飲食店を取り巻く問題を取り上げると星の数ほどあがってきますが、商社営業職、飲食店経営者、コンサルタントアシスタントという経歴から見えてきた課題感をこの記事でお伝えしていきます。
※このコーナーで定義している飲食店は、スナック、キャバクラ、バー等も含んでいます。
前回、Webマーケティング視点の重要性 「現状と問題点」では、
店舗公式のWebサイトやSNSの構築を疎かにしている店舗が多すぎる
というテーマについて、
飲食店の現状、そして、問題点としての「飲食店側のデジタルリテラシーの低さ」についてお話ししました。
今回は前回の続き、2つ目の問題、そして問題解決の考え方について解説いたします。
2-2. Web制作会社が、飲食店との取引を敬遠している
2つ目は、飲食店特化型のWeb制作会社以外、Web制作会社は飲食店と取引をしたくないという実態があります。
私もWeb制作会社と何回か打合せをしたことがありますが、どの企業も飲食店での実績が少ない。
飲食店の実績がなぜ少ないのか理由を聞いてみたところ、
- 一般企業と同じように説明をしても、理解力が乏しいので、余計にリソース(時間やお金)がかかる。
- 飲食店がWebサイトにかける予算が低く、対応したくない。
- お店の公式サイトを持つことだけが大きな目的となっている。
との事でした。
それを聞いた時は、「まぁそうでしょうね…」と思ったことを覚えています。
Webサイト制作を例にすると、
Webサイト制作は、あくまでも飲食店側が伝えたいメッセージをWebサイトで表現するだけ
なので、飲食店側が伝えたいメッセージが固まっていない限り、Web制作会社側は、サイトを制作したくても制作できません。
伝えたいメッセージも一緒に考えてくれるWeb制作会社もありますが、伝えたいメッセージが何なのか?というところから一緒に考える時間や労力(コスト)がかかってくるので、結果的に費用感が合わなくなるという結末になってしまうことも…
そして、露骨に「安くしてよ!」「簡単なものでイイよ!」と言われることもあります。
残念ながら、店舗のWebサイトは自分の持ち物という観点が薄いのです。
ありものを買うのではなく、一緒に作るものなのです。
店舗のWebサイトに、
それなりのサイトがあれば「安くてそこそこでもイイ」という考えは、
味や材料はどうでもいいから、それなりの料理を出せばいい!
インターネットという大きな商店街で、陳腐な店でも構わない!
と言っているようなものです。
ここにも抜け出しにくい負のループが存在しています。
問題解決の方法
実際、現場にたってシェイカーを振っていた身なのでわかりますが、経営者自ら現場に立ち、現場作業+WebやSNS更新を継続して行っていくことは、容易ではありません。
体力勝負という面もありますが、それ以上に接客による精神的な疲れが半端なくあります。
よく同業同士の会話でも、本当に疲れてクタクタの時は、店で少し寝て帰ったり、家に帰って倒れ込むように寝たり等、良く耳にします。
※その分充実感もありますが。
それでも、BtoC(一般消費者)を相手にしたビジネスで、何百万人、何千万人と繋がっているWebやSNSに掲載=出店していないということは、損でしかありません。
前回の記事の解決策と類似するところがありますが、
経営層同士で高め合うような文化を醸成していき、経営について議論を交わしていくこと(耳を傾けること)
Web制作会社がやる気を持って対応してくれるような予算やコミュニケーションをとること
この2つが重要です。
Webコンテンツを制作する場合、Web制作会社が何でも全て準備してくれるわけではありません。
写真素材や伝えたいメッセージの原文等は、飲食店側で準備しなければなりません。
そして、前述したように、お店の強み、ウリ、他店との差別化できるもの、そして何よりも「お客様にどう楽しんでもらいたいか」といったお店からのメッセージを持っていなければ、何も伝えられません。
ここでどうして良いかわからない時には、少しでもWebリテラシーが高い同業の経営者へ気軽に相談しましょう。
基本的には安価や無料で制作することはオススメできませんが、
「WebやSNS上にも、出店をする」「自店のPRの場を設ける」
という感覚を持つこと
は最低限必要だと思います。
そして、従業員の方にもこのことを理解してもらい、例えば日々のSNSへの投稿やサイトの更新などを手伝ってもらうなど、広報の重要性とその効果を全員で共有することも大事です。
ユーザーが、インターネットで探しているものは、「行ったことも、見たこともないお店」です。
WebやSNSからお店のサイトを見て、「どんなお店なのか」をイメージします。
信頼のおけるお店、美味しそうな料理、食事が楽しめそうな雰囲気、そしてお値打ち価格。
いわゆる「ちゃんとしたお店」であるかどうかが、
ネットだけで判断されてしまうということ
を理解して頂ければと思います。
まとめ
飲食店を事例に書きましたが、昼の一般企業やBtoB事業者にも同様のことが言えます。
この記事をご覧になられている皆様も、何か困った時やわからない時は、インターネットを使って調べますよね?
何かを検索している時に、
このWebサイト見にくいな…
このWebサイト、どこに営業時間が書いてあるのだろう?
さらに企業であれば
事業内容や商品が「カッコつけたテキスト」だけでよく解らない
どんな会社とどんな取引をしているのか全くイメージできない
と思ったことはないでしょうか?
逆に、Webサイトの情報が充実している時は、
納得して商品を購入したり、より知りたい情報だけ電話で確認をしたり、問合せメールしたら直ぐに返答が来たという経験はないでしょうか?
意識はしていないものの、見にくいWebサイトやレスポンスの無いWebサイトは、無意識的にお客様にストレスを与えてしまっています。
今の時代、WebやSNS、インターネットとは、24時間接続している状態で日々生活を送っています。
WebやSNSは、無形資産の為目に見えにくく、何十万円、何百万円と言われると高く感じてしまいます。
前述したように、月々無料、安価なサービスや、個人に頼めるサービスなどもあり、「安価に作る方が得」のような思い込みもあるかもしれません。
しかし、その投資から何百万円、何千万円を生み出したら、投資した何十万円、何百万円は、高いでしょうか?
今一度、ご自身の店舗や会社のWebやSNSでのサービスのあり方について考えてはいかがでしょうか?
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