さらに個人の目標、成果へと落とし込まれますが、飲食店、特に個人経営店においては、この経営戦略と戦術が蔑(ないがし)ろにされることが多く、それもまた『水もの商売』『自転車操業』と言われる所以のひとつだと思っています。
今回は、私のお店BAR DEEPのケースを元に、飲食店の戦略と戦術についてお話ししたいと思います。

予算達成に向けての戦略と戦術

BAR DEEPでは、2022年9月からスタッフ全員と経営理念を共有し、戦略を考え、各個人ごとに目標を立て、達成すべく3ヶ月走り抜きました。(※以前の記事)

ちなみに当店では、毎月月初に3時間ミーティングを実施。
ミーティングの内容は、
 〇 先月の反省、来月の目標…90分
 〇 仕事に対するマインドの教育…90分
 〇 実技指導・質疑応答等…30分
最後は、みんなで軽く飲みに行って解散という感じです。

ミーティングで月の戦略と、個人がやる仕事(戦術)の目標と前月の結果を話しながら、次につなげていくというマネジメントをやっていましたが、 今回、結果の数字だけを見ると、9月から12月までの四半期は計画予算は未達という、一般企業で言えば責任者の評価ダウン(私は査定で低評価)という結果となりました。(笑)

とは言え、失敗から学ぶことはたくさんあり、課題も明確に見えてきました。

今四半期見えてきた課題

当店の戦略の一つとして「お客様への新たなお酒の提供」があります。
お客様が知らない新しいお酒を少しでも知っていただくことを目的に、毎月オススメのウイスキーを数本選び、お試し価格として提供しています。だいたい3種類ほど選定をして、飲み比べなどをしていただけるようにしています。
(※サントリーウイスキー山崎12年 通常1,800円→1,000円と言う感じで)
結果的にお客様も好きなお酒のレパートリーが増え、当店の顧客単価も上がっていくと言う狙いです。

売上予算は未達の3か月でしたが、その戦術の内容を紐解いていくと、12月に大きな変化があり、次の2点が解りました。

⑴ 毎月達成していた目標杯数を、12月は達成できなかった。

戦略の一つ「オススメのウイスキー」のラインナップは毎月変えていますが、10月、11月は目標杯数を全員達成しました。
ただ、12月もスタッフは同じ手法で販売を実施しており、残念ながら目標杯数に達することが出来ませんでした。

達成できなかった理由は明白で、「お客様の好みを聞かず、その商品の特徴をとりあえず全部言うこと」が、当初は良かったのですが、徐々に通用しなくなったからです。

具体的な事象を説明すると「とにかく商品の良さをひたすら説明する」「勢い任せ」という状況で、お客様側からすると、「最終的に何が良いかわからないから飲まない」になったということです。

これは、どの企業でも部下・後輩をお持ちの方は間違いなく経験されたことがあると思いますが、「言われたことはやっているが、真意を理解していない」の典型的な事例の一つだと思います。コミュニケーションの基本である相手に合わせる・要望を聞くことができていなかったということです。

一般企業で言えば、上手くいかなくなった戦術の見直しを、日々のコミニュケーションで改善できなかったということでしょうか。

年明けの今月のミーティングで、コミュニケーションの基本を私から説明したので、今後は、傾聴に徹しお客様の好みに合わせてオススメのウイスキーを提供していくはずです。
ご来店いただいているお客様は、是非スタッフの接客ぶりをみていただければと思います。(当店インスタはこちら)

⑵ 12月の売上予算を達成できなかった要因の一つに、あるスタッフの意識の低さがあったこと。

リアルな話になってきますが、2022年12月26日までは、12月の日販(その日の売り上げ)の予算に対して黒字でした。
ですが、実は最後の4日間で1人体調不良が出て、その1人が最終日まで欠席した為、最後は未達で終わりました。(※それくらい連日人通りも多く、満席でした。)

年始のミーティングの際、体調不良で休んだスタッフから出た一言は、「先日はご迷惑をおかけしました。今月から体調管理を徹底して頑張ります」でした。

果たして、迷惑をかけられたスタッフが欲しかった一言は、この一言だったのでしょうか?
「今月こそ予算達成!」「あと少しで達成」という想いで必死に働いてきたスタッフからすると、「ふざけんな!」という気持ちだったと思います。(※私がスタッフだったら、きっとブチキレてます。笑)

これも、若手社員あるあるの「目標達成への執着(自分の仕事の成果へのこだわり)の弱さ」であり、ある種の「逃げ口上」だと感じました。

そのスタッフは、

  • まず体調不良後、すぐに病院に行く等、体調改善に全力を尽くさなかったこと

 →例えアルバイトであっても社会人として「働く」と言うことの意識の低さ、甘え

  • さらに体調不良後、直ぐに他のスタッフへ代理を依頼しなかったこと

 →本来自分のやるべきことを、すぐに上司や他のメンバーに話し解決策を相談しなかったこと

  • そして月初のミーティングで、自分のせいで予算が未達になってしまったことを素直に謝罪しなかったこと

 →全メンバーでの予算達成に向けての動きに気遣いが無かったこと

これらを実行しなかったから、今回のような恨み節を買うようなことになりました。

当人は私から指摘に対し泣いてました(優しく言いましたよ)が、今回の経験は、本人にとって良い経験になったと思います。管理者として、こういう話し合いの場を作ることが大切で、チームでやる仕事の本質は、熱量の意思疎通だと改めて感じました。

コロナ禍になり、なかなかリアルで本音を話すことは少なくなってきたと思いますが、どこかのタイミングで腹を割って話す機会を作っていくことは大切だと思います。

変化の中で、見えてきた課題

上手く行かないことばかりながらも、各個人の目標数字への意識や人としての成長は右肩あがりに伸びてきていますが、ここで見えてきたおおきな課題もあります。

それは、当店のような形態では「個人への依存度が高まってしまう」と言うことです。

外食産業で例えると、「〇〇さんいる?」→いないなら行かない。
一般企業で例えると、「顧客とのやりとりは担当者しか知らない」あるいは「担当者が休んだ場合、誰も対応ができない」という状態です。

店舗としてのブランドが必要な段階に入っており、それを構築しない限り、属人化は避けられません。
※ちなみに中洲は、ほとんどが店ではなくスタッフ(キャスト)にお客様がついています。

属人化を防ぐ打開策としては、例えばミッキーマウスだけに会いにいく為にディズニーランドに行くわけではなく、夢の国(非現実感)を味わう為に、ディズニーランドに行っている…という感じで、利用者側が感じる価値(目的の大義名分)を店側が作りあげる必要があります。

店舗として、どんなブランドを作っていくのか?については、次回にお話ししたいと思います。


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