【本と共に学ぶ私の日本の旅 第1回】私が歴史好きになった経緯(もともと歴史嫌い→就職して毎日勉強し直すことに)

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2021/04/28

【本と共に学ぶ私の日本の旅 第1回】私が歴史好きになった経緯(もともと歴史嫌い→就職して毎日勉強し直すことに)

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人見知りで挙動不審の18歳、就職はバスガイドを選ぶ

初めて会う人に「前職はバスガイドでした」と話すと、決まって好奇の目で見られる。一方でこの文章を読んでいるあなたは、私の顔を知らないがゆえに「神埼寧とはどんな人だろう」と想像するだろう。その時、さも歴史好きの才女を思い浮かべるかもしれない。

しかし実際の私はそんなにかっこいい女性ではない。むしろ学生時代は日本史や世界史のテストでひどい点数をとって泣きを見ていた。

そもそも海外留学をする予定だった私は、就職するとは夢にも思っていなかった。おまけに人見知りで挙動不審の18歳が、よりにもよってバスガイドを選ぶとは。

分厚い求人情報誌の中から見つけた会社

さかのぼること6年前、金銭的な問題で留学の夢を断念した私は、高校卒業後も進路指導室に通っていた。

広辞苑くらいの厚みがある求人情報誌をぱらりぱらりとめくって、さまざまな求人に目を通してみたがどれもしっくりこない。それでも根気よくページをめくっていると、とある会社の求人情報を見つけた。

そこには

“お客様に楽しい旅の思い出をご提供する仕事です”

確かそう書いてあったはず。なんせ6年前のことだから、記憶がおぼろげである。

「おお、バスガイドか。いいんじゃないか? お前は礼儀正しいし、お年寄りからも好かれそうだ」と様子を見にきた先生が言う。この言葉に後押しされて、私は旅行会社の職場見学に行くことにした。

緊張しながらのぞんだ職場見学

今回で2回目の職場見学だったが、手のひらに汗がにじむほど緊張していた。なんせ私は人と話すのがあまり得意ではない。そのため人事担当になにを言われるのかと、気が気ではなかったからだ。

指定された時間に会社へうかがうと、バスガイドの教官をつとめている女性とお会いした。つまりのちの上司である。

とにかく彼女はひとつ1つの所作が美しかった。おまけに背筋がピンと伸びていて、言葉づかいが上品である。私は会社説明を聞きながら”彼女のような女性になりたい”とぼんやり思った。

ひととおり職場見学を終えると、女性がこちらをふり返り、やわらかい口調で声をかけてくる。

「あなた、笑顔がとっても可愛らしいわね。バスガイド向きよ」

自分の笑顔をほめてもらえて、とても嬉しかったのを覚えている。続けて女性は言った。

「他の会社を見学する予定は?」「いいえ」「でしたら、ぜひうちの採用試験を受けていただきたいのだけれど、ご都合はいかがかしら?」「えっと……」

そうして浅学非才な私は周囲からの言葉に励まされ(逆に悪く言えば流されて)、採用試験を受けることにした。

緊迫した空気の中、面接で校歌を歌う!?

職場見学に行った数日後。ふたたび旅行会社へおもむき、筆記と面接試験にのぞんだ。

先日お会いした女性いわく「新入社員の研修が3月半ばに始まるから、早めに試験を受けたほうがいい」とのことだった。

思えばこの時点でほぼ合格だったのかもしれない。それにしても急な展開である。

筆記試験をすませたあと、社長と役員1名と面接することに。緊迫した空気の中、おもむろに社長が口をひらいた。

「じゃあちょっと校歌を歌ってみて」

……歌う? 正直、目が点になったが拒否するわけにもいかない。幸いにも歌うことは好きだったため、我ながら上手に歌えたと思う。

私が歌い終わると社長は真剣な面持ちのままこう言った。

「うん、声にちゃんと高低差がついていて聴きやすい。特に高音がきれいだね」

アイドルオーディションの審査員さながらに批評され、私は面接に来る場所を間違えたかなと思った。しかし歌わされたのには意味があった。社長の話によるとバスガイドは車内で歌う機会が多いそうだ。

社長いわくお客様に歌謡曲やご当地ソングを披露すると、すごく喜ばれるらしい。確かに修学旅行で沖縄に行った時、バスガイドさんが歌ってくれて嬉しかったなぁ。

「この仕事は歴史の勉強をする機会が多いけれど……歴史は好き?」

面接の後半あたりでこのように問われ、心の中で(うわ、マジか)と思ったが

「歴史はあまり得意ではありませんが、お仕事に必要な知識とあれば頑張って勉強します」と口からでまかせを言った。

まさかの試験当日に採用通知

面接は職場見学以上に緊張したが、なんとか無事に終了する。

役員に面接室の外で待つよう指示されたため、椅子に腰掛けてじっとしていた。すると面接室の中で社長と役員がなにやら話しこんでいる。

全ては聞こえないが、なんとなく私のことを話題にあげているのがわかった。なんだろう、なにを話しているのだろう、うまく話せなかったし……怖いなあ。

ひざの上でぎゅっと握りこぶしを作ってそのまま待っていると、しばらくして役員が中から出てきた。
「通常は面接の結果が分かるまで2週間程度かかるんだけど、社長があなたのことをえらく気に入ったみたいでね。試験が終わってすぐではありますが、あなたを採用させていただきました」

またもや意外な展開に呆然とするも、思考停止していた脳がゆっくりと働き出し、嬉しさがこみ上げてくる。

トントン拍子で事が進み、こうして私は新人バスガイドとしての道を歩みはじめた。

大量の教本を前にボロボロ泣いた過去

3月の半ばに私は、滑りこみセーフならぬ滑りこみ入社をすませた。それからすぐに社会人としての生活がスタートする。文字どおり”怒涛の日々”だった。

まず新人研修で礼儀作法を学び、発声練習を行い、挨拶文を暗記して……忙しいあまり、終業後すぐに眠ってしまうほど。

しかし、本当の意味で多忙を極めるのはこれからだった。基礎的な研修を終えると息つく間もなくはじまったのが、県別教習である。この教習ではお給料をもらいながら、全国の観光地や主要スポットに行かせてもらえるのだ。

といっても観光ムードは一切なく、教習はピリピリとした空気の中行われる。具体的に何をするのかというと、車内では手書きで通った道を記録し、現地に到着すれば早足で観光地を見学するのだ。正直に言うと、1日のスケジュールをこなすだけでかなりハードな教習である

あらゆる研修や教習の中で、何よりきつかったのは教本の内容をまとめること。1冊200ページ以上ある本の内容をルーズリーフに書きとめる。何枚も何枚も手書きで書いているうちに、ペンだこができた。時にはつらくてたまらず自分で選んだ道を悔やみ、涙が出ることもあった。

特に歴史が苦手な私は、年号や歴史上の人物名を覚えられず苦戦した。そんなとき、頼りにしていたのが上司や先輩だった。ずいぶんご迷惑をかけ、お世話になったものである。

おかげで現役を引退した今でも、江戸時代や戦国時代に何が起きていたのか説明できる。

実際に使用していた教本の写真

歴史を学ぶのにオススメの1冊

日本史(世界史もそうだが)は、流れをつかまないと面白くない。たとえば「大政奉還」を1度は聞いたことがあると思う。しかしそのワードがどんな意味をもっていて、結果何が起こったのかを理解しないとちんぷんかんぷんである。

人は得体の知れないもの、とんちんかんなものを忌み嫌う。理由は明確で、何が起こるか分からず近寄りがたいからだ。

同じく歴史の勉強も、無知のままだとつらいだけである。そこでイチから歴史を学ぶのに役立つのがこちらの本だ。

内容は原始時代からスタートし、読み進めると現代に近づく仕組みとなっている。

掲載されている単語は「知らなきゃやばいレベル」「一般常識レベル」「教養レベル」の3つに分かれている。そのため自分が歴史についてどの程度理解しているかを把握できるのだ。

最初から時代の流れを学び直したい人にはもちろん、もっと歴史の知識を身につけたい人にもおすすめである。

【書籍情報】
タイトル:歴史の流れが一気に分かる 日本史単語帳
著者  :池田士文
発行所 :池田書店
価格  :¥1,500+税

最近購入した書籍たち(写真撮影:神埼寧)

どのレーベルのガイドブックが読みやすいかは、次回のコラムでご紹介しよう。

歴史は心のサプリメント

私が思うに、歴史は心のサプリメントである。というのも過去に何が起きてその後どうなったかを理解することで、物事を考える力が養われるからだ。

今の時点では歴史が苦手な人でも、自分で調べたり本を読んだりすることで案外好きになるかもしれない。たまにはスマートフォンを置いて、気になる本を読んでみてはいかがだろうか。

神埼寧

神埼寧

かんざき ねい

味噌の国・愛知県出身、神奈川県在住。9歳の頃から現在まで、物書きになるべくがむしゃらに文章を書き続けている。かっこよく言えばさすらいのデイドリーマー、客観的に見ると向こう見ずな性格。以前はバスガイドとして働いていたせいか、喋り方が独特だと言われがち。現在はフリーライターとして広範囲にわたり活動中。特に取材案件や企業のブログコンテンツ作り、小説の執筆などに注力している。趣味は食べること、あとはお寺や...

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