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第3回「ステキな出会い」は決して偶然ではない(前編)

(編集部より)
当サイトの運営会社、プラグインアーツの代表である小野正博と、同じく当サイト編集部の近藤淳司との共著による電子書籍「ひとあつめ」を著者の了解のもと一部をご紹介。
本書は幅広くビジネスの現場で、いかに優れた人々を集めるかについて、つまり「ひとあつめ」の大事なヒントをお届けしています。
第3回は、出会いに重要な情報の発信ついてです。

電子書籍「ひとあつめ」の詳細はこちら


発信ないところには誰も集まってこない

自明のことではありますが、何かを発信しない人の所には誰も来ません。ラジオ局の発信がなければラジオのスイッチを入れても何も受信しないのと同じです。例えばSNSに登録をしただけで何の記事もアップしなければ、あなたと友だちになりたい! という人は出て来ないわけです。なぜなら、あなたが何を考えているのか、あなたがどういう人なのか、誰もわからないのですから。あなたの「人となり」が全然わからないのに誰かから連絡があるとすれば、それは「オレオレ詐欺」か、プロフィール写真が美男美女の、別人になりすました詐欺師の犯行です。

能動的に「自分」を表明し、発信し続ける。それによってある日、どこかで誰かのアンテナがそれをキャッチし、あなたは巡り会うのです。「私の運命の人が自分の隠された内面を鋭く見抜いて、私の隠された魅力や才能を理解し、私を幸せにしてくれるだろう」という受動的なあなたはとてもロマンティストで魅力的ではあります。しかし今のあなたが、周りの人から特に優れた人を見抜き、色んな困難があることをわかった上ですべてを捧げて育て上げている、ということをやっていなければ、それは夢物語であるかもしれない、という疑念を少し抱いても良いかもしれません。

ポイント①
出会いは、自ら発信して動いている人間同士の間で起こる。

コンサルタント小野との出会いと戦略的な情報の発信

ICTコンサルティング、音楽やアプリなど各種プロデューサーをこなす小野と本書の語り部である近藤が知り合ったのは、近藤がまだ東京大学大学院修士課程の学生として文学や美術史を学んでいた頃、すなわち今から何年も前の2000年代のことです。当時インターネットでは自己発信の場としてはブログが主流で、近藤も例に漏れずミーハーブロガーの一人でした。しかし近藤は当時、特に誰かとの出会いを期待していたわけでもなく、ただ淡々と読んだ本や聴いた音楽のこと、日々思っていたこと、それらを書き綴って(あるいは書き殴って)いました。

ある日のこと、自分が読んだ小説についての考察(のようなもの)に、小野がコメントを寄せてくれました。たまたまランダムで知人のブログから近藤のブログにジャンプして来たのがきっかけだったということです。小野も人に勧められて読んだのがその本だったとのことで、本当に偶然が重なって彼の目に留まったのでした。

その近藤の書いた考察(のようなもの)を一読した小野の後日談によると、小野がその本を読んで漠然と考えていたことがそこに明確に言語化されていたとのことでした。これは何かコメントしないといけない……そう強く思った小野は近藤のブログにコメントを残し、それからしばらく数年間、ブログ上でのコメントのやり取りが続きました。

そして最終的に、ブログを閉鎖するときに小野がメールアドレスをメッセージに残してくれ、近藤たちはメールを送り合う仲となりました。つまり我々は「ブログ読者」から「メル友」(若い方はもしかするとご存知ないかもしれないので書き添えておくと、主にメールのみを交わす友人関係のことです)になったのです。

そしてその後、さらに数年にわたって「メル友」の状態が続いたあと、一度ぜひ会おうということになりました。その時には、近藤は文学と美術の相関関係について研究すべくパリに留学していたのですが、フランスから一時帰国していた近藤は、どうしても渋谷にある東急百貨店のBunkamuraザ・ミュージアムに来ていたラフェエル前派の傑作、ミレイ《オフィーリア》(1851-2、テート・ブリテン、ロンドン)を鑑賞したかったので、ちょうど良い機会だと思って小野を誘い、一緒に鑑賞したのです。

鑑賞後、近くの居酒屋で酒を酌み交わし、メル友状態から晴れて「飲み友」になりました。今となってはずいぶんと丸くなった小野ですが、その頃の小野は目付きがナイフみたいに尖っていて、ギラギラした鋭い眼光を漂わせていました。一方、近藤は芸術をこよなく愛するバリバリの文化系男子だったのですが、当時はトライアスリートを目指していたこともあり、アディダスのキャップとジョグTシャツにアシックスのジョグシューズという格好で、「イメージとぜんぜん違う」と小野に苦笑されていました。

その後も付き合いは続き、帰国後に「飲み友」から今は共同経営者という間柄になったのですが、もし近藤が小説の考察(のようなもの)をブログという形で発信していなければ、絶対に成立しなかった出会いでした。繰り返しますが、近藤は誰かとの出会いを期待してブログを書いていたわけではありません。ただ若さゆえの過ちで、当時の強い思いの丈を文章にしていただけなのです。

しかし、我々の幸福な出会いとは別に、もし誰かと繋がりたいのであれば、それではダメだと小野は言います。ロジカルに、そして戦略的に発信する必要があるのです。

第4回「ステキな出会い」は決して偶然ではない(後編)につづく


ひとあつめ

〜ビジネスで戦える優れた集団を作るためにすべき13のこと〜

小野 正博/著  近藤 淳司/共著 

プラグインアーツパブリッシング
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