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【ワインのたしなみ 第9回】「ワインの会話でよく耳にする『ニューワールド』って何のことですか?」

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酒と料理

2022/07/07

【ワインのたしなみ 第9回】「ワインの会話でよく耳にする『ニューワールド』って何のことですか?」

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「おいしい!」から始める、毎日をちょっとだけ楽しくするワインのたしなみ~ワインに恋して、Happyになる~

Q. ワインの会話でよく耳にする「ニューワールド」って何のことですか?

A. 15世紀半ばから17世紀半ばにかけての大航海時代以降にヨーロッパの国々からワイン造りが伝わった国々を「ニューワールド(新世界)」と呼びます。一方、古くからワインを造っているヨーロッパの国々は「伝統国」や「旧世界」などと呼ばれます。

ワインをマスターするときに必ずおさえておきたいフランスの三大銘醸地(ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュ)、そして日本のワインをマスターしたところで……視野を世界地図に移し、今回は「ニューワールド」と呼ばれる産地のワインについてお話したいと思います。

ワイン造りの歴史は8000年も前に遡りますが、ニューワールドのワインの歴史は(エリアによってことなりますが)数百年前の話。後述しますが、ワイン造りの歴史は比較的浅くとも、ワインラヴァー垂涎の魅力的なワインを産出する、ポテンシャルに満ちた産地を巡ってみましょう。

瀬川のオススメ!

ロバート・モンダヴィ プライベート・セレクション カベルネ・ソーヴィニヨン

・生産者:ロバート・モンダヴィ・ワイナリー

・産地:アメリカ カリフォルニア州

ロバート・モンダヴィ・ワイナリーは、「カリフォルニアワインの父」と呼ばれ、アメリカのワイン業界の発展に大きな功績を残した故ロバート・モンダヴィ氏が起こしたワイナリー。彼はシャトー・ムートン・ロートシルトで知られるロスチャイルド家と提携し「オーパスワン」を産み出したことでも知られています。

同ワイナリーでは、「素晴らしいワインは畑に始まる」というロバート・モンダヴィの哲学を尊重したワイン造りが行われており、「グラヴィティ・フロー(※1)」と呼ばれる重力を使ったブドウに負担をかけない醸造やフレンチオーク(※2)による丁寧な熟成が実践され、カリフォルニアを代表する銘醸地ナパ・ヴァレーの開放的なテロワールをワインに表現しています。

こちらの「プライベート・セレクション」は大切な人とのプライベートな時間を豊かに過ごすことをコンセプトとしているのが特徴。ブラックベリーを思わせる黒系果実にヴァニラやコーヒーなどの樽のニュアンスが溶け込んだ、親しみやすい味わい。バランスがよくフードフレンドリーなのはもちろん、良心的な値段も魅力です。

※1グラヴィティ・フロー:重力を利用して果実やワインを移動させながら醸造する方法。ポンプ移動に比べて衝撃が少なく、優しくブドウやワインを取り扱えるため、繊細な味わいを保持することができます。

※2フレンチオーク:フランスで生育する種のオーク材で造られた樽。樽の作用による香りが上品でエレガントなワインに仕上がるため、プレミアムワインに使用されることが多い素材。人気はありますが価格が高いことでも知られています。

コラム~これだけは押さえておきたいニューワールドのワイン~

ひとことに「ニューワールド」といっても、そこに該当する国は様々で、それぞれ違った魅力と個性にあふれています。

本来であれば、一つの国ごとにフィーチャーしてお届けしたいところなのですが……今回は多くのニューワールドの国々に共通している概要を、ポイントを絞ってお伝えしていきたいと思います。

ここから更に深堀りすることで、みなさまのワイン道における「新しい世界」がきっと広がっていくはずです。

ニューワールドとは?

ワイン業界でいう“ニューワールド(新世界)”とはどのような産地を指すのでしょうか。

もともとワイン造りは古代オリエントではじまり、ヨーロッパへ広まり定着しました。そして15世紀半ばから17世紀半ばにかけての大航海時代にヨーロッパから世界各地に伝わっていきます。スペインからアメリカへ、イギリスからオーストラリアやニュージーランドへ……植民地化の流れと共に次々にワインが浸透していったのです。

このように大航海時代以降にワイン造りがはじまった国々を“ニューワールド”と言い、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オセアニア、南アフリカ、インド、そして日本などがあげられます

ニューワールドのワインはフランスやイタリアといった伝統的なワイン生産国のワインに比べて劣っているのでしょうか? いえ、そんなことはありません。

たとえ歴史は浅くても、素晴らしい技術力や造り手の努力や信念によって、フランスの銘醸ワインに勝るとも劣らない素晴らしいワインが生まれているのです。

自由な発想で造られる華やかなワイン

ニューワールドのワインの魅力は、何といってもそのユニークさ。

伝統的なヨーロッパの生産国は、長い歴史の中で育まれてきたワイン造りのルールが定着しているため、なかなか自由にワインを造ることができません。その土地に根付いている決められたぶどう品種を使い、規定に基づいて醸造したワインでなければ、その産地呼称を名乗ることはできないからです。

一方、ニューワールドのワインはそれほど厳しい規定が確立されていないため、比較的自由にワインを造ることができます

例えばオーストラリアでは、シャルドネ+セミヨンなど伝統国では考えられないような複数品種のブレンドがなされたり、「クロス・リージョナル・ブレンド」を実践したペンフォールドのように、産地の枠を超え様々な場所で収穫したぶどうをブレンドしたりすることもあります。

固定概念にとらわれず、のびのびと造られたニューワールドのワインは、造り手の個性にあふれ、華やかさに満ちています

とはいえ、産地個性にこだわり、テロワールをしっかり表現しようという造り手さんも最近では多く見られるようになりました。

知っていたらワイン通!? カルトワインとは

“カルトワイン”という言葉を聞いたことがありますか? ちょっと怪しげなワインといった印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。

ボルドーの回でお話しした“シンデレラワイン”とも似ているのですが、クオリティの高い少量生産のワインが熱狂的な愛好家によって支持を集め、一躍有名になり高値がついたワインのことを言います。

そのカルトワインを生み出す産地として特に有名なのがカリフォルニアで、『スクリーミング・イーグル』や『ハーラン・エステート』と言われるワインがその代表格です。

これらのワインはいずれも著名なワイン評論家が高い評価を発表しているという共通点があり、ワインジャーナリズムの影響力の高さをも物語っています。

ワイン造りへの情熱を持って努力し続ければ、歴史は浅くとも大成功することもできる……シンデレラのようなカルトワインの誕生秘話は、アメリカン・ドリームを夢見る人々に希望を与えていることでしょう。

 

いかがでしたか? ユニーク且つ華やかで、夢と情熱にあふれたニューワールドのワインたち。これらは、「何かをはじめるのに遅すぎるということはない」ということを教えてくれているような気がします。ぜひ、自分らしい自由な楽しみかたで味わってみてください。

(記事は木曜に更新します。次回は2022年7月28日(木)配信予定です。)

瀬川 あずさ

瀬川 あずさ

せがわ あずさ

仙台市出身。聖心女子大学卒業後、施工会社の秘書を務め、多くの飲食店のリーシングや施工業務に携わる。その後、趣味が高じてワインや日本酒、食に関する様々な資格を取得。その資格を活かし、記者・ライター業、飲食コンサルティング業などに従事する。2014年、食に特化したリレーションサービスを提供する株式会社食レコの代表取締役に就任。また2020年には、人材紹介や翻訳サービスを行うレピュニット・ラボ合同会社を...

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