このシリーズの記事ではバーテンダーの私が、BAR初心者やウイスキーを初めて飲む人でも分かりやすいように、またお酒が飲めない小学生でも楽しめるような内容で説明しています。
そのため、厳密に言えば定義等が違うこともありますので、ご了承ください。
「こんなものなんだ!」と全体像を掴んでいただければ幸いです。
前回の記事では、ウイスキーを熟成していく過程で
熟成中、別の樽へ原酒を入れ替えることがある
ということでしたね。
樽の種類としては、
木を伐採し組み上げた新樽
何かしらのお酒を作り終えた空き樽
の2つがあります。
2の樽でも、再利用回数が少ない比較的新しい樽で長期間熟成した場合、木の樽の成分がウイスキーに転移しすぎてしまい、美味しくなくなってしまいます。
いつまでこの樽で熟成させるのか?次はどの樽で熟成させるのか?等、ウイスキーメーカーは、日々研究を重ねています。
ここ数回の記事で熟成の工程について解説していますが、原点に立ち返ると、「そもそも熟成って何?」って疑問があるかと思います。
ウイスキーに限らず、熟成された食品の特徴は、
- 舌触りがまろやか
- 味に尖りがなく、芳醇
- 濃厚な味
等の特徴があります。
熟成の代表的な食品では、熟成肉・熟成魚等があり、端的に言えば、程良く水分を抜いてうま味を凝縮させたものです。
ウイスキーの熟成において、水分を無くすことはできません。
今回は、ウイスキーは熟成中どのような変化をしているのか?についてお話していきます。
水がアルコールの分子を包み込むことで、まろやかな舌触りになっている
ウイスキーを熟成すると、味にどのような変化が起きるのでしょうか?
一般的に熟成期間が長いウイスキーは、
- (同じアルコール度数でも)鼻を突くようなアルコール臭が抑えられている
- 舌触りが滑らか
- 柔らかい味
というように、年齢(経験)を重ねた人と同じで、荒々しさがなく、厚みのある落ち着いた味わいになります(笑)。
なぜこのようなことが起きるのか?
結論から伝えると
アルコールの成分を水の分子が包み込むことで、飲んだ時(舌で味を感じる時)に、水の分子がクッションのような役割を果たし、徐々にウイスキーの味を感じるようにしている
ということが起きています。
イメージとしては、こんな感じです。
このように時間が経つにつれ、包み込むアルコールの分子の単位が細かくなっていくことで、より舌触りが滑らかで、奥深い味となっていきます。
Yogiboのようなクッションも、入っているビーズが細かい方がクッション性が高いですよね。まさに同じようなことがウイスキーでも起きているのです。
以前、とあるタイミングで
- アルコール度数59.5度
- 熟成年数35年
のウイスキーを飲んだことがあります。
通常60度近いウイスキーの場合アルコール感が強く飲みにくく感じますが、、そのウイスキーはあまりにも舌触りが滑らかすぎて、アルコール度数40度のウイスキーを飲んでいると勘違いしました。
あの時飲んだウイスキーは、より細かい単位でアルコールの分子を水の分子が包み込んでいたんだと思っています。
ウイスキーは、瓶の中でも熟成するのか?
バーテンダー界隈で時折、瓶詰めしたウイスキーは熟成するのか?しないのか論争がおきます。
瓶熟成しない派の意見は、
- 熟成したのではなく、酸化しただけ
- アルコール成分が揮発しただけ
等の意見が出てきますが、私は瓶詰めした後でも時間が経過するにつれ、アルコールの分子を水の分子が細かい単位で包み込んでいくと考えているので、瓶熟成すると思っています。
実際のところどんなに保存環境が良くても、アルコールが全く揮発しないというようなことはないので、検証はできないのが実態です。
以前からお伝えした通り、現代の科学の力を持っても証明・検証できていないことが多くあります。
今回解説した内容も「その中の一つの説」でしかないですが、この記事を書くにあたって改めて調べてみたところ、アルコール分子は水の分子より3倍くらい大きいようなので、説としては有力なのかなと思います。
同じ期間熟成されているウイスキーでも、環境によって味わいが全く異なってきます。
長期熟成のウイスキーは、どうしても金額的に高くなりがちですが、30mlではなく15ml、(対応してくれない店もあるので注意が必要ですが)10mlで販売してくれる店もあります。
私は、節目となるような年になった時に、良いウイスキーを飲むようにしています。
皆様も誕生日や何かの転機になるような時に、良いウイスキーを飲んでみてはいかがでしょうか?
【お知らせ】 この記事をご覧の皆様に、投稿者 福岡さんのお店「BAR DEEP」よりお知らせです。
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