このシリーズの記事ではバーテンダーの私が、BAR初心者やウイスキーを初めて飲む人でも分かりやすいように、またお酒が飲めない小学生でも楽しめるような内容で説明しています。
そのため、厳密に言えば定義等が違うこともありますので、ご了承ください。
「こんなものなんだ!」と全体像を掴んでいただければ幸いです。
前回の記事では、
原酒を混ぜ合わせ、同じ味わい、同じ品質のウイスキーを製造するために、ヴァッティングする
ということでしたね。
簡易的な形でですが、私もブレンデッドウイスキーを作る体験をやったことがあります。
何のウイスキーをどれくらい混ぜ合わせるのか次第で、味が大きく変わったことを覚えています。
今回は最後の工程、瓶詰めについて解説していきます。
ヴァッティング、ブレンドされたウイスキーは、加水され、アルコール度数を調整する
ヴァッティング、ブレンドされたウイスキーは、そのまま瓶詰めされるわけではありません。
多くのウイスキーはヴァッティング、ブレンディング後、下記のような工程を経て、出荷されています。
ヴァッティング、ブレンディング後の工程
- ウイスキーを冷却後、フィルターで濾過
- その後、加水し、アルコール度数を調整
- ボトル詰め、ラベルを貼り出荷
それぞれ解説していきます。
冷却、フィルターで濾過する理由
ヴァッティング、ブレンドされたウイスキーをなぜ冷却するのでしょうか?
瓶詰めされたウイスキーが冷えると、白く濁ることがあります。
これが見た目がよくないという理由や、このことを知らない消費者が不良品だと勘違いするのを防ぐ目的で冷却濾過を行います。
冷却濾過されたウイスキーのラベルを良く見ると、「Chillfiltered」と書かれています。
※ちなみに冷却濾過していないウイスキーには、「Non-Chillfiltered」とラベルに書かれています。
では、なぜ白く濁るのでしょうか?
その理由は、熟成中に樽から溶け出る脂肪酸等の成分が冷えた時に濁ります。
この濁りは特に何か害があるわけではなく、単純に見栄え、見た目の問題です。
一方で、冷却濾過で取り除いた成分は様々な香りや味をもたらしてくれる成分でもあるので、冷却濾過されたウイスキーは、本来のウイスキのー味ではないという意見もあります。ワインや日本酒でいう、「オリ」に近いものだと思っていただければ良いかと。
また冷却濾過をしていないことを強調するために、中にはウイスキー樽の木くずがボトルに入っているウイスキーもあります。
※ブラックアダーシリーズ https://www.gaiaflow.co.jp/brands/blackadder
冷却濾過の有無はどちらが正解というわけではありませんが、一般的には冷却濾過していないウイスキーが好まれることが多く、ありのままのウイスキーを味わいたい!という人が多い印象です。
加水する理由
以前の記事で解説しましたが、ウイスキーの原酒のアルコール度数は、65度前後あります。
それらをヴァッティング、ブレンディングしますので、ヴァッティング、ブレンディング後も同様のアルコール度数があります。
ですが、スーパーや酒屋で販売されているウイスキーのボトルを見ると、概ね40度〜45度と表記されているウイスキーばかりです。
つまりこれは、65度前後から40度〜45度までアルコール度数を調整するために、加水したことを表しています。
加水される理由としては、
ストレートで飲んだ時に、最も美味しいと感じるアルコール度数に調整している
と言われていますが、他には「65度前後で瓶詰めすると、瓶詰めする本数が減ってしまうので、供給できる商品数が減ってしまう」等、売上・利益確保を考慮し、加水せざるを得ない理由もありそうです。
実際、何十年も熟成させ管理コストがかかっているので、「数百本しかウイスキーを瓶詰めできませんでした」となると、メーカー側も運営的に成り立たないと思います。
また、ウイスキー初心者の方や普段ビールやワインを飲んでいるような方からすると、アルコール度数が40度と聞くと、「そんなにアルコール度数が高いものなんて飲めない!」という声が聞こえてきそうですが、元々は更に高い65度から加水され、アルコール度数調整されて、40度前後に落ち着いているというものになります。
私もウイスキーデビューしたての頃は「アルコール度数40度!?無理無理!」と言っていましたが、慣れとは怖いもので今では、アルコール度数40度だと少し物足りないくらいです(笑)。
ラベル貼り・出荷
以前の記事でも紹介しましたが、だいたいラベルや瓶のデザインが変わると、味が変わると言われています。
普段あまり目にしないとずっと同じラベル・瓶のように感じますが、感覚的には5年〜10年くらいのスパンで、ラベル・瓶のデザインが刷新されていると思います。
参考までに当店にある商品をご紹介します。
商品は違いますがマッカランというウイスキーの場合、このようにラベル、瓶のデザインが違います。
左が旧ボトル、右が新ボトルです。
新ボトルの方が若干高さがあり大きく、デザインも角張ったシャープなデザインになっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
冷却濾過や加水されている事実を知らない人は、多かったのではないでしょうか?
概ね60度以上のウイスキーであれば加水されていない、もしくは少しだけ加水されているウイスキーと思って貰って良いかと思います。
原酒のアルコール度数に近いウイスキーは、加水されていない分、パワフルな味わいを楽しむことができます。
価格ですが、加水されているウイスキーと比較して、少し高めに設定されています。
まぁアルコールがより多く入っているので、当然なのですが…。
「ストレートではアルコール度数が高くて飲めない!」という人は、是非、ロックで飲んでみてください。
【お知らせ】 この記事をご覧の皆様に、投稿者 福岡さんのお店「BAR DEEP」よりお知らせです。
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