前回「飲食店の求人の難しさ」の続きです。
求職者と雇用側の意識に乖離がある
仮説にはなりますが、打ち出し方の粒度はともかく、求人媒体の募集要項にビジョン等を記載しているので、応募者にとって少しハードルが高いように見えているのでは?と感じています。
実態として、業界全体が「楽して稼げます」的な訴求を今まで多用してきた(多用せざるを得なかった?)ので、応募者の働くスタンスと店舗側の求める働くスタンスに乖離が生じている気がしています。
店舗側は、ラクして楽しくとか求人媒体では謳いつつ、なんだかんだで社会人として常識的な「報告・連絡・相談」「気配り・配慮」「仕事の精度」は一定以上求めています。
店舗オーナーから「少し注意したらアルバイト生が辞めた」という話は、日常茶飯事的にどこでも聞きますので、それが証拠かと。
本当に雑用としか考えていないのであれば注意すらしないと思いますし、そんな生産性ゼロの人間を雇っていけるほど余裕のある飲食店はないと思っています。
一方、応募側は、文字通り「ラクして稼げる」を求めてきていたり、時間だけ過ごせばお金が発生すると思っている求職者がゴロゴロといる業界なので、ギャップは発生して当然です。
少しドライな考えですが、様々な理由で昼職の一般企業で働けなくなった人が夜職に流れてきていることは事実で、世間的な評価も本音ではそうなんだと思います。
しかし、もっと広い視野で考えていくとそういう受け皿的な業界は必要で、その受け皿があるからこそ世の中が上手く循環していますし、明日への活力にもなっていることも事実です。
当店の募集要項は、ビジョンなどを熱く書きすぎた結果、求人層を絞りすぎていることが問題だと思っています。
マーケティングの観点からみても、狙いたい層を絞りすぎると母数が取れなくなる傾向があるので、募集要項で伝えたいことを絞り、Webサイト等、別の媒体で深く知って貰えるように、体系的に構造化する必要がありそうです。
これについては、募集要項を少しずつ変更して、データ収集をしてみようと思います。
飲食業界が優秀な人材を集めるために
「人手不足」という表現は恐らく間違っていて、「優秀な人が足りない」が本質だと思います。
なので職を求めている人は数多くいますが、「人材として欲しい!」と思えるような人が少ないのが現状です。
一方で、求職者のスキルレベルが底辺レベルだったとしても、旧態依然で変化のない会社等、魅力(伸びしろ)を感じない会社では働きたくないと思っているはずです。
十年以上昔の話ですが、「超激務だけど超稼げる。稼ぐなら佐川急便」みたいな時代がありました。
企業側と求職者のメリットが合致していたので、上手く回っていた時代なんだと思います。
ですが今は、高時給・高給与は、そこまで求められていないように感じています。
そして、求職者も本当のところは、「楽(ラク)して楽しい」ではなく、「夢中で楽しい」を求めていると思います。
飲食業界は、大手企業のように有名大学を卒業した人が、こぞって応募してくる業界ではありません。そういう企業もあるのかもしれませんが、正直知りません。
人の気持ちを痛いほど理解できる業界なので、義務教育の必修科目にいれるべきと思うくらい飲食業界は良い業界だと思っていますが、残念ながら世間的には社会的地位は低いです。
社会的地位が低いと当然、そこで働く人材のレベルも低くなります。
当店のお客様の話を伺う限り、土木建築・運送業等は飲食業界よりもっと悲惨のようです。
顧客から直接クレームを受けやすい業界やルーティン業務に近い職種であればあるほど、仕事の楽しさを伝えることは難しいです。
ですが、冷静に考えるとどの業種業界も、何かしらルーティンに近いことで仕事を回していると思います。
なので、やはり「伝え方」が大切なんだと考えています。
求職者側が、「まずはやってみよう」「やってみたいな」と思えるように。
ビジョンを掲げつつ、採用の間口を少し広げ、働きだしてから意識改革を行っていくことを前提とした採用を心掛けてみようと思います。
その分、教育が大変になりますが(笑)。
人材の確保は、これからも激化していくことは間違いありません。
また文字を読む人が少なくなってきているので、求人に置いてもSNS広告等の利活用が必要になってきていると感じています。
店舗の壁に「アルバイト募集中」と張り紙を出すのではなく、デジタルを活用してより細かく、丁寧に求職者に接していく必要があると思います。
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