このシリーズの記事ではバーテンダーの私が、BAR初心者やウイスキーを初めて飲む人でも分かりやすいように、またお酒が飲めない小学生でも楽しめるような内容で説明しています。
そのため、厳密に言えば定義等が違うこともありますので、ご了承ください。
「こんなものなんだ!」と全体像を掴んでいただければ幸いです。
前回の記事では、熟成していく過程で
水がアルコールの分子を包み込むことで、まろやかな舌触りになっている
ということでしたね。
私の感覚では、20年を超えたあたりからまろやかな舌触りになってくる印象です。
是非、同じウイスキーのラインナップで年代別に飲み比べしてみてください。
早速ですが今回は、ヴァッティングの工程について解説していきます。
ヴァッティングとは、原酒を混ぜ合わせ、同じ味わい、同じ品質のウイスキーを造ること
実を言うと、ウイスキーは熟成した樽からそのまま瓶詰めするわけではありません。
※そのまま瓶詰めするウイスキーもありますが、詳しくは次回以降解説します。
このヴァッティングの工程をざっとお伝えすると
- ウイスキーを詰めた樽は、熟成庫という倉庫に保管し熟成を進める。
- 熟成が早いものと遅いもの等、熟成に差が出てくる。つまり、何年熟成したからと言って、同じ味わい、品質のウイスキーにはならない。
- そのため、ブレンダーと呼ばれる各ウイスキーの配合を調整するプロフェッショナルが、何をどれだけ混ぜ合わせるのかを指示する。
というようになっています。
なぜ、熟成に差がでてくるのか?
同じように製造しても、樽は自然界の木から出来ているので、全く同じにはなりません。
そして、冷たい空気は下に溜まりやすく暖かい空気は上に溜まりやすいように、更に同じ倉庫内でも温度差が生じます。
よって、樽や環境でそれぞれの原酒は、色、香り、味わい等、全て異なってくるのです。
またウイスキー同士を混ぜ合わせることをヴァッティング、ブレンディングといいます。
ヴァッティングとは、モルトウイスキーの原酒同士、グレーンウイスキーの原酒同士を混ぜ合わせることをいいます。ヴァッティングで出来たウイスキーをヴァテッドウイスキーと呼びます。
※最近は、ブレンデッドモルトウイスキーと呼ばれるようになってきました。
一方、ブレンディングとは、モルトウイスキーの原酒とグレーンウイスキーの原酒を混ぜ合わせることをいいます。
ヴァテッドウイスキー(ブレンデッドモルトウイスキー)は日本ではあまり馴染みがないウイスキーになります。
例えでいうと、(商品として存在はしませんが)サントリーの山崎と白州を混ぜ合わせたようなウイスキーをヴァテッドウイスキーといい、角瓶のようにモルトウイスキーとグレーンを混ぜ合わせたものをブレンデッドウイスキーといいます。
混ぜ合わせる前の原酒が同じだっとしても熟成の進み具合等、条件が異なるウイスキーを混ぜ合わせて同じ味わい・品質をキープし続けることは、並大抵のことではないのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
熟成後、樽からそのまま瓶詰めしていると思っていたという人も少なくないのではないでしょうか?
ブレンデッドウイスキーは名前から想像できるように、混ぜ合わせているという印象があるかと思いますが、シングルモルトウイスキーでも同じ味わいにするために、様々な原酒を混ぜ合わせて製造しています。
各社のブレンダーの責任者は、「同じ味わいのものを提供し続けている」とセミナー等で話を伺います。
毎日、毎日来る日も来る日も磨き上げた嗅覚、味覚を駆使して仕事をされているので、当然の自信だと思いますが、以前の記事でもお伝えした通り、ボトルデザインやラベルが変わったタイミングで味が変わる(と感じる)ことが多いです。
ブレンダー責任者、バーテンダー。
共にプロとして仕事をしているにも関わらず、意見が食い違うことがあります。
どこまで行っても嗜好品で、人によって捉え方は様々なので、正解はないとつくづく思います。
熟成年数の勘違い?
ウイスキーのラベルには、よく10年や15年といった熟成年数が表記されていますが、あれは熟成期間を表記しているのではありません。
例えば、ウイスキーのラベルに15年と表記されているウイスキーは、
このウイスキーを製造する時に、混ぜ合わせた原酒の最も熟成期間が短い(若い)原酒が15年
ということです。
仮に15年、20年、25年の原酒がブレンドされた場合、ラベルに表記される年数は15年となります。
つまり、同じ味わいにするために、15年以上の原酒を混ぜ合わせている、ということなのです。
よって、15年経てば出来上がるというわけではなく、ブレンドの時は、造りたい年数のウイスキーだけではなく、もっと長く熟成させた原酒が必要になります。
ウイスキーメーカー各社は、20年、30年用の長期熟成のウイスキーも造りつつ、品質を守るためのブレンド用のウイスキーも確保していかなければなりません。
更に熟成期間中も、木の樽を介して微量ながら揮発していくので、ウイスキーの原酒の管理は想像以上に大変な作業なのです。
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