リサーチャー 本間恵理
シーボルトも魅せられた「日本の伝統美」
寄木細工って知っていますか? 寄木と書いて「よせぎ」と読みます。
様々な種類の木材を組み合わせ、それぞれ異なる木目や色合いを活かしてデザインされた工芸品のこと。
この技術が日本で広まったのは江戸時代。湯治場として栄えていた、神奈川県箱根町を訪れた客が土産に持ち帰り、全国にその名が知られるようになりました。多くの製品は、文具、引き出し、お盆、菓子器、コースター、花器といった、日々の暮らしに紐づいたもの。木目を活かした伝統美に、かのドイツ人医師シーボルトも魅せられ、母国オランダに箱根の寄木細工を持ち帰ったとか。
そんな箱根から遠く離れた地で、寄木細工に新たな風を吹き込む職人たちがいます。
未来の日本の姿?高齢者と若者が共生する町
鳥取県の最西端に位置する山あいの町、日野郡日南町は、人口54人、20戸からなるちいさな集落。UターンやIターン就労を積極的に受け入れ、林業従事者に若手が増えているとか。一方で、高齢化率は町全体の50%を超え、20年後の日本の姿を表すモデルとも言われています。
日本海に面した漁場・鳥取の中でも珍しい、農林業が盛んな地域。
町内を流れる日野川の源流が、田畑を潤し豊かな実りをもたらします。
朝晩と日中の寒暖差が大きいこの町で育ったお米や野菜の味は格別。
島根、岡山、広島の3県と接する県境にあり、言葉・食文化・習慣、様々なカルチャーがミックスされ、独自の発展を遂げた町です。
貴重な樹木の運命の分かれ道
この町で閉園した保育園を再利用し、生まれたのが「白谷工房」。
寄木細工によるアクセサリーや生活雑貨、文房具を中心に製作しています。
もともと大工をしていた代表者が、ある出来事をきっかけに寄木職人へと方向転換しました。そのきっかけとは「クリの樹」。
本来、栗の樹は甘い香りを放ち、樹木として成長する限りは虫に食べられる格好のターゲットでした。しかし、これが材木になると虫にも水にも腐食にも強い、頼もしい樹に変身するのです。そのため線路の枕木として大量に使われ、家屋の材木としては入手しづらい、貴重な存在になってしまいました。
時が経ち、古い家屋を解体した時、初めて知った驚愕の事実。
栗の樹が、一家の柱として、土台として、こんな贅沢に使われていたなんて…。
貴重な樹が、このまま捨てられてしまっていいのか?
何か、生まれ変わらせる手はないのか?先人たちが残してくれた宝を生かすも殺すも、現代の大工次第…。もう、答えは見えていたのでしょう。
こうして、廃材を活かした寄木細工が誕生したのです。
一枚一枚、木目と目を合わせて欲しい
このコースター1枚に、約15種類の樹木が使われています。
遠目に見ると、木の色合いを活かした白黒の市松模様ですが、さらに近くで見た時にその真骨頂が現れるのです。
隣り合うパーツの木目が、縦と横、バランスよく組み合わさるように配置されていることが分かります。
それだけでなく、木によっては鳥の目のように見えたり、波のようにうねっていたり、光沢を放っていたり…
手に取って、太陽にかざして、様々な角度から眺めてみてください。
きっと、あなたのお気に入りの木目が見つかるはずです。
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