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#19. Z世代従業員の伴走支援

Z世代従業員の伴走支援

飲食店を取り巻く問題を取り上げると星の数ほどあがってきますが、商社営業職、飲食店経営者、コンサルタントアシスタントという経歴から見えてきた課題感をこの記事でお伝えしていきます。
※このコーナーで定義している飲食店は、スナック、キャバクラ、バー等も含んでいます。

今回の講座のテーマは

Z世代従業員の伴走支援

です。

講座15回「15 Z世代従業員との経営ミーティング」では、「伴走支援で対話しながら、一緒に考えていくことが重要」とお伝えいたしました。

今回は、「具体的な伴走支援、寄り添っての対話」についての当店のケースと、想定される「伴走支援のあるべき姿」について解説いたします。

1.伴走支援の基となる評価基準

Z世代従業員との対話、伴走支援には、基となる目標とその評価が必要です。

当店の評価システムには、様々な指標があります。その中の一つの項目として、

新規顧客の獲得と飲み放題の延長(お客様滞在時間の長さ)の獲得

という指標を設定しています。

この2つを指標を置いている理由は、

  • 一定数以上の新規顧客を獲得し続ける必要があること
  • リピーターのお客様とコミュニケーションを図り、信頼を築き上げること

があります。(※なぜこの2つの指標が大切なのかは、別途説明いたします。)

一概にこの2つの指標を努力すれば良いというわけではありませんが、この新規顧客の獲得と飲み放題の延長(お客様滞在時間の長さ)の獲得をしていくことで、スタッフの評価が上がっていくシステムを採用しています。

2.これまでの伴走支援の課題

前記の2つの指標を達成すればスタッフの評価が上がるので、逆を言えば、この2つだけを努力して達成すれば良いということになります。
もちろん、経営側も従業員のこれらの指標を達成できるように支援します。

具体的には、

月初に2つの指標のそれぞれの目標を立て、週次で結果に対しての個別面談を行う。
また月末の結果を基に、翌月どのように改善していくのかを月次の面談で一緒に考える。

というかなり手厚い伴走支援、フォローだと思いますが、それでも成績が思ったように伸びないスタッフが出てきます。

大きな要因としては

  • 週次で面談をしているにも関わらず、指示やアドバイスを素直に聞かないこと
  • 新規顧客の獲得と飲み放題の延長(お客様滞在時間の長さ)の獲得が重要なことは理解できているが、具体的に何をどうすれば良いのかが今一つ理解できていないこと

です。

前者の素直さは、せっかく改善の方法を教えているのにそれを受け入れなければ、成長するはずもないので、大前提として、指導を受ける側が必要なことになります。

一方、後者は指導側にも問題があり、週次の個別面談などで指示やアドバイスは実施しても、「本人が自ら考え、直ぐに行動に移せる具体性のあるアドバイスにはなっていなかった」ということです。

一般企業で言うところの、いわゆる部門や課の目標、戦略に対する戦術は理解しているけど、個々人の日常の具体的行動までイメージできていないということと同じです。

3.改善した伴走支援と成果

結論から話をすると、「飲み放題の延長(お客様滞在時間の長さ)の獲得を目指そう」という漠然としたことではなく、

より具体的な事柄で、

お客様の接客時間を少しでも伸ばせるよう考えて努力をしてみよう

とアドバイスした結果、いきなり成績が伸び始めました。

お客様もシビアなので、単にお願いされたからと言って、滞在時間を延長することはありません。お店側から適切なサービスがあったからこそ、延長していただけます。

恐らく当人の中で

・接客時間を少しでも伸ばせるようになるには、お客様に満足いただく必要がある。
・満足いただくためには、今の接客スタイルから改善をしていかなければならない。
・その上で、自分の現在の接客スタイルのどこをどう変えて行けば良いか。

という「アドバイスの意味とそこから考える自らの行動の見直し」という考え方に切り替わったのではと思います。

指導・支援をしていく側として、理解して貰うために細かくかみ砕いて説明をします。
ですが、結果、

細かく指示を出されないと行動ができない、
もしくは、言われたことだけを対応されて終わりという人が育ってしまうこと

が少なくありません。

単にあれこれ細かい指示を出すのではなく、理解できるまで言葉をかみ砕き、本人が自走できるまでの言葉・文章に組み立ててあげる必要があります。

そうすることで、徐々にではありますが、
「指導やアドバイスをそのまま行動に移すのではなく、なぜそうするのか、それはどうしてなのか、という問題意識」と
「お店の目標を担う1人として、またお客様と相対し顧客満足を実現スタッフとしての当事者意識」という成果が生まれるのだと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

企業でも役職等、階層別に伝え方を変えていると思いますが、恐らく具体的な指示や細かい指示となっているだけで、その具体的な指示だけを遂行している正社員は少なくないと思います。

一人一人に合わせた教育をしていくことには限界がありますし、当店も今の規模だからこそできている教育方法ではありますが、言葉や文章の伝え方一つで、働く人の問題意識や個々人の成長を大きく左右することがあるということは、管理職は認識しておくべきだと思います。


■筆者 : 福岡裕記の記事紹介

本サイト「飲食業の明日」コーナーにて、福岡裕記氏による記事の中から、飲食店の経営課題に関連する記事をピックアップしました。

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