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第4話 コンサルティング会社に問い合わせてみたら(後編)

第3話 コンサルティング会社に問い合わせてみたら

幾つかのコンサルタントに少し相談をした近藤。色々な返事に戸惑うことに……。
前編はこちら (物語概要・登場人物の紹介はこちら)


近藤は溜め息を一つ吐いて、冷めかけたコーヒーを口にし、やや白髪交じりの髪をがりがりと掻いた。
最近、若白髪が目立つ。気苦労が多いのだ。

ふと、近藤の携帯電話が鳴った。
フリーダイヤルのコールだ。見覚えがないが、ともかく電話に出た。

「はい」

「こちらフォックス総研、営業担当の中村と申します。近藤様のご携帯でよろしかったでしょうか?」

「あ、は、はい。近藤です」

「この度はお問い合わせ、誠にありがとうございます。弊社コンサルティングを希望とのことで、お電話させていただきました。今、お時間少々よろしいでしょうか?」

「え、あ、はい」

「まずは弊社にてお話を伺いたく存じますので、明日の午前などいかがでしょうか?」

明日の午前? いくら何でも話が急すぎる、と近藤は訝しがった。

「明日はちょっと……検討しないと分からないものですから」

「そうですか、しかし善は急げ、と申します。なるべく早いうちに過去3年間の財務諸表を一式と、最近の売上、顧客データをご持参ください。御社の仕事内容と取引先を分析し、最も適切なプランを提案させていただきたく存じます」

「いくら何でも性急に過ぎませんか?」

「当社は迅速をモットーとしております!」

ものの言い方は丁寧だが、やや高圧的なしゃべり方で、近藤はこの中村という男の慇懃無礼な態度に辟易した。
要するに、仕事が欲しくて欲しくてたまらないのだろう。

「そうですね、一度上席の者と相談せねばなりませんので、決まったらこちらから連絡差し上げます」

「左様でございますか。では決まり次第、私、フォックス総研の山本までご一報ください!」

近藤は頭痛がしてきた。
この会社は担当者の名前を使い回しているのか?
中村が最後には山本になっちゃったよ……。
コンサルティングというのは、最初から責任逃れをするのが前提のような、こんな連中がやっていていいのか?
近藤は間違った選択だったかな……と多少不安になってきた。
妙案だと思ったのだが……。

その後、昼食と会議をはさみ、オフィスに戻ってきたのは夕方頃だった。
ほとんどの社員が無表情でディスプレイに向かい、作業をしていた。
見慣れた光景だが、なんだかこう、躍動感のようなものがうちにも欲しいよな……。
なんてことをぼんやり近藤は思いながらデスクに着いた。
メールをチェックすると、プラグインコンサルティングの中野氏からメールが届いていた。

「この度は当社の紹介記事を読んでくださり、ありがとうございます。あの案件は、新事業進出を行うかどうかの意思決定からお手伝いし、実際のサービスの成功体験をクライアントと共有することができた素晴らしいプロジェクトでした。近藤様が現在検討されている新事業は、記事の事例と似ています。事前の綿密な調査・分析、戦略策定、企画立案が成功には欠かせません」

今までとは違う感触だ。
いかにも話を聞いてくれそうな雰囲気を近藤は文面から読み取った。

小野正博のワンポイントアドバイス No.1 

コンサルティング会社へ問い合わせを行ってから、最初の先方のレスポンスで見定めることは重要です。
その内容で社風というか、程度が見えてきます。
ただし、気を付けていただきたいのは、その会社の誰から連絡が来たか、ということです。
一般的に営業担当とコンサルタントは別であることが多く、また各人の対応能力にも差があるのが普通です。
国内大手のコンサルティング会社でも、その評判は担当者次第、という実にもったいない状態だったりします。
今回の物語では、プラグインコンサルティングだけが、最初から直接コンサルタントが返信しています。
属人的なサービスである側面が強いコンサルティングでは、どのような人が担当してくれるのかが一番知りたいところだと思います。
最初からコンサルタントが応対するような軽いフットワークは、好感が持て、また安心できる良いポイントなのですが、実のところ、クライアントを引き込むための作戦だったりもするのです!
(もちろん、この物語のプラグインコンサルティングは当たりなのですが。)
営業担当は調子が良くて、実務担当は後ろ向き……。
皆さんにもそんな対応をされた経験はありませんか?
さて本編では次回、近藤がプラグインコンサルティングの中野が、本物かどうかを果たして見極められるのでしょうか?
本物であるからこそ、クライアントを納得させることができるはずです。
担当者が納得し、上長を説得するプロセスにもヒントがあると思います。
それでは、次回をどうぞお楽しみに。

第5話「コンサルタントがやってきた」に続く


第3話 コンサルティング会社に問い合わせてみたら

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