従業員目線での働き方については、前回の記事「アルバイトという働き方」で触れました。
今回は、雇用側(経営者目線)での内容を書いていきたいと思います。
外食産業は人材不足と言われるが
昼の仕事も夜の仕事も、「人手不足」という言葉を聞きますが、実際は、
「優秀な人材が不足している」が、正確な表現だと思います。
では、なぜ求人を出しても、優秀な人が集まってこないのか?ということになります。
当たり前の話になりますが、優秀な人は賢いので、自分にメリットがないと入社してきません。
先日、東京から大切な友人が博多にきたので、久々に深夜まで飲みました。
最後に、女の子がいる店に行くことになり、
接客してくれた女の子に色々と話を伺うと大学3年生との事でした。
そこでもう一歩踏み込んでなぜこの店で働いているのか聞くと、「時給が高いから」の一択でした。
※勿論、深く聞いたわけではないので、他にも理由があるかもしれませんが…
時給が高いことそのものは、良いことだと思います。
ここで重要なのは、彼女達から返ってきた
「時給が高いから」
という言葉の奥にある真意は、時給以外でのメリットがないということです。
また外食産業全般において(サービス業全般とも言えるかもしれませんが)、
- 店長…社員(移動、交代)
- 従業員…アルバイト・パート(期間、時期、使い捨て)
のイメージが強く、時給以外のメリットが感じにくいところもあります。
実態として、
- ファーストフード
- ファミリーレストラン
- カフェチェーン
- 居酒屋チェーン
等がその形態で成長してきたことも背景にはあると思います。
お客として外からそう見えるので、働くことに関しても
「期間が決まったアルバイト」だという認識が強いのかもしれません。
外食産業の求人広告の実態
特に時給換算での雇用形態の場合、「時給が高いこと=生産性が高く、価値があること」が
完全にイコールとなれば良いですが、現実的には難しく、一方で、時給が他社より何円高いのか?をずっと競い合うことにも限界があります。
多くの飲食店の求人広告は、
- 高給与
- シフト自由
- 服装自由
- まかない(食事)あり
- アットホームで和気あいあい
等、「楽に働ける」という要素以外、記載がないことがほとんどです。
さらに、「店舗のスタッフ全員揃って、笑顔で写真」も定番の広告です。
どのお店でも仕事内容が、「オーダー受け、配膳、下げ膳、店内清掃」など共通で、イメージしやすいこともあり、他店との差別化や具体的仕事内容に触れにくいことがあるとは思います。
確かにそういうアピール内容が悪いということではないですが、冷静に考えると、
「本当にそれで成り立つのか?」
「ウリはそれだけ?」
って思いませんか?(笑)
まかないがあると当然嬉しいと思いますが、「まかないがある」ということが、本当にその店・企業で働きたいと踏み出す重要項目になるのでしょうか?
結局、そのような求人広告のアピール内容に沿った人材(そこだけ重視している人材)しか集まらない、採れないと言う現状になっているのではないでしょうか?
求人での訴求内容
当店も今、求人の打ち出し方について見直しをかけていますが、最近の若い人は、給与面以外での訴求も重要で、ビジョンを重視する傾向が強いと感じています。
その店・企業が何を目指しているのかを明確にする必要があり、それがないと給与面や待遇等、単純な条件比較にしかなりません。
今の時代、転職や副業が当たり前の世の中になってきているので、一生同じ仕事に就く人は少ないはずです。
「この店・企業が目指すビジョンの中、自分(求職者側)がここで働けば、何ができるようになるのか?」
給与面での訴求も大切ですが、キャリアパスの明確化が重要視されていると感じています。
将来の夢がバーテンダーや鮨職人など明確に描き切れている人は、雇用上の諸条件より、そのお店で働いたブランドや経験を得るために申し込みをすると思いますが、
外食産業で働く人の大多数が、
- (ダブルワークの場合)昼職の給与水準の低さによる生活費の補填
- デスクワークが苦手等、昼職の仕事が合わない
- アルバイトをしていたら、そのまま社員へ昇格した
- 具体的目標は無く、漠然とした夢や願望を持ち、アルバイトを転々とする人達 (※実態としてはこれが意外に多く、応募しても面接にこない人も本当に多い! リアルな話、今月12件応募があって実際に面接にきた人は、1人。)
等の理由だと思います。
要するに、目的が明確にある人ばかりが申し込みをしてくるわけではないということです。
寧ろ、そうでない人が働いている人がほとんどだと思います。
だからこそ
「当店で働くと、どんなことができるようになるのか?」
「当店で働くと、どんなことをやらせてくれるようになるのか?」
等、ある種、就職後の期待値を高めることが大切のように思います。
当店では、毎月アルバイトスタッフを全員集めて、先月の振り返りと次月の目標を共有するMTGを実施しています。開催月によりますが、3時間以上打合せすることもあります。
同業からは、このMTGについて揶揄されることもありますが、本来、業務中には教えることができない姿勢や考え方等を教えています。
新しく入ってきたスタッフに同じ事を教えていますが、
「可視化して体系的に残していくことがあまりできていないなあ」と、この記事を書きながら思いましたので、
これからはドキュメント(記録物)として残していこうと思います(笑)。
【お知らせ】 この記事をご覧の皆様に、投稿者 福岡さんのお店「BAR DEEP」よりお知らせです。
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BAR DEEP オフィシャルサイト
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fukuhashi0101@fukuhashi.jp
この記事に関するコメント
コメント一覧 (2件)
福岡さん
いつも投稿読ませていただいています。
飲食店の経営者目線での発信は非常に興味深く、勉強になってます。
又、色々教えてください!
村上様
記事を読んでいただき有り難う御座います。
飲食店を軸にしていますが、「仕事」に向かうスタンスは、
一般企業とも変わらないと考えております。
今後も、業界や店舗で起きている様々な課題を可視化していきたいと考えております。
引き続き、宜しく御願いいたします。