日本ワインは今や全国各地で造られており、地元の道の駅などで販売されたり、全国有名百貨店やネットで全国販売されたりと地場産業の一つにもなっています。
そんな日本ワインの魅力について、ワインスクールの講師でありワイン専門家の瀬川あずささんに教えてもらいました。
日本ワインってどんなワイン?
「日本ワイン」とは、日本で栽培されたブドウを100%使用して日本国内で醸造されたワインのこと。産地も品種もさまざまで、多様なスタイルを楽しめます。
※よく聞く「国産ワイン」とは意味合いが違うので後述します。
皆さんは普段どんなワインを飲んでいますか?
ブルゴーニュ? ボルドー? それともカリフォルニア?
世界では様々なワインが造られていますが、実はわが国日本でも魅力的なワインが沢山生産されています。
ワインラヴァーを目指すのならば、世界の主要産地のワインだけでなく、自国のワインも知っておきたいものですよね。
日本のワインは日進月歩で進化していて、そのバラエティは実に豊富。
海外からの外国人観光客がようやく戻ってきそうな今こそ、日本ワインの魅力を世界に発信するための準備をしておきましょう
知っておきたい日本ワインのマメ知識
日本ワインを楽しむためにマスターするべきポイントは、代表的な産地や品種、生産者……など幾つかあるのですが、その前に必ず押さえておきたいのが「日本ワイン」の定義です。
日本国内に流通している様々なワインが、どんなブドウを使っていてどの様に造られたワインなのかをしっかり認識しておくことが大切。
そうすることで、日本ワインならではの魅力や個性がより明確に理解できるようになります。今回は、日本ワインを楽しむために最初に知っておくべき基礎知識をお届けします。
「国産ワイン」と「日本ワイン」
“国産ワイン”と“日本ワイン”——この違いをご存知ですか?
聞いただけではあまり変わらない気がするかもしれませんが、実は大きく意味合いが異なっています。
まず、「国産ワイン(国内製造ワイン)」は、原料の産地を問わず、最終的に日本で生産されているワインのことを指します。
例えば、海外から輸入した濃縮果汁を利用したワインも、日本の工場で瓶詰め&出荷されたら「国産ワイン」と言うことができます。
それに対し、国産ぶどうのみで造られる純国産ワインを「日本ワイン」と差別化して表現します。
最近はこの言葉の使い分けが専門家のみならず、一般消費者にも少しずつ浸透するようになってきました。
日本には様々なワインが流通していますが、我が国ならではの大地の恵みを感じることができるのは島国のテロワール※が詰まった「日本ワイン」に他なりません。
多彩な産地と品種
日本ワイン産地としては山梨県や長野県が有名ですが、今や北海道から九州地方まで、様々なでエリアでワインは造られています。
また、シャルドネやメルロといった世界に知られるヨーロッパ系品種のワインもあれば、日本の気候風土に根差した固有品種のものもあります。
ですから、ひとことに日本ワインといっても、そのスタイルは様々。日本ならではの品種として最も知られているのは、白ブドウでは「甲州」、黒ブドウでは「マスカット・ベーリーA」です。
甲州は繊細な和柑橘のニュアンスを呈し、清らかながら複雑味を持ち、洗練されていてエレガント。マスカット・ベーリーAは湿度の高い日本の気候にも順応する貴重な品種で、心地よい果実味とまろやかさを特徴としています。
近年では、北海道余市のピノ・ノワールや新潟のアルバリーニョなども注目されています。
マリアージュの愉しみ
さて、日本ワインはどんなシーンで楽しめば良いのでしょうか。
もちろん、単体で味わっても魅力的なのですが、私はお料理と合わせて楽しむことを特にオススメしています。
日本ワインの素晴らしいところは、決してマリアージュの相手(お料理)の味わいを邪魔しないところ。更には、料理の美味しさをさりげなく引き立ててくれるような、日本的な奥ゆかしさを持ちあわせているところです。
よって、マリアージュが難しいと言われる繊細な和食の味わいにも、スッと自然に寄り添います。日本食材ならではの薬味の香味や出汁の旨み……そういった要素にも実にキレイに調和するから不思議! お造りやお椀とも是非積極的に合わせてみてください。
いまや和食は様々な国で楽しむことができますが、そこに必要不可欠なパートナーとして、日本ワインが世界的に脚光を浴びる日もそう遠くないかもしれません。
いかがでしたか? 日本ワインを楽しむことは、自国の大地を愛で、心をこめてワイン造りに励む日本の生産者に敬意を表すことにも繋がります。ぜひ積極的に味わって、日本ワインのファンを一緒に増やしていきましょう。
オススメの日本ワイン!
グレイス グリド甲州
・生産者:中央葡萄酒
・産地:山梨県
日本を象徴するブドウ品種「甲州」。果皮の色は美しい藤色(グリ色“Gris”と表現します)で、そこから出来上がるワインは、実に清々しく洗練された味わいになります。
色調はどこまでも澄んでいて、香りは澄み切った白桃に仄かな和柑橘のニュアンス。追いかけてくる白檀や白胡椒のようなアロマが、心地よい複雑味をもたらしています。
口に含むと、伸びやかな酸とフレッシュな果実味が広がり、余韻は滋味深さと旨味にあふれ、穏やかな飲み心地。華やかなのに主張しすぎず、凛としているのに親しみやすい……そんな絶妙なバランスが魅力の、日本ならではの一本なのです。
産地は日本を代表するワイン生産地である山梨県。ワイナリー数も生産量も共にトップを誇るワイン王国で、大手生産者から小規模生産者に至るまで、晴らしい造り手が切磋琢磨しています。
(編集部)
よくお土産やプレゼントで地方の日本ワインをもらうことがありましたが、そのワインことを色々と調べて、瀬川さんの言う「島国のテロワール」を感じながら飲むと、一味も二味も違う味わいになっていたでしょう。
この記事に関するコメント