バーのInstagramの投稿を一例に、飲食業界のSNSの活用方法について感じる違和感について書いていきたいと思います
その投稿は、消費者行動を促す投稿になっているのか?
新入荷したウイスキーボトルの写真とメーカーがネットに掲載している味わい(テイスティング情報)を貼り付けている投稿をよく目にします。
私も現場に立っている時は、そのような投稿をよくやっていたので、投稿したくなる気持ちは非常によくわかります(笑)。
しかし、この投稿はいったい誰に向けて発信しているのでしょうか?
新規顧客獲得が目的でしょうか?既存顧客への案内でしょうか?
Instagramの特性上、シェア機能が簡易的に使えない(1クリックでシェアできない)ので、基本的には既存顧客、またはその商品に興味が一定数ある人へ訴求する傾向が強いアプリです。
お酒への知識が豊富で、飲み慣れている人が多く通うお店であれば、その内容で問題ないかもしれませんが、お客様はメーカーが評価した味わい・感想を知りたいのでしょうか?
たまたまユーザーが好きな銘柄が入荷したのであれば、「お、好きなウイスキーが入ってる!今度飲みに行こう!」となるかもしれませんが、かなりのお酒好きでない限りそうはなりにくいと思います。
発信しているお店の目的だったり、狙っているターゲット層によって変わってきますが、新規顧客に向けたメッセージであれば、ズレが生じているはずです。
同業目線でも「あ、新商品でたんだ」とは思いますが、来店という行動まではなかなか動きません。
たまたま飲みにいった時に思い出したかのように、注文する感じが多いと思います。
また新商品を入荷する時期は、特殊な商品以外どのお店も同じです。
ということは、どの店も同じ商品の入荷情報を発信している=店舗は違えど、ユーザーは同じ情報を見せられているということになりますので、商品の認知度向上には大きな影響があると思いますが、一店舗の発信という意味では独自性は薄くなってしまっている実態があります。
ユーザーが本当に欲しい情報とは?
一度冷静になって考えてみていただきたいのですが、お客様側はメーカーのテイスティング情報を知りたいのでしょうか?
本当に知りたいのであれば、製造している会社のホームページで調べると思います。
※テイスティング情報を掲載することが絶対NGというわけではありません。
では、フォロワーは何を知りたいのでしょうか?
ここから先は私の仮説ですが、その店や人が発信するこだわりや情報を知りたいのでは?と考えています。
狙っているターゲット層によっても違ってきますので、一概には言えませんが、例えば、
今回入荷したウイスキーは、〇〇のウイスキーと比較して飲むとより楽しめます等、よりお客様にとって、身近な商品と比較した感想を伝える。
ストレートで飲む場合、これくらい加水したタイミングで味が変化してきますので、是非お楽しみください等、楽しみ方を説明する。
という感じで、Instagramを使って、カウンター越しで説明している内容を事前に共有することで、納得感が生まれてくるのでは?と仮説を立てています。
昔と比較し、インターネットやSNSを介して、事前検討する度合いが高まってきています。
その意味でも、SNS上でユーザーに納得できるような形でアピールすることで、来店へ繋げていそうな気がしています。
またバーテンダーの中では、常識的な技術で当たり前なことでも、一般的には全く当たり前ではないことが多いということもありそうです。
わかりやすい事例でいうと、IT用語等の横文字が多いと、何言ってるのかわからないことがありますよね?
下手すると聞き慣れない漢字が多いだけで、テンションが下がることってありませんか?(笑)
本人達はそれが普通なので何も悪気がないのに、聞いてる側からするとよくわからない話をずっと聞かされていることになる。聞いている側は、共感は持てないはずです。
この距離を詰める施策が大切ではないか?と考えています。
完成した商品ではなく、プロセスに価値がある?
更に踏み込んだ仮説になりますが、完成した商品にあまり価値がないと感じています。
ウイスキーの場合例に例えにくいので料理の写真で例えると、できあがったチャーハンの画像をみたところで、お腹がへっていて、チャーハンが食べたい!と思っていた人には刺さりますが、お腹が減っていても、別にチャーハンを食べたいと思っていない人には刺さらないと思うんです。
でも、チャーハンを作る工程で鍋を振って、チャーハンがパラパラになっていく様子を見ると、別にチャーハンを食べたくなかったとしても、「このチャーハン食べてみたい」って思ってしまうと思います。少なからず私はそう思います(笑)。
ここが凄く大事なポイントで、完成した商品よりも、その商品が完成に至るまでのプロセスが消費者行動を喚起するような気がしています。
更に言えば、その店独自のプロセスが加わっていれば、なお良しという感じです。
バーの場合でいうと完成したカクテルの写真や注がれたウイスキーを見ても、「綺麗ー!」「良い色だ」となっても、「これを飲んでみたい」にはなりにくいということです。
特にバーの場合、日常に馴染みがなさすぎて、カクテルやウイスキーの銘柄を言われてもほとんどの人が知らないのが実態でその場合、よりユーザーに身近なプロセスを紹介することが共感を生み出すのでは?と思っています。
バー関係のYouTube動画で、再生数が回っている動画の多くは氷を削っている動画ということがこの仮説を立証していそうです。※氷は誰でも知っている=身近なものという感じ。
方法は色々あると思いますし、ターゲットとしている層によっても、お客様側が欲しい情報は変わってきます。
当店の場合、バー初心者の方にきていただきたいので、例えば、
- ライムスライスでジントニックを作った時の味
- 1/8カットのライムでジントニックで作った時の味
の違い動画で撮影して、味の違いをInstagramを通して、お客様へ伝えていくことが、行動喚起になるかも?と考えています。
※参考Instagram https://www.instagram.com/reel/Cr2iGJUNrnu/?igshid=ZWIzMWE5ZmU3Zg==
商品を手に取る(注文して食す)までに、ユーザーの引っかかりそうなことや疑問に思うことをSNSやWebを通じて事前に共有することが重要かなと思います。
カウンター越しで説明しなければならなかったことを事前に伝えることができるので、副産物としては、接客時間の短縮にも繋がるかもしれません。
接客時間が短い方が良いという意味ではないですが、それでもより深い話ができたり、メリットは大きいと思います。
特に今はスマホで簡単に動画が撮れる時代になり、プロセスの見える化は実行しやすいと思いますので、一度試してみることも良いかもしれません。
【お知らせ】 この記事をご覧の皆様に、投稿者 福岡さんのお店「BAR DEEP」よりお知らせです。
BAR DEEP 店舗情報
■住所 : 福岡県福岡市中央区西中洲1−14 プロスペリタ西中洲6F
BAR DEEP オフィシャルサイト
https://bar-deep.com/
■営業時間 : 平日・金土・祝日前…21時〜4時30分
日・祝日…21時〜3時30分
※営業日については、Instagramにて確認ください。
■Instagram
飲み放題へのこだわりが日本一のBARです。
https://www.instagram.com/bar_deep_nishinakasu/
■お仕事や御相談などお問い合わせ
fukuhashi0101@fukuhashi.jp
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