以前の記事「外食産業・飲食業の人材不足と求人」では、アルバイトの求人、採用事情について書きましたが、今回は、雇用後のアルバイトの人材教育について書いていきたいと思います。
成長の機会を与え続ける重要性
雇用後の話ですが、私自身はスタッフを配膳するだけ等、単なる労働力として使うべきではないと考えています。
「社員だから・・・」「アルバイトだから・・・」と、たとえ仕事内容や権限、裁量を分けることはあったとしても、その個人の仕事を通しての成長に対しては雇用形態云々は関係無いと思うからです。
当店では、目標数字を持たせた上でそれを達成できるように指導、アドバイスをしています。
なので、同業からは、
「アルバイトの職務を超えている!やらせすぎだ!」
と言われることも少なくありません。
ここまでしっかり指導することについては、明確に理由があります。それは、教育する側(経営側)が従業員に足りていない思考やあるべき姿を示し、仕事の中で成長する機会を与え続ける事を意識しているからです。
当店のスタッフは、20代前半と若いスタッフばかりです。
仕事に対する問題意識や、自分の成長などを考える経験がまだないので、業務・作業の本質的な意味を理解できるようになるまで、平気で3ヶ月以上かかります。
コミュニケーション能力は、友達同士の会話は出来ても、仕事上のコミュニケーションや「報・連・相」という点は、ひよこも同然です。
これは誰しも通る道なので問題ないことですが、若いのでとにかく視野が狭いんですね(笑)。
※「もっと考えろ!」と私も若い頃、良く言われました(笑)。
それでも、そのスタッフが成長するチャンス(目標)を与え続け、それを達成できるように支援を行っています。
なので、指導をしても自ら改善する気がない、自分に問題意識を持たないスタッフには、機械化・自動化できない作業だけこなす労働力として扱って問題ないか相談を持ちかけます。(※やる気があるスタッフに力を注ぎたいので。)
外食産業の多くの現場では、仕事の能力の有無に関係なく、誰でも同じ作業が出来るようにマニュアル・ルールが作られ活用されています。特にチェーン展開している会社では、統一された教育やコーチングにより、全く仕事が出来ない人でも、仕事がこなせる人と同じような成果を出せるようにしていきます。
しかしそれはあくまで、決まった用語や基本動作、ルーチン作業を同一のレベルで提供するための教育であり、本人の社会性、人的な対応力(人間力)や成長を促すものではありません。
当店は、飲食業であり、接客業です。
「お客様と適当に話してくれた良いよ」という指示を出すことも可能ですが、指示をされた本人からすると、自分が経験してきた話、知っている話しかできず、また会話の切り返しの方法もわかりません。
時給なので何もしなくても給与は発生しますが、時間の過ごし方として、本人はそれで良いのでしょうか?
生活水準は豊かになってきているので、生きていくことはできると思いますが、冷静に見て可哀想だな、もったいないなって思ってしまいます。
知り合いの店に飲みに行った時も、そのお店のスタッフが一生懸命接客をしてくれます。
ですが、毎回同じような話や反応をされるので、
「この子は何も成長していない(成長する機会を与えられていない)んだな」
って感じる事も少なくありません。
本人もそうですが、経営側も「そんな感じの対応で良い」と思っているところに問題があるのかもしれません。
飲食店のスタッフに限らず、販売スタッフ、レジスタッフ、窓口スタッフ等、どの業界においても「顧客接点担当者」の生のお客様情報、問題点の状況把握、具体的な改善案、そして一歩進んだお客様対応は、その会社の経営の根幹に直結してきます。
最近はAIの成長が著しく、ChatGPTも話題になっています。これから自動化・省人化の動きは加速していき、デジタルを介した接点は増えていく傾向にあると思いますが、最後の最後は、『人』で決まります。
本来であれば成長できるチャンスを与え続けることは、仕事に対する問題意識、やりがいや達成感等に繋がっていき、その人の魅力は向上していくはずです。
スタッフが慣れ合いで仕事をこなしてしまう、すぐ辞めてしまう等の問題を抱えているお店・企業は、スタッフへ成長のチャンスを与え続けているのかを一度確認してみても良いかもしれません。
自己の成長、投資にお金を使う考え方
成長の機会という意味では、給与についても同じことが言えます。
職種や仕事内容にもよりますが、一般企業勤めの月給より夜職で働いている人の方が、月給が高いことがあります(女性の場合は特に)。
当店のスタッフも同年代で昼職で仕事をしている人より、恐らく2倍、下手をすると3倍以上の給与を貰っていると思います。
勿論、給与として貰っているので、何にどう使おうと自由です。
但し、お金がある=何かに投資・挑戦できるチャンス(権利)を持っているという考え方は教えるべきだと思います。
成長している企業の中には、それほど収入が多くないスタッフに対し、個人的な「学び直し」に対し助成金などで支援をする企業も増えてきています。多様な知識やスキル、見識などが、本人の成長、さらには企業の成長に繫がることが解っているからでしょう。
日本の場合、お金の扱い方についてほぼ教育されてきていないので、自己投資も含めたお金の使い方についても、考え方を教えるべきだと思います。
人を教育する側の心構え
人に教えるためには、教える側がしっかりしていなければなりません。
経営をしているとつい目先のことばかり追いがちですが、経済がどのように変化しているのか等、勉強は必須です。
というか、明日以降何が起こるかわからない道を切り開いていくリーダーが、経営者のあるべき姿だと思います。
業界特有の専門知識を教えることも大切だとは思いますが、社会的教養も含め、幅広い知識を教えていくことが、ベースにあるべきと考えております。
仮に飲食店を経営したいという従業員にいたとしても、経営していく上で、把握しておかないといけない専門知識以外のことはたくさんあります。
仕事を通して「人・モノ・カネ」のマネジメントを学ぶ場、機会を作ることを意識しながら教育していくことが大切で、特に飲食店は、経営全般を学べる最高の環境なので、それを活かした教育をすべきかと…。
私も手探りながら、より選択肢を増やしてあげられるような人になるために、日々もがいてますので、皆さんも一緒に頑張っていきましょう!
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