ウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏による韓国初モルトウイスキー蒸留所「スリーソサエティーズ」のレポートを、実際の取材映像と住吉氏の取材記でお届けします。(編集部)
住吉祐一郎の蒸留所訪問 韓国スリーソサエティーズ編(6)
国際的なウイスキージャーナリスト住吉祐一郎氏による
韓国初となるウイスキー蒸留所『スリーソサエティーズ』のレポートシリーズ(6)です。
この動画では、マーケティング スペシャリストであるユービン・キムさんにインタビューしながら
- 樽の入れ替えについて
- 熟成庫の紹介
- 熟成庫建設予定について
- 現在の従業員について
を紹介していきます。
住吉さんの取材記も併せてご覧ください。
住吉祐一郎の取材記(6)
スリーソサエティーズには7名のスタッフがいますが、ウイスキーの製造に関わっているのは4名です。少人数のためウイスキーの製造だけではなく、貯蔵庫の樽の入れ替えなども全員で協力しながら行っています。大手の蒸留所には、樽の入れ替えを自動で行うことができる機械式のラックを装備した貯蔵庫がありますが、ここではフォークリフトを用いて作業が行われていました。取材時に雪は降っていませんでしたが、真冬にはマイナス28度(!)という、信じられない寒さになるため、除雪作業なども皆で手分けして行っているそうです。
ウイスキー蒸留所には、豊富な水源が必要だと取材記(1)で書きましたが、土地も必要です。というのも、蒸留をすればするほど樽を熟成させるための貯蔵庫が必要になるからです。そのための土地を確保することは、どの蒸留所においても悩ましい問題のひとつとなっています。スリーソサエティーズも例外ではなく、新たな貯蔵庫建設のための土地を意欲的に取得していました。
取材当日は、タイミング良く貯蔵庫の樽の入れ替えが行われているところを見ることができました。貯蔵庫はラック式の5段で、800~1000丁の樽が熟成されています。現在、貯蔵庫は4棟あるので、およそ4000樽が熟成されていることになります。韓国にはウイスキー蒸留所が2か所しかないため、スリーソサエティーズはウイスキー原酒を他社と交換することができません。そのため、シャンド氏がさまざまな原酒を造り分け、さまざまな樽を用いて熟成が成されています。
樽からアルコールと水分が揮発していく自然現象をエンジェルズシェア(天使の分け前)と呼んでいますが、スリーソサエティーズでは年間6パーセント以下だそうです。これは夏には猛暑となるケンタッキー州の15パーセントと比較するとかなり低い数値です。このような環境が、スリーソサエティーズ独自の味わいとしてウイスキーの熟成に反映されて行くのでしょう。
熟成に使用されている樽は、オークの新樽、バーボン樽やシェリー樽、ヨーロピアンオークやマディラワイン、赤・白ワイン、そして韓国の木材を使用したものまで多種多様です。これらの樽が、ここソウル郊外ならではの寒暖差の激しい環境でどのように熟成していくのか、この先が本当に楽しみです。
韓国ウイスキー蒸留所スリーソサエティーズ編(7)では、樽倉庫でのウイスキーの試飲や、ジンの試飲と製造方法について紹介していきます。
住吉祐一郎さんのインタビューも是非ご覧ください。
住吉祐一郎氏の書籍紹介
ウイスキーに、誘われて
〜英語で旅するバーテンダー(ニュージーランド・カードローナ蒸留所編)〜
住吉 祐一郎/著 近藤淳司/編集
プラグインアーツパブリッシング
¥980 (2022/10/11 11:05:57時点 Amazon調べ-詳細)
この記事に関するコメント