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第2話 SaaSの新規事業を立ち上げよ

SaaSの新規事業を立ち上げよ

未経験の新規事業立ち上げ。リーダーを任された近藤が出した答えとは?
(物語概要・登場人物の紹介はこちら)


前職からのビジネスモデルの踏襲だけではなく、会社をより大きくし、より利益を出せる構造に変えるため、自社開発パッケージや自社開発サービスを展開したいという考えを、当然山岡もその他のシステム会社の経営者と同じように持ち始めていた。

そこで、新規事業として、SaaS(サース)モデル(※)のサービスを開発することを決断したのだ。

「ということで、近藤君、頼んだよ」

社長の山岡は、新規事業の大まかな方向性を近藤に伝えると、そのままいつものように社長室に戻った。
いつもそうだ。仕事を投げては、すぐに去ってしまう。
ごちゃごちゃと質問を受けたくないのだろう。

近藤は頭を抱えていた。SaaSモデルの新規事業?
そんなこと言われても、いったいどうすればいい?
近藤はとりあえず、ネットで検索してみることにした。
分からないことがあったらネットで検索。
これは高度情報化社会における、初めの一歩である。

検索してみて、改めて近藤は溜め息を吐いた。
大手を含め、ごまんとライバルがいるではないか。
どうやってこの競争過多の中で、他社と差別化の図れるサービスを作れるというのだろう。

近藤は山岡の無茶振りに、いつも振り回される損な役目を負っている。
創業当初こそ技術畑唯一の正社員として社内でも重宝されていたが、今ではその創業時メンバーだということによる役員たちからの「なあなあさ」にうんざりしてくる。
その度に転職も考えてみる。
仕事はそこそこ充実して取り組んでいるが、この不況の中、そう条件の良い転職も難しい。
いつか自分も社長のように独立するか、なんてこともぼんやりと思っていた。

ふと、近藤は参考になりそうな記事を見つけた。
ICT系のニュースサイトに掲載されていた、
コンサルタントと新商品開発を行ったシステム会社のプロモーション記事だ。

そうか。
全く経験のない事業計画から全てを自分でやる必要はない。
むしろいきなりやろうとすること自体が無理があると思う。
まずはこの記事みたいにコンサルタントに話を聞いてもらって、方向性だけでも見えてくればラッキーだ。そんな風に進められないだろうか。

最終的に上手く行くかどうかは運次第だが、しっかりとしたコンサルタントに相談できればどうにかなりそうだ。
特に近藤は、成功事例を並べる記事の中にあった、
「コンサルタントを活用する究極の目的とは、失敗の可能性を減らすことにある」という一文が気に入った。
近藤の頭の中には、今回の新規事業の話を山岡から聞いて、「絶対に失敗する」という考えしかなかったからだ。

こうして近藤は、コンサルタントを使って新規事業を進めるという発想に至ったのであった。
(後は、社長をどうやって説得するかだな……。)

第3話「コンサルティング会社に問い合わせてみたら(前編)」に続く


【用語解説】
(注:SaaS(サース)とは、ソフトウェアの機能をクライアントPCにインストールするのではなく、ネットワーク経由でサービスとして配布し、利用させるソフトウェアの提供形態のこと。ASPとほぼ同義。例:Salesforce.com、Google Workspaceなど)


SaaSの新規事業を立ち上げよ

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