SaaS型モデルの新規事業を興すよう指示したメンバーの近藤が言ってきたのは、コンサルタントと社長の山岡との面談。それを山岡はどう捉えたのか?
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数日後、社長室。
山岡は近藤からコンサルタントに依頼するという寝耳に水の報告を受け、なにやってるんだか、と呆れ返っていた。
すぐその場で近藤の提案を却下してもよかったのだが、自信満々に、絶対に上手く行きます! などと近藤が豪語するものだから、無碍に断って士気を下げても仕方ないと思い、とりあえずその場は近藤を帰らせた。
恐らく近藤も相当悩んだんだろう、ということはすぐに山岡にも察しが付いた。
溺れる者は藁をもつかむ、と言う。
どうせ誰かにそそのかされたか、ネットで検索でもしてろくでもない情報をつかんだんだろう。
そうに決まっている。
コンサルタントが直接話がしたいということで、いったい何を話したいか知るよしもなかったが、山岡は近藤の今後のことも考慮し、承諾することにした。
そしてコンサルティングなど、金のかかることは二度と口に出せなくするために、直接会って断ろうと考えた。
山岡は近藤に「水曜日、会議の後に1時間ほど空けておく」とメールした。
先方の都合が悪いなら、はい、それまでよ、だ。俺だって暇じゃないんだよ。
山岡は胸のポケットからショートホープを取り出し、タバコに火を付けた。
ため息を吐くように、白い煙を吐いた。
今回は非常に基礎的なことなのですが、上司が「君の裁量に任せる」と言いつつ部下に指示する業務は、実はほとんど何も任されていません(笑)。
それどころか、真に受けた部下が様々な検討をして、時間やコストを想定外に掛けてしまうと怒り出したりもします。
つまり、都合良く「望む結果が投げっ放しでもすぐ上がってくること」を上司は期待しているのです。
これには上司側に2つの間違いがあります(当然ですが)。
1つは裁量の範囲を明確にしていないこと。
例えば期間や費用、大枠の方向性など、前提とすべき条件が少なすぎると、検討を指示された部下が、時として実現不可能な企画立案に奔走し、無駄な時間を費やす、などということにもなりかねません。
物語中の上司である山岡は、かなり曖昧な指示を近藤に出しています。
もちろん最初から前提を与えることが全てではありませんが、上司は最初から想定していることはしっかりと部下に伝えた上で、検討を指示するべきでしょう。
もう1つは自ら検討を深めれば導き出せる結果しか望んでいないこと。
これは本当に残念なことなのですが、実際に現場で多々目にしてきました。
簡単に言えば、時間が無い、あるいは面倒なので部下に続きを頼んでいる。
ほとんどそんな感覚でただ指示をしているだけなのです。
業務指示には様々な意図が含まれることがありますので、必ずしも全てのケースには当てはまりませんが、この最も残念なケースで進行中の物語で、山岡は何に気づき、近藤は何を学んでいくのでしょうか。
次回以降もどうぞご期待ください。
第15話 「勝ったな」に続く
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