飲食店を取り巻く問題を取り上げると星の数ほどあがってきますが、商社営業職、飲食店経営者、コンサルタントアシスタントという経歴から見えてきた課題感をこの記事でお伝えしていきます。
※このコーナーで定義している飲食店は、スナック、キャバクラ、バー等も含んでいます。
今回の講座のテーマは
飲食店の採用において求職者が本当に知りたい情報
についてです。
1.人手不足の現状と考察
どの企業でも「人手不足」という言葉が蔓延っており、良い人材を採用する難易度は、年々上がってきていると感じています。
企業側は事業での収益性を向上し、給与・報酬だけでなく、より働きやすい環境を整備することが求められています。
従業員側は、その給与・報酬や働きやすい環境を成り立たせ守っていく為に、生産性を向上させなければいけません。
求職者にも当然、従業員側と同様のことが求められていますが、仕事に対して受動的に働く人が少なくなく、一方で給与・報酬、勤務環境は、完備されていないと求職者は、応募をしないという状況が生まれており、これは、社員、アルバイト、パートという雇用形態に関係なく、「良い人材」と巡り会うことは年々難しくなってきています。
2. 当店の求人状況と採用
当店も手探りながら採用活動の見直しを進め、少しずつ人材採用におけるギャップを減らしてきていますが、まだまだ面接時に、求職者・店舗側もギャップを感じることは多くあります。
今回は、求人において、これから取り組んでみようと考えていることを解説していきます。
2-1. 当店の求人状況
まず当店の場合、どのような方法で求人をかけているのかを説明いたします。
当店は、バイトル等の求人媒体に、不定期的に求人を募集しているのみで、他に求人に関するメディア発信はしていません。また、自社のWebサイトでも求職者に関する情報は発信をしていません。
※Webサイトは、リニューアル中で近日完成する予定です。
一方で、
求人媒体では、給与・報酬、勤務環境等を細かく記載
していることが特徴です。
以前は、とにかく募集がこなければ意味がないということで、
アットホーム感や楽という意味でも働きやすさを訴求
していた時期もありました。結果、応募は入るものの、
・面接に来ない、いきなり連絡がつかなくなることが頻繁にある
・働き始めてもすぐに辞めてしまう
という状況が続いていました。
そこから、試行錯誤を繰り返した結果、「勤務環境や当店の取り組み等について細かく記載」するようにしたことで、今は、採用時のギャップは改善傾向にあるという感じです。
しかし、応募してくる求職者とのギャップも少しずつ解消してきているものの、まだまだ上手くやれる余地があると言ったところだと思います。
2-2. 求職者の障壁となっている要素とは?
手前味噌な評価で恐縮ですが、給与・報酬も他店と比較しても低くなく、福利厚生、雇用保険等も完備という状態なので、仕事は大変ですが、それなりに見合う勤務環境は、整えているつもりです。
ですが、応募者数そのものが少なかったり、面接時に、仕事への向き合い方に対するギャップが発生している状態でした。
そのギャップを解消する為に、何かできることがないか?と考えた結果、
募集要項には書かれていない「何かの要因」で、応募に対して億劫となっているのでは?
という仮説でした。
Z世代に関する記事でも触れましたがZ世代は、考えて動く能力が世代的に低い傾向にあるので、
それらを補完するための、
研修やアフターフォローが充実していることを伝える
べきだと仮説を立てました。
具体的には、
1on1の個別ヒアリング、メンタルケア
座学研修
実技研修
の3つで、これらの項目に対し、動画(マニュアル)を作成しようと考えました。
動画教育は、よくあるペーパーメディアの研修マニュアルよりも見やすく理解しやすいことと、現在の若者に受け入れられやすいツールであるという観点からです。
※既に大手の飲食チェーンなどでは、動画マニュアル、アプリを自社教育研修用に活用しているところは多数あります。
2-3. ヒアリングで分かった求職者が本当に知りたい情報
これらは、店舗経営側からの一方的な考えである為、「実際に働く現場の意見」との擦り合わせが必要です。
そこで当店の従業員に実際に働く上で何が気になるのかをヒアリングを実施しました。
従業員へヒアリングをした結論から先に伝えると、
1.お店として何を目指しているのか?(お店の経営指針、今後の展開など)
2.どんな人が働いているのか?(仲間、風土、コミュニケーション)
3.どんなお客様が来店しているのか?(顧客特徴、特性、対応力)
この3つを知りたいという声が多くありました。
特に2、3について気になるという声が多く、勤務した後、自分が続けていけるのか?が不安要素になっています。
一方で、メンタルケアや研修の充実については、あまり問題していないという意見がありましたが、応募する時点では、潜在的な問題で意識がそこまで至っていないものかもしれません。
今後当店では、従業員からの意見を踏まえた上での、研修用動画を作成し、今後の求職者の応募率に変動があるのかどうかを検証していきたいと思います。
■筆者 : 福岡裕記の記事紹介
本サイト「飲食業の明日」コーナーにて、福岡裕記氏による記事の中から、飲食店の経営課題に関連する記事をピックアップしました。
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