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【ワインのたしなみ 特別編その6(前編)】ゲスト:伊藤ナツキさん「新しいワインとの出会いが嬉しいし、未知の産地や品種を開拓するのが楽しくて」

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酒と料理

2022/07/28

【ワインのたしなみ 特別編その6(前編)】ゲスト:伊藤ナツキさん「新しいワインとの出会いが嬉しいし、未知の産地や品種を開拓するのが楽しくて」

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「おいしい!」から始める、毎日をちょっとだけ楽しくするワインのたしなみ~ワインに恋して、Happyになる~

ワインを楽しんでみたいけど、ちょっと敷居が高い……そう感じている方、とても多いのではないでしょうか。私もワインを学ぶ前の20代前半の頃はそうでした。でも大丈夫。知識があろうとなかろうと、私の周りのワイン女子のみなさんは、様々な方法でワインを日々エンジョイしているようです。彼女たちがどんなキッカケでワインを好きになり、今はどんな楽しみ方をしていて、どんな悩みや疑問を持っているのか。インタビューを通じて皆さんのリアルなワインライフを探ってみました。

6人目のゲストは、プライベートでも親交が深いイラストレーターの伊藤ナツキさんです。

マリアージュの楽しさからワインの世界に……

伊藤ナツキさん(以下、伊藤):こんにちは、伊藤ナツキです。京都出身で、今は東京でフリーのイラストレーターをしています。ファッション・美容・コスメ関係のイラストが多いのですが、その他にもライブペインティングや企業とのコラボレーショングッズなど幅広い仕事に取り組ませていただいています。

【伊藤ナツキさんのInstagramのアカウントはこちら、公式サイトはこちら

伊藤ナツキ(イラストレーター)
1983年京都府出身。2006年よりフリーのイラストレーターに。 ファッション系の広告や雑誌のイラストをはじめ、企業とのコラボレーショングッズを多数手がける。近年はライブペイント、壁画など、幅広いジャンルで創作活動を行っている。

瀬川あずさ(以下、瀬川):ナツキちゃんは、東急百貨店さんでライブペインティングしたり、宝塚歌劇団のグッズの絵を描いていたり、様々な業界のイラストに携わっているんです。プライベートでも仲良くしてもらっていて、よく食事やワインもご一緒していて。

伊藤:仕事も一緒にしたことあるよね。

瀬川:そうそう。私の会社(食レコ)でLINEスタンプを製作したことがあるのですが、そのイラストもナツキちゃんに描いてもらいました。あと、この連載の挿絵で描いているiPadとアップルペンシルを使ったイラストの描き方も、実はナツキちゃんに教えてもらったんです。

編集部 近藤淳司(以下、近藤):そうだったんですね! それはお世話になっております(笑)

 

 

LINEスタンプ「美食女子のオイシイ毎日 feat. Natsuki Ito」(株式会社食レコ)

瀬川:私が高校生の時は美術部に入っていて、昔から趣味で絵を習ったり描いたりもしていたのですが、今は全然違う仕事をしているので、絵を仕事にしているナツキちゃんは私の憧れでもあるんです。

伊藤:ありがとう(笑)。逆に私は以前ワインスクールに通って、あずさちゃんからワインを教わっていたので、お互い得意分野をレクチャーしあっている感じです。

瀬川:ナツキちゃんがワインを好きってことは一緒に飲んでいてよく分かるけれど、ワインに目覚めたってキッカケある?

伊藤:まだ20代の頃かな。お肉に赤ワインを合わせて飲んだ時に、お肉がとても美味しい!と感動して、それからワインが好きになったのかも。単純なのだけれど。

瀬川:マリアージュの楽しさがワインに目覚めるキッカケだったのね。

伊藤:そう、料理もワインも美味しくなる相乗効果がスゴイなぁと思って。あとはワインスクールに通っていた時、ワインの表現や香りや味わいの感じ方ってすごく素敵だなと思ったんだよね。そこから自分で興味を持って表現方法とかを調べたりするようになったかも。

近藤:スクールに通おうと思ったのはどんな理由からですか?

伊藤:当初はそこまでワインを真剣に勉強する気持ちはなかったのですが、ワインは好きだしちょっと学んでみたいなと好奇心から足を踏み入れてみた感じです。

ワインスクールってなんとなく敷居が高い気がしていたのですが、通ってみると全く違っていて。感じ方が人それぞれで良かったり、自由な楽しみ方があったり、表現の楽しさにも気づけて、スクールに通ってからもっとワインが好きになりました。

瀬川:嬉しい~。ワインの敷居を下げることが初心者向け講座の目的だから、そういう風に思ってもらえたのなら講師冥利に尽きる。

伊藤:授業で指名されて、コメントを言わなくちゃいけないのは、最初はすごく恥ずかしくて緊張したけれど……どんな表現でもみんな優しく受け止めてくれたからホッとしたかも。

あと、絵とかアートにも似ているのだけど、自分の中で感じたものを表現していくために、コトバを選んだり探したりしていく行程がすごく楽しくて、興味深かった。

瀬川:実際に学んで好きになったワインとかある?

伊藤:昔はお肉に合わせるのが好きだったから、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローくらいしか分からなかったの。でも今は食事に合わせて繊細なワインや個性的なワインも楽しめるようになったし、スパークリングも好きだし、シーンや料理に応じて飲みたいワインを選べるようになった。好きなワインの幅が広がってきた気がする。

瀬川:それは、素敵だね。もともと好きなワインが決まっていたり、苦手な品種があったりする人もいるのだけど、深く勉強してみると苦手意識が取り払われることって多いかも。どんなタイプのワインでもそれぞれの魅力があるから、それに気が付けただけで大きいと思う。

伊藤流! ワインの楽しみ方

瀬川:ワインを飲む頻度ってどのくらい?

伊藤:そうだね。週に3回ぐらいかな……。外食の時も自宅でも飲むし、旦那さんもワインが好きだから、かなり飲む機会が多いかも。

瀬川:よく旅行にも持って行っているよね。

伊藤:そうだね。旅行に持って行くのは夫婦揃って好き。日常とはかけ離れた旅先で飲むワインってより一層美味しいし、思い出にも残るから。

瀬川:それはロマンチック! どんなワインを持って行くことが多いの?

伊藤:記念日用だけど……結構シャンパーニュが多くて、クリュッグとかジャック・セロス、アンリ・ジローが好きかな。

瀬川:「樽を使ったボリューム感のあるシャンパーニュ」が好きなのね。

伊藤:そう、まさに! リッチな味わいで豊かな気持ちになれる気がして。

近藤:瀬川さん、「樽を使ったシャンパーニュ」とはなんでしょうか?

瀬川:一次発酵で樽を使うと、その樽の成分がワインにうつったり、微量の酸素供給がなされることによってやや酸化的なニュアンスが出てきたりするんです。よって樽の影響を受けたワインは、ふくよかでボリューム感や複雑味のあるスタイルになりやすいんです。

近藤:なるほど、シャンパンにも作り方の違いで風味に影響が出るんですね。当たり前だけど、知らなかったです。いつも勉強になります!

瀬川:ナツキちゃんは、ワインを買うときはあるの?

伊藤:記念日用とか旅行用とか手土産で持って行くワインは大抵旦那さんが買うのだけど、家飲み用は自分で買うことが多いかな。

瀬川:家飲み用はどんなところで買うの?

伊藤:知り合いの酒屋さんとかインポーターさんに紹介してもらって、その時のオススメを買っているかも。いつも同じのではなくて、色々違うのを試してお気に入りを見つけてる。新しいワインとの出会いが嬉しいし、未知の産地や品種を開拓するのが楽しくて。

瀬川:素晴らしい! プロに紹介してもらいながら、色々なタイプのものを体験するって、勉強になるしすごく贅沢だね。

ワインで人生に彩りを!

「飲み頃」を探るには?

瀬川:紹介してもらった色々なワインを飲んでみて、どんな発見があった?

伊藤:自分でワインを買うようになって思ったのは……「飲み頃」って大事だなということ。前にちょっと失敗があって、カジュアルなワインだったのだけど、飲んですごく美味しかったから、ちょっと多めにケース買いしたの。それから半年以上たってから飲んだら、なんだか味わいが違っていたんだよね。寝かせればいいものじゃないんだなって。

瀬川:確かに、ポテンシャルはワインによって全然違うんだよね。フレッシュ感を楽しむようなスタイルのワインは、ピークアウトが早いものもあるから、すぐに飲むのが良いかも。セラーでしっかり保管しておけば、普通に飲めると思うけれど、自分の好きな飲み頃って大切だからね。そのタイミングを見計らうのが難しいところかも。

伊藤:あずさちゃんは、そのタイミングは分かるんだよね?

瀬川:そうだねぇ。「この銘柄のこのヴィンテージだったら大体飲み頃はこのタイミングかな?」みたいな予想はつくけれど、それが外れる場合もあるし、ボトルによる個体差もあるから、絶対分かるとは言えないよね。ワインは生き物だから。

伊藤:それを見極める授業やってほしいくらい(笑)

瀬川:そうだね。教材を揃えるのがちょっと大変そうだけど……(笑)

でもやっぱり、凝縮感や複雑味があるプレミアムワインは、ある程度熟成によって真価を発揮するし、カジュアルなテーブルワインはフレッシュ感が損なわれると味わいが平坦になってしまうものもある。値段とポテンシャルの高さって結構リンクしていると思う。

近藤:僕もそんな体験があります。自分が経営している中州のお店に置いていたワインが、コロナの影響でなかなか出なかったんですよね。そうしたら、購入した当初に体験した味わいとはかなり異なっていて……

瀬川:きちんとセラーで保管していたのにも関わらず、状態が悪いものはブショネ(※1)や熱劣化(※2)の可能性もありますね。

それはワインの欠陥なので、ピークアウトしたワインとはまた別モノになるんです。ワインの状態というのは様々な要因で変化しますから、飲み頃が違っていたのか、ワイン自体が欠陥だったのかは、区別できるようになることが必要かもしれません。

いずれにしても経験を積み重ねていくことが大切になってくると思います。思いのほか状態が良かったり、期待していたのに裏切られたり……そこがワインの一筋縄ではいかないところであり、醍醐味であるのかもしれません。

※1 ブショネ(Bouchonné-フランス語のBouchon(ブション)=コルクなどの瓶口を塞ぐ栓から)

ブショネとはトリクロロアニソール(TCA)という人の嗅覚に影響する原因物質による、コルクの汚染によっておこるワインの劣化を指します。

※2 熱劣化

継続的な高温もしくは頻繁な温度変化によってワインが受けるダメージのこと。ワイナリーから出荷されたワインが輸送中もしくは保存中に急激な温度変化を受けた場合に起こります。

伊藤:なるほど。ワインはなるべくポジティブに捉えたいけれど、欠陥ワインに関してはしっかり見極められるようになりたいよね。

近藤:レストランでホストテイスティング(※)があるのは、そういう部分を確認するためにあるんですよね。例えば日本酒やビールなんかは、お店で出される場合でもテイスティングはしないので、現状として、ワインにおける単なる儀式くらいに思っていたのですが……

瀬川:ホストテイスティングはとても重要ですね。せっかくなのでちょっと深堀していきましょう!

※ホストテイスティング

ワインのヴィンテージ、ワイン名、生産者などがオーダーしたものと違っていないか、またそのボトルのワインに異状がないかを確認するためにホストに依頼されるテイスティングのこと。

(後編につづく)

イラストレーターとしてご活躍! 伊藤ナツキさんのInstagramのアカウントはこちら、公式サイトはこちら

今回のゲストトークで話題になった「マリアージュ」については、本連載の中でもテーマとして取り上げています。ぜひご覧ください。

【ワインのたしなみ 第1回】「ワインとの食べ合わせ(マリアージュ)を教えてください!」

(記事は木曜に更新します。次回は2022年8月4日(木)配信予定です。)

瀬川 あずさ

瀬川 あずさ

せがわ あずさ

仙台市出身。聖心女子大学卒業後、施工会社の秘書を務め、多くの飲食店のリーシングや施工業務に携わる。その後、趣味が高じてワインや日本酒、食に関する様々な資格を取得。その資格を活かし、記者・ライター業、飲食コンサルティング業などに従事する。2014年、食に特化したリレーションサービスを提供する株式会社食レコの代表取締役に就任。また2020年には、人材紹介や翻訳サービスを行うレピュニット・ラボ合同会社を...

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