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#14.Z世代への行動指針

Z世代への行動指針

飲食店を取り巻く問題を取り上げると星の数ほどあがってきますが、商社営業職、飲食店経営者、コンサルタントアシスタントという経歴から見えてきた課題感をこの記事でお伝えしていきます。
※このコーナーで定義している飲食店は、スナック、キャバクラ、バー等も含んでいます。

前回の記事で、行動指針を現場に落とし込む時には、「意思決定の基準に余白(遊びの部分)を設け、個々に考えさせるプロセスを包括させる」ことが重要であると解説しました。

今回は、若い世代の社員、特にZ世代と呼ばれる人達に対する、行動指針の落とし込みについて、どこに注意すべきなのかを具体的な当店の事例も交えて解説していきます。

今回取り上げるテーマは、

Z世代への行動指針

です。

1.Z世代の全体的傾向

Z世代の特性は、この講座のシリーズでも色々と解説してきました。(参照: 06. 飲食店の人材教育「Z世代の人材について」)

ポイントとしたのは、

Z世代の特性上、基準が明確でないと動けない教育を受けている

ということでした。

少し否定的な意見になりますがZ世代は、

  • 生まれながらにして、インターネット上に答えがある状態で育っている
  • 教育上、嫌なことはやらなくて良い。そして、教育者もハラスメント扱いされると問題になるので、指導がしにくい。

という環境で20年近く教育を受けてきています。

つまり

  • 答えがないコト・モノに対処ができない。
  • 指導方法の最終手段として「怒る(怒られる)」が確立されていたが、時代の流れと共に「怒る(怒られる)」ことがなくなったので、自分で自分を律していくしかない。

とも言え、昭和・平成世代からすると、Z世代は、成人した人間が持っているべきと考えられる一定レベル(教養)が低下していると言われます。

なぜこのようなことが起きるのかというと、
今の時代、新しいゲームが発売された翌日に攻略動画がSNSにアップされるように、あらゆる物事の攻略本が常にインターネット上に掲載されているようなもので、想像したり、試行錯誤したりする機会が圧倒的に減っているということなのです。

  • 「問題に直面する→検索する→答えがある」という状態で、社会に出るまでのZ世代は、教育上、答えがないものがない。
  • ゆえに、問題に直面した時に「力技でも何でもいいから、とにかく使えるモノは使って」という思考にならない。
  • そして、半ば強制的にやらされることがなく、人とコミュニケーションを取りながら、自分の中での基準を作って進めるというプロセスが生成されないので、少しでもキツいことがあると、「取り組まない・やらない」という選択肢をとることができる。
  • 更には、自分の中で基準が醸成されない中で、SNS等から膨大な情報を浴び続けていて、判断する基準や材料がないので、それらしい人の意見には、右に左にと流されてしまい、キツければやめてしまう。

結果、「問題解決力が乏しい人材が多い」という分析をしています。

だからこそ、パーパスと連動した「考えさせるプロセス」を包括している行動指針を示す必要があります。

2.当店の意思決定の基準

当店の場合、
「カッコいい」「カッコよくある」こと
を意志決定の基準と定めました。(参照: #11.ビジョンマップの作成)

「凄く抽象的な基準だな…」と思いますよね?
ですが、この抽象的な表現が余白となり、考えさせるプロセスとなります。

「〇〇をやれ」等、指示することはいくらでもできますが、それでは人は動きません。
そして、人は、判断に迷いが生じた瞬間、立ち止まってしまいます。

例えば、

「不測の事態に、相談できる上司がいない、どうしよう…」
「勝手に行動したら、上司に怒られるから、何もしない」

と思ったことは、若い時に誰でも経験したことがあるはずです。
もちろん、当店のような飲食業だけでなく同じょうなケースはあると思います。

これは、

経験不足を含む、判断基準を自分の中に持っていないが故に起きる現象

です。

この「思考の停止」「動けない」を突破するには、企業側が意思決定の基準を構築しないといけないと考えています。

当店の場合、「迷ったら、自分がカッコいいと思った行動をする」ことを指示しています。

カッコいいと思う基準は人によって様々ですが、

人によって様々だからこそ、議論を活性化させるトリガーになる

ということです。

特に後輩から先輩にもの申すことは難しいですが、
「こっちの方がカッコいいと思うんですけど…」と言いにくいことも、免罪符的な形で意見を言える仕組みになっており、意思決定の基準になっているからこそ、「これとこれ、どっちがカッコいいと思う?」等、日常的な会話の中でも、カッコいいという言葉を発することにより、行動指針が形骸化しません。

このように個々人が考えるプロセスと考えた後に行動に移す基準を構築することで、
「問題解決ができる人材を育てていける。」と考えています

2-1. 見えてきた課題

この指針を当店で掲げて半年ほど経過し、経営陣も含め、少しずつカッコいいという基準が浸透してきています。
※例えば、会議でスタッフを指導する時は、「ダサいことをしないように」と言ったりしています。

意思決定の基準を浸透させるべく日々指導をしていますが、しかしながらまだまだ浸透していないと感じています。

これは、仮説になりますが、

  • 基準に準じて行動する前段階である(責任感の欠如からくる)問題を問題として捉えきれていない。
  • 又は、自分の中で判断ができるようになってきたものの、失敗を恐れている、判断した行動に自信が持てていない。

の2つが浸透が進まない要因でないかと考えています。

後者は、なぜその行動を取ったのか?をヒアリングし、行動をしたことをまず評価し、失敗を許容することをもっと伝えていくことで改善していけそうな感覚は持っています。

しかし、前者の責任感の欠如については、教育の方向性は「問題を自分ごと化すること」だと思いますが、なかなか確立できず、未だに解決の糸口すら検討もついておりません。

引き続き、試行錯誤していこうと思います。

まとめ

今回は、2回に渡り、
「意思決定基準を明確化する際、考えさせるプロセス(余白)を作ることの重要性」
「なぜ、考えない人が増えてきているのか?」
について説明しました。

前述の通り、当店も意思決定の基準が完全に浸透しきっているわけではありませんが、この活動が社内でだけではなく、採用活動にも大きく影響してくると思います。

本件について、色んな経営者と話をしますが、
組織における2:6:2の法則で、与えられた指示を勝手に解釈して自発的に動き結果を出す人は、上位2割の超優秀な人で、ほとんどが動けない人が多い。だからこそ、中間層の6に該当する人達が、前向きに動けるようにしていく仕組み作りが必要」と聞きます。
※2:6:2の法則参考URL https://thanks-gift.net/column/engagement/262-law/

当社のパーパス・行動指針に関するシリーズは、今回で一旦終わりになりますが、今後も引き続き人材教育に関する内容を記事にしていきます。


■筆者 : 福岡裕記の記事紹介

本サイト「飲食業の明日」コーナーにて、福岡裕記氏による記事の中から、飲食店の経営課題に関連する記事をピックアップしました。

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