興味を抱き、学びたいと思うこと。前回は、みくるさんのラップとの出会いについて紹介しました。
今回は、現在ラッパーとして活躍するみくるさんが、実際にどのようにしてラップを学び、ラッパーへと変わっていったのかを紹介します。
HIPHOPの四大要素とは?
HIPHOPは1970年代アメリカ合衆国ニューヨークのブロンクス区アフロ・アメリカンやカリビアン・アメリカン、ヒスパニック系の住人のコミュニティで行われたブロックパーティーから始まりました。
HIPHOPと言うとラップのイメージが強いのですが、実は「DJ(ディスクジョッキー)」「ブレイクダンス」「ラップ」「グラフィック」の四大要素から成り立っています。
HIPHOPを好きな男性をB-BOY、女性をB-GIRL、と呼びますが、このBはブレイクダンスのBなのです。この四大要素のうち一つでも好きなものが当てはまるときは、あなたもHIPHOP好きと言えるでしょう。
そして、日本で日本語ラップが確立したのは今から30年前のことです。
私が最もハマったのは、この四大要素の中でも「ラップ」の部分でした。生活の中には常に日本語ラップが溢れていました。
ラップのイメージか変わる
ラップと言えば、激しい言葉のバトル、怖いというイメージが強く少し敬遠していました。
しかし、2005年頃のラップは、バトルと対極にあるディスの無い日本語ラップが流行し、ライブも女性のホーミー(ファン)が多い会場や、家族連れが来ているイベントなどもありました。ストリート系のラッパーからするとそんなのラップじゃないと思われていたかもしれません。
その頃からハマり始めた私は、ディスの無いメッセージ性の強いラップが好きでした。
ゴリゴリのラップが好きな人、韻の踏み方が硬い人が好きな人、高速ラップが好きな人、ファンは色々いますが、まずは好きなラッパー、曲を聴いてみると好きが広がり、色々なジャンルを聴くのが楽しくなります。
皆さんもぜひ自分の好きなラッパー、ラップを見つけてみてください。
ラップは学べるもの?
私は、テレビで拝見した晋平太さんに会ってみたくて近々のイベントを調べると、東京・福生市でラップのワークショップの発表会があると知りました。
ラップって教われるの?、学べるの?と、とても興味を持ちました。
ラップのワークショップに驚きましたが、市区町村のイベントとしてラップを取り入れていることにさらに驚きました。
ラップを習っていたのは、小学生からサラリーマンまで幅広い年代の男性も女性もいました。期間は3か月でした。しかも、ラップだけではなくビートボックスまで披露していました。ラップも、ビートボックスも3か月でマスターしたとは思えないほど上手で、堂々としていました。
私もラップを教えてもらえるなら、自分でもリリック(※1)を書いてビートに合わせて歌えるようになるかも!と挑戦したくなったのです。
(※1) リリック : ラップの歌詞のこと。
そしてイベント後、晋平太さんと直接話せる機会があり、イベントに何度か参加しているうちラップ教室を開くと聞き参加することになりました。
私にも、ラップを習うチャンスがやってきました。
晋平太さんの地元を盛り上げようとラップ教室が開催されることになり、参加することになりました。 (後に、このイベントは東村山市の東村山音頭をラップにしようという、大きなイベントへと発展していくのです。)
ラップ教室で自己紹介ラップを作る
教室では、まずは自己紹介ラップを作りました。
作り方を丁寧に教わり、みんなの前で披露する。かなりハードルが高く感じましたが、サポートをしっかりしてくれるので安心です。
自分の名前、出身地や、仕事、学校のこと、夢のことをラップにします。
自分のMCネーム(※2)を決めます。
出身地はどこか、どんな仕事をしているか、夢は何かを書き、最後に当たる言葉の韻(※3)を踏んでいきながら、8小節のストーリーを作っていきます。
(※2)MCネーム:master of ceremonies(司会者)の略。ここではラッパーの意味。
(※3)韻:母音で踏むもので、音の組み合わせを変えて踏んでいく。
ポイントは、
・最初のうちはなかなか韻が踏めないので、似たような言葉でもOKです。
・踏みたい韻を見つけてからストーリーを作るのもありです。
・フリとオチを2小節(※4)で作ることで美しく収まります。この2小節を4つ作れば8小節になります。
(※4)小節:1小節=4拍(4分音符4つ分)「1、2、3、4」と数えて1小節
次にビート(※5)に乗せてみます。そこで長くなってしまったリリックを調整したり、ストーリーに合わないときはリリックを変えていきます。
(※5)ビート:①HIPHOP(ヒップホップ)の楽曲、ラップをのせる前のもの。②1拍のこと。その他、リズムなどの意味にも使われる。
できあがったら、みんなの前で発表していきます。ラップは作るだけではなく、発表しなければ意味がありません。
最初はなかなか韻を踏めず、ヒントを沢山もらってどうにか作り上げる感じでしたが、みんなの前で発表することに。
恥ずかしながらも最後まで歌いあげると、みんなが拍手をしてくれたのです。
ルールの中に、初心者の人に対して優しく見守るルールを作ってくれているので怖さが半減しました。
ラップって、こんなに素直に自己表現ができるんだ、と改めて感動しました。
何より楽しい!ライブやイベントに参加するのは楽しいけど、歌う側もこんなに楽しいんだ!とわくわくが止まりませんでした。
それから、何度か晋平太さんのラップ教室に参加し、自分でもビートに合わせて歌えるようになりました。
補足情報〈ラップ教室について〉
※晋平太さん以外のラッパーやスクールでもラップ教室を開いています。今では、オンライン授業もあるので参加しやすくなっています。
(編集部)
恥ずかしながらラップに教室があることは知りませんでした。ラップ教室で検索すると様々なスクール情報があります。単なる知識やスキルではなく、ラップのような自己表現は、みくるさんのように「新しい自分の発見」につながるのだろうなあと思います。
「こんなに楽しいんだ!とわくわくが止まりませんでした。」
素敵な出会いですね。
この記事に関するコメント